§161 辛・辣
ピザの焼き具合を眺めながら待っていると、
最初に帰って来たのはヴィーとパニだった。
元気良く「ただいまー」と声が聞こえ、
続いて扉が開かれて、パニが帰宅の報告をする。
「お帰り、何か買えたか?」
「はい、僕はヴィー様に鑢とナイフを」
「うん?」
鑢とナイフって何に使うんだ。
パニは何も持っていなさそうなので、ヴィーが持っているのだろう。
ヴィーにとも言っていたので。
後で見せて貰おうか。
ついでだし、全員何を買ったか食卓の場で披露して貰おう。
「後でみんな纏めて、何を買ったか報告会をしよう」
「かしこまりました」
「ご主人サマただいまなさい!おー!スゲーいいにおい」
遅れてヴィーがやって来る。
荷物を部屋に置いて来たのだろう。
ただし、ヴィーは何かパピルスに包まれた塊を持っている。
「それはヴィーが買った物か?」
「うん、みんなでたべよーとおもって!」
机に置いたのはチーズの塊だった。
確かひとつ500ナールで、小遣いぴったりだ。
さっき買って来たので値段が判る。
しかし、チーズが2つになってしまった。
先程買った物は既に半分位消費したが、別にあっても困らないかな?
どうせナズやエミーがそれを利用して何か作るだろうし。
「偉いぞ、皆の分を考えて大きな物を買って来たのだな」
「えへー」
ヴィーの頭を撫でてやる。
しかし目の前には焼けたチーズが。
まあ良いや。
「みんなが集まるまではまだあると思うから、今のうちに手を洗って置け」
「かしこまりました」「はーい」
流しの方で交互に桶を傾けて水を掛けながら、
ワイワイ手を洗っている2人にほっこりとする。
何を買うかに対しては制限を設けなかったので、
きっと2人で話し合って決めたのだろう。
大皿を用意してオーブン手前の床に置く。
あー、ここに台が欲しいな。
何もかも、使ってみないとその勝手が判らない。
ヴィーに頼んで風呂にある台を取って来て貰った。
これで良し。
「とても良い匂いがしますが、何を作っておられるのですか?」
「ピザだ」
「ぴざ?」
「そう、ピザだ。平パンにチーズとトマト、肉を乗せて焼いた物だな」
「なんかおいしそう!」
「チーズをいっぱい使うので、ヴィーが買って来てくれて助かった」
「ほんと?アタイえらい!」
「えらいえらい」
もう一度ヴィーを撫でる。
「1人で考えたのか?」
「うん、からいのはパニがにがてって言うから、好きなもの聞いたの」
「済みません、ヴィー様。僕のために」
「後で何を買ったか報告会をするから、
パニから貰った物をこっちに持って来てくれ」
「あい!」
ヴィーが部屋に戻ると、ナズ達が帰って来た。
ジャーブも一緒だ。
「ご主人様、戻りました」
「何だか良い匂いがします」
「お疲れ様でございます、ユウキ様。今日は何を作られたのでしょう?」
ナズとエミーは興味津々にオーブンの下へ寄って来た。
ジャーブは着席し、アナは買った物を台所へと運ぶ。
キッチン用品かな?
「まあそれはさて置き、これから昼食と一緒に何を買ったか報告して貰う。
各自、買った物を机の上に置け」
「「「かしこまりました」」」
「ええと、俺のは部屋に置いて来てしまったので持って来ます」
「アタイも?」
「ヴィーのは良いや。皆で食べる物だし」
「はーい」
各自がそれぞれ、机の上に買った物を並べる。
報告はナズからさせた。
「私は果物と、アナさんにチョーカーを。
今付けて下さっていますが、どうでしょうか」
「おお、良いんじゃないか?可愛らしくなったな」
「そ、そうですか、変じゃないですかね?」
「ふふっ、アナさんなら何でも似合うって言ったじゃないですか」
「どっ、奴隷の身分でこのような物を頂いてしまって、
本当に大丈夫でしょうか」
アナは安いアクセサリーでも心配しているが、
ロクサーヌ達は4万ナール超の琥珀のネックレスを身に着けていた。
そういえばルティナだけ無いな。
差別化だろうか、後から買ったのか、そこは不明だが。
「あー、奴隷でも高価なアクセサリを付けている者はいるし、
何だったらもっと高級なドレスを着ている妾もいるので安心しろ」
「かっ、かしこまりました」
「それで、アナは?」
「はい、ナズさんと相談してナイフを買って参りました。
・・・・・・、(ゴトッ)
これです」
アナはさっき台所に置いた何かを持って来ると、机の上に乗せた。
両手で握るタイプの・・・何だこれは、ナイフ?
確かに刃は付いているが。
「メザルーナと言います。
野菜を切ったり、お肉の塊を崩したりする際に使うナイフですね」
ナズが使い方を説明した。
流石、元料理人は着眼点が違う。
確かに、両手で持ってゆりかご的にザクザクやれそうな感じだ。
湾曲した刃面でゴリゴリやるのだろう。
そういえばオシャレな飲食店で、
店員が目の前でサラダをカットするのを見た事がある。
あれか。
「少々高かったので、ナズさんと共同で購入しました。
これであれば、エミーでも無理無く肉を切れるかと思いまして」
「野菜炒めを作る際も、細かく切るのが楽になりますね」
(ぺこり。)
なるほど。
アナはナズとエミー2人に対して、
便利な調理具を買って来たのだな。
ナズにしては果物なんて安い物をと思ったが、
差額分がこちらに行っているのか。
「お、俺はエミー殿にペンとパピルスを」
ジャーブの前には、自分が以前買った物より書き心地の良さそうなペンと、
インク壷そしてパピルスが置かれている。
自分が買った際には書き心地すら確かめず、適当に買ってしまった。
試し書き、大事だよ。
mmmmmm。
そして、ペンと紙以外に別の物が乗っている事に気が付いた。
「ジャーブ、それは?」
「えっ、あの、・・・」
まあ、見れば解る。カチューシャだ。
エミーにだろう。
ヴィーはわんぱくで幼過ぎるし、
自分のお抱えであるナズやアナに渡す物とは思えない。1つだし。
飾り気の無いエミーには良さそうなアクセサリでもある。
同じ狼人族同士、仲良くやってくれているようだ。
「まあ、解かった。じゃあ次、ヴィー」
「チーズかって来た!」
「さっき聞いた。そういう訳で次は何かチーズの料理でも作ってくれ」
「かしこまりました」(ぺこり。)
(あのチーズ焼きしましょうか)(こくこく。)
2人は早速何か相談を始めている。
エミーは・・・報告をさせようにも喋れないし良いか。
「最後、パニ」
「あっ、僕はヴィー様の棘が気になったので鑢と、
それからお顔を整えるために眉剃りナイフを」
「ほー、良いじゃないか。それで鑢とナイフか。
パニは剃れるのか?」
「はい、大丈夫です」
「じゃあ今度剃ってやれ」
「かしこまりました」
「えっ・・・いや、え?・・・」
何だかヴィーがモジモジし始めた。
お年頃か?
本人が奉仕される事には慣れていないのだろう。
萎らしいヴィーの姿は新鮮だった。
「じゃあ昼食にしよう。今日はピザを作ってみた」
「ぴざ?・・・ですか」
「先程から良い匂いがしていましたが、それなのですね?」
オーブンから取り出し、皿に乗せる。
皆のどよめきが聞こえた。
やはり見た事が無いのだろう。
オーブンがそもそも一般家庭に無いのだ。
これは金持ち貴族料理なのだと思う。
皿に乗せた後はカットせねばならない。
さっきアナが買って来たメザルーナとやらを活用させて貰った。
ピザカッターなんて無い。
3枚のピザを放射状にカットして、中央に並べる。
ヴィーが目をキラキラさせて身を乗り出している。
だがもう暫く待て。
竈門にあるスープ鍋からはコーンスープを盛り、
まずはナズの場所に置いた。
「あっ、それは私がやりますので!」
ナズはエミーに目配せすると、2人でスープの配膳を始めた。
だから主人の仕事を取り上げないで欲しい。
仕方無い。
メインディッシュの白身のムニエルをオーブンから取り出し、
小皿に盛り付けて回した。
「ごっ、ご主人様!それも私がやりますので!」
ナズはアナに目配せすると、
アナは椅子から立ち上がってムニエルを切り分けた。
だから主人の仕事を(略)。
用意した3品が並び、ついでにエミーがハーブティーを配る。
かなり豪華な昼食となった。
「では、「「「「いただきます」」」」」
ヴィーは挨拶もせず一目散にピザを両手で掴むと、
右手に左手に、交互に食べ始める。
それは食いしん坊の定型スタイルだ、宜しくない。
そしてヴィー用にチリソースを用意してあるのだ。
タバスコは無いが、これで許せ。
「ヴィー、旨いか?」
「おいしい!おいしい!」
「もっと旨くなるぞ?」
「えぇっ?」
チリをちょんちょんと乗せてやると、ヴィーのペースが加速した。
小皿に分けてあるので、各自好きなだけ掛けると良いだろう。
ナズ、アナ、ジャーブが倣い、パニは遠慮した。
エミーは直に掛けるのでは無く、
自分の皿に取ってちょっと付けて食べるスタイルだ。
賢い。
白身魚のムニエルも好評だったし、
コーンスープもお替りを要求された。
無いぞ。
トウモロコシ粉は高いのだ、それで我慢して頂きたい。
「そういう訳なので、後で作り方はナズとエミーに共有する。
また食べたかったら2人に言ってくれ」
「また食べられるのですか!」「ほんと!やったぁ!」
ピザ3枚は結構なボリュームであったため、3切れが残った。
皆お腹が一杯なので手を付けようとしない。
夕食時にちょっとずつ切り分けるかと思っていたが、
ナズが酒場に持って行きたいと言い出した。
どうぞ勝手にしてくれ。
あの酒場には石窯が置かれていなかったので多分作れない。
美味しい物の共有と言うのならば結構だ。
ウチで作って納品してくれとか言われたらちょっと困るかな。
その場合エミーにはピザ職人になって貰おうか?
ユウキ’sピザだ。
冒険者パニに依る宅配もやっています。
いやいや、金の匂いはするが面倒臭そうだぞ。
今暫くは気ままな探索者で良い。
午後も休日だ。
各自好きな事をして過ごして貰った。
アナには今日のレシピを書いて貰い、エミーに伝えた。
自分用に取ったメモは見せても判らないので代筆が必要なのだ。
その後ナズはアナと一緒に酒場へ、ピザを是非食べて貰いたいとの事だ。
ヴィーは腹ごなしと称して迷宮へ、ジャーブとパニを付ける。
エミーはジャーブから貰ったカチューシャを付け、可愛らしくなっていた。
メイド服、着させるべきだよな。
自分は夕食の支度をする時間までは庭で弓の練習をした。
*
*
*
弓の練習は集中力との戦いだ。
勿論体力も必要ではある。
聖天弓は驚く程簡単に弦を引く事ができるが、
練習で使用している木の弓はそこそこに硬く、狙いも付け難い。
命中補正のスキルだって付いていないのだ。
それでもちゃんと当たっているのであれば、
実力的にも当てられるだけの腕前があると言う事なのだろう。
近距離なら。
遠距離、と言うか弓術本来の練度で言うとまあお察しだ。
的には何とか中たるが中心では無い。
しかし実戦で使うとなれば、近~中距離で当たれば十分である。
スナイパーでも無いのだし、本職は魔法使いなのだから。
同時に2本射る事ができて、毒の発生確率が2倍になるだけ良しとしよう。
集中力が切れたので居間に戻って休む。
ナズは再び出掛けて行ったが、エミーはハーブティを沸かしてくれていた。
「ありがとう、エミー。休日だがもう良いのか?」
(こくり。)
「夕食も自分が作るからな、見ているか?」
(こくこく。)
見られていてはレシピ本を使用し辛い。
納屋でメモして持って来るしかなさそうである。
と言っても作るのはカレースープ、
薄く作る予定なので本など見る必要は無い。
ニンジン、芋、玉ねぎの皮を剥き、適当な大きさに切って鍋へ入れる。
水を加えて煮立ったら、最後にカレールーを入れるだけだ。
簡単である。
カレーとパンだけでは物足りないと思い、
フライドポテトも作ってみた。
多くの異世界物の小説では主人公達がポテトチップスで無双しているが、
そんな馬鹿な。
この世界でも揚げた芋料理はあるし、何だったら揚げ野菜も普通にある。
と言うか、酒場の女将さんが出してくれた料理にポテトフライはあった。
地球文明に於いて出て来るのが遅かった理由は恐らく油の問題だ。
中世まで植物油は希少品で高価だった。
迷宮のあるこの世界ではオリーブオイルが無限に供給される。
つまり油が豊富にある世界では、ポテチで無双するなんて不可能なのだ。
リアリティを追求するためにも、是非精油からやって頂きたい。
油を取るのは面倒なんだぞ?
それはさて置き、この世界に於いても油料理で不可能な物がある。
ミチオ君が作った天婦羅や魚のフライは、恐らく無いのだと思う。
天婦羅は工程が複雑で、上手に揚げるには技量も必要となる。
一般家庭では中々に難しいだろう。
そして上流家庭にも無い。
パン粉が粗末な物扱いされている時点でもう思考の放棄だ。
ちなみに自分は天婦羅をカリカリに揚げられる自信が無い。
その辺はいつかやるとして、
今回はオーソドックスなポテトフライでは無く、
チーズチリソースを追加する。
赤いおさげ髪の女の子がトレードマークである、あのポテトだ。
水曜日みたいな名前のファストフード店の定番メニューである。
日本にいた頃はあれが大好きで何度も注文をした。
それがっ、今ここにっ!
オリーブオイルを鍋いっぱいに広げ、
マッシュしたジャガイモを適当な大きさにペーストして落とす。
崩れないように少々小麦粉バターで繋いだ。
多分本場とは若干食感が異なるが、そんな物は微々たる差だ。
大失敗するよりは良い。
狐色に変わり、程良くカリカリになったら大匙で集めて掬う。
うーん・・・やっぱりザル状の物が欲しい。
納屋から雑巾を取って来る。
雑巾と言っても未使用だから汚くない。
いや1回バスタオルとして使ったと思うが、洗濯はしてあるはずだ。
皿の上に畳んで置いて、油切として使用した。
程無くして山盛りにフレンチフライができ上がった。
うーん・・・、色が紫以外は完璧である。
次はソースだ。
昼に使用してまだ冷めきっていない石窯へ再び炭を入れ、
フライパンにチーズを削って乗せ、そこにチリソースを加える。
細かく崩した豚バラ肉と煮た豆を加えて混ぜれば、
特製チーズチリソースのでき上がり。
鍋が煮立ったので、カレールーを納屋から持って来て投入した。
カレー用の豚バラ肉はここで入れる。
ついでに豚バラミンチを作り、カレールーを砕いて捏ねた。
適度に焼いて拳大位のカレー玉ができ上がり、
これならヴィー以外にもう少し辛くしたい者が居ても大丈夫だろう。
ミンチ作成にはメザルーナを利用させて貰った。
アナ、ナイスだ。
ピザカッターとしても使用したし、早速大活躍している。
カレーと言えば揚げパンだ。
余ったカレー玉を中に入れ、カレーパンにしても良い。
早速トリアに行って揚げパンを5つ購入した。
家族が増えれば食費も増える。
それは仕方が無い。
カレールーは後1回分程度しか残っていない。
3度目を作る際には、こちらの世界で原料を探さなければならない。
エミーがいる事だし、聞いてみた。
調整されたカレールーには、何ちゃらエキスだとか様々な物が入っている。
しかし、カレー本来は数種のスパイスで作れる。
メインとなる4,5種類のスパイスが揃えば、カレーは作れるはずなのだ。
カレールーのパッケージに書いてある順に、スパイスをメモして来た。
日本で売られる商品は、原材料に配合が多い順で記載されている。
これ豆な。
──コリアンダー、ターメリック、クミン、チリペッパー、
カルダモン、グローブ、ナツメグ、シナモン。
上から4つは外せない位に大事なのだろう。
それぞれに付いてエミーに尋ねた。
「コリアンダーと言うスパイスは聞いた事があるか?」
(ふるふる。)
「ではパクチーは?」
コリアンダーとパクチーは同じ物だ。
葉っぱがパクチー、種がコリアンダー。
エミーは首を傾げた。
「うーん、何かこう匂いが緊くてピリッと辛い葉っぱなんだが」
エミーは台所にある瓶を持って来て机へ置いた。
これはユーアロナの高級食材店で買った辛パセリだ。
ええと・・・?同じ物?
そういえばピリッと辛くて独特の匂いがある。
「これの種を買えるか?」
(こくこく。)
「少し甘い香りでピリッと辛い?」
(こくこく。)
当たりか?
エミーを店に連れて行って、種を1つ齧ってみれば解かるだろう。
「次。ターメリック、ウコンでも良い」
(こくこく。)
知っているようだ。
「どこで買える?」
エミーは手振りで説明しようとしたが、残念ながら意味が解らなかった。
ナズなら理解できるのかもしれないが、
この世界に手話があるのか、それすら不明だ。
ジャーブが買って来たエミー専用のパピルスに、
何かをサラサラと書かれたがそれも意味不明だ。
読めない。
エミーに相談する作戦は難しかったか。
「済まんな、エミー。自分は文字が読めないのだ」
そう伝えるとエミーはパピルスに黒い四角を書き、
そこに続く迷路を描いた。
「もしかして迷宮の敵から出るのか?・・・ええとギルドで買える?」
(ふるふる。)
しかしこの図が迷宮を意味している事は間違い無い。
ドロップ品なのにギルドで買えない物なんてあるのか?
「拾って来るだけ?」
(こくこく。)
なんてこった。
ウコンは迷宮産で、生薬の材料か。
確かに元は薬として使われていた物だから、
つまるところ薬草採集士たちの利権アイテムだ。
そうしたら一般人では購入できないじゃないか。
それらをドロップする階層に行ける知り合いの探索者へ頼るしか無い。
カレーが一般家庭に広まる事は今後も無いだろう。
「クミンはどうだ?」
そう言うと、エミーは再び描いた図を指さした。
クミンもか。
確かにクミンも古来より中国では薬草扱いだ。
残るチリペッパーは、赤唐辛子。
・・・そう、レッドスパイスも迷宮産だと言っていた。
チリソースを作る際に意外と高かったアレだ。
1粒で700ナール以上もする。
凄いな、カレーって。
薬草の固まり、薬膳料理じゃないか。
辛パセリ以外は迷宮産だった。
そしてカルダモン、グローブ、ナツメグ、シナモンの4つは、
エミーが理解できなかった。
他の名称が判れば伝えられたかもしれないが、これが限界である。
もしかしたら未発見かもしれないし、
あったとしてもこの地方には無い物かもしれない。
名前がこの世界特有である斜め上の方向であったり、
調味料では無く別の使われ方をしている物かもしれない。
そもそも原材料の味や香りを知らないので、
エミーが知る全ての調味料をここに並べられたとしても、
これだと判断する事もできない。
唯一シナモンなら匂いや味が判るが、
最も使用量が少なそうな物を入れても味がおかしくなりそうで・・・。
だが、上位4種類は入手できそうだと判明した。
もしかしてカレー、何とかなるかも?と言う期待が生まれ心躍った。
「今言った4つを混ぜればこれに近い物ができるはずだ。
配合は詳しく知らないので、実際に入手できたら色々試してみよう」
鍋で煮え立つカレーを指さしてエミーに伝えると、彼女は大きく頷いた。
ついでにカレー玉を少し摘まんで味見させると、
エミーはパピルスに何かを書いた。
味わった感想なのだとは理解できるが、残念な事に意味が解らなかった。
***
夕食時にはヴィーが辛さに吠え、アナまでも追い玉を使用した。
ナズはカレーパンを自力で生み出し、ジャーブもエミーも真似た。
パニにはカレースープが辛いと不評だったので蜂蜜を入れてやった。
チリの利いたフレンチフライも好評だったが、
パニはそれすら蜂蜜を掛けた。
良いの?それで。
本人が良いなら良いか。
∽今日のステータス(2021/11/05)
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv42
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv41
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 探索者 Lv40
鉄の剣(++)チェインメイル(++)皮の靴(-)
↓
・ジャーブ 狼人族 ♂ 28歳 騎士 Lv42
・ヴィクトラ 竜人族 ♀ 12歳 竜騎士 Lv41
・パニ 竜人族 ♂ 15歳 探索者 Lv40
・各自の休日
ナズ → 果物 50й、チョーカー 200й
アナ → メザルーナ 750й
エミー → 水差し 150й、ハーブの種 15й、
バスケット100й
ジャ → 筆記具 100й、カチューシャ 400й
ヴィー → チーズ 500й
パニ → 爪砥ぎ鑢 400й、除毛ナイフ 100й
・繰越金額 (白金貨2枚)
金貨 89枚 銀貨 95枚 銅貨 77枚
パン代 (50й)
揚げパン 50
銅貨-50枚
------------------------
計 金貨 89枚 銀貨 95枚 銅貨 27枚
・異世界43日目(昼)
ナズ・アナ38日目、ジャ32日目、ヴィ25日目、エミ18日目
パニ8日目、56層同行まであと2日




