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異世界迷宮の追従を  作者: えぁりん
♯第二章 下積
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§012 都会

トラッサの街の西に冒険者ギルドがあると聞いていた。

そこから貴族の多く暮らす街まで送って貰う。


中央広場を抜けて直ぐの建物から、

団体さんがちらほらと行き交う建物があった。

一目で解かる、ここが冒険者ギルドだ。


建屋に取り付けられた看板は靴の模様が描かれていた。

これが冒険者を表す共通のマークなのか、

この街だけの物なのかはまだこれだけでは判断できない。


建屋内の壁に絨毯が張られており、そこに男が立っていた。

この絨毯を使って移動ゲートを出す、と言う事は理解している。

ならばこの男は冒険者、現代で言う所のタクシーだ。

行き先を聞いて客を取る事を生業としているはずだ。


「済まないが、貴族が多い街まで行けるか?確かル・・・何とかって言う」

「ルイジーナですか?銀貨2枚ですね、お1人で宜しいですか?」


「ああ、頼む」


ルイジーナまでは銀貨2枚の距離だった。

この銀貨2枚の距離と言うのはどの位なのだろう。

地球のように世界単位があるとも思えない。


キロメートルで言って貰えれば理解できるが、

この世界は冒険者がフィールドウォークで疲れたと感じる消費MPが、

移動時の距離単位に当たる。

つまりどういう事かと言うと、人それぞれで距離感が違うと言う事だ。


銀貨2枚となると、それなりの距離があるのだろう。

少なくとも最小単位の銀貨1枚、初乗りの距離では無い。


送りの冒険者からパーティに入れて貰ってフィールドウォークで飛ぶ。

ゲートをくぐると白い壁で覆われた大きな建物に出た。


ここがルイジーナか。


ミチオ君の物語にあった「帝都」の規模では無さそうだが、

それでもハッキリと、ここはかなりの有力者がいると理解できる。

とても洗練されていて大きな街であると言う事は一目で解った。


何せ全部の建物が白いのだ。


木造建築中心で、皮の鎧や鉄の鎧を着こなす冒険者が、

町中でガヤガヤしているトラッサとは全く違う。

白いモルタルで覆われた街並みに、

外套やターバン、ワンピースを着ている者が上品に歩く美しい街並みだ。


パーティが解散されて1人になる。

どこへ行ったら良いか判らないので、

取り敢えずギルドの受付に聞いてみた。


「この町の商館に行きたいのだが」


「それでしたらここを出て右に、────です」

「分かった、ありがとう」


受付に礼を言って紹介状を預かった商館へ向かう。

地球にもこんな街並みがあった。


ギリシャのサントリーニ島だったか、白い建物が美しい港町だ。

勿論行った事など無い。

テレビで見た位だ。

ここは港こそ無いが、それに似て美しく惚れ惚れする。


そういえば、この町にはゴミが落ちていない。

これだけ大きな町なのに、建物や床は綺麗で汚れが少ない。


住民は洗練されているのか、法律が厳しいのか、その両方なのだろう。

地球でもシンガポールなんかは道端に唾を吐いただけで罰金らしい。

おかげで国全体ピカピカだそうな。


道なりに、どんな商店があるか流し見して行く。

オーダーメイドのブティック、雑貨屋、靴屋、帽子屋、

この通りはファッション中心なのだろう。

お金に余裕ができたら、奴隷たちに買ってあげても良いかもしれない。


まだ購入していない奴隷に、

服を買ってあげているイメージをして顔がニヤけた。

これでは、付き合ってもない彼女とのデートを妄想する気持ち悪い変人だ。


待て待て。

自分にも彼女がいた時期はあるし、それなりの交際経験だってある。


無いのはもっとその先なのだ!

今後の生活をイメージする事は大事だ!

1人で妄想に突っ込んで言い訳をして解決した。



   ***



ルイジーナの商館は大きかった。


もう別に奴隷は暫く必要無いだろう。

一気に増やし過ぎても扱いに困るし、

収入が安定しない内は食費や雑費にだって困る。

地道にやって行くのが一番だ。


そもそもそんな金が用意できるかどうかすら怪しい。

まずは持って来た石鹸が売れるかどうかに全てが掛かっているのだ。


この商館は一角だけ植木で覆われ、

屋敷は垣根から数メートル離されて建っており、

ちょっとした離宮のような作りになっている。


簡単には中をうかがえないし、逃げ出そうにも目立つ。

大事なものを守っているから警戒してるぞ、と言いたげである。

門には玄関番が立っていた。


「済まないが、これを」


玄関番にトラッサの商館で預かった手紙を渡すと、建物へ消えていった。

待つかと思ったが、入って直ぐ戻って来て中に案内された。


まあ店と言えば店なのだし、

紹介状なんて無くても用事があると言えば入れるのだろう。

貴族の家に押し掛けた訳では無いのだからそんな物か。

玄関番は入り口まで案内するとまた門まで戻って行った。


玄関にはここでも若い男が迎えてくれた。

こういうのは見習いがやる仕事なのだから当たり前か。


「ようこそいらっしゃいました、ご案内致します」


この世界ではだいぶな位丁寧な接客を受けたが、

特に驚きもしないのは日本人だからなのか。

ちょっとしたホテルのベルデスクがそんな感じだ。

それだけ、この商館の格式の高さが窺える。


ここでも応接室に案内され、礼を言ってソファーに座る。

奥からこれまただいぶ年配の、

それでもやり手であると一目で解る位の威圧感を放つ男が出て来た。


 ・ザイード 人間 男 72歳 奴隷商 Lv61


「ようこそおいでなさった。ワシがあるじのザイードだ」


「ザイード様ですね、宜しくお願い致します。ユウキと申します」


この世界に名刺交換は無い。

顔を見て話したらそれで終わりだ。


1回の面会で絶対に相手を覚えなければならない。

それができなければ大商人には成れないのだ。

このザイードと名乗るやり手は、

これまでどれだけの人と会い、その人らを覚えているのだろうか。


「珍しい物を商うと聞いたのだが見せて貰えるか」


「はい、そのつもりでこちらにお邪魔させて頂きました」


リュックから木箱に入った石鹸を取り出し、蓋を開けずに突き出す。


「こちらになります」


ザイードはその箱を手に取ると、

芳醇な香りに「ほぅ?」と声を漏らし、

蓋を開けて「おおっ」と声を上げた。


「これを卸したいと?」


「そのつもりです」

「いくつ用意できる?」


「4つでございます」

「少ないな、それ以上は?」


「恐らく、もう手に入れる事ができません」

「どうしてだ」


「それを作った者は、既にこの世にはいないのです」


この世にはいない・・・多分。

地球では自動的に作れる機械がわんさかある。

嘘は吐いていない。


「成る程・・・。高名な錬金術師か、

 はたまた名工の細工師が生涯を掛けて作った結晶と言う訳か」


「恐らくは」

「そもそもの話だが、お前はどうやってこれを手に入れたのだ?」


「これを作った職人に、材料を提供する商いを父がしておりました。

 父が引退した際に、今までの礼として受け取ったそうです」


嘘でどんどん塗り固められて行く。

100均で買ったとは絶対言えないミラクルアイテム。

自分がいた嘘で気分が悪くなって来た。


「で?」


ザイードはこちらを睨んで来た。


何か悪い事を言ったのだろうか。

嘘を見通されたのか。

やはり適当にその場限りの出まかせをせず、

もっとしっかりとした裏付け話を用意してから話せば良かったか。


「ええと・・・」


準備も何も無しのぶっつけ本番で、そう説明するしか無かった。


もう駄目だ、55万ナールは用意できない。

ナジャリ、アナンタごめん、君たちのパパには成れなかった・・・。

∽今日の戯言(2021/07/22)


もう少しやり手の商人の貫録を出したかったのですが、

筆者の語彙力の限界です。

何せこれまで小説なんて書いた事が無いですし。

それも書き始めたの昨日ですし。

言い訳ばかりですし。



 ・繰越金額

     金貨 14枚 銀貨119枚 銅貨110枚


  ルイジーナ旅費           (200й)

            銀貨- 2枚

  ------------------------

  計  金貨 14枚 銀貨117枚 銅貨110枚



 ・異世界5日目

   トラッサの市まで1日、宿泊2日目

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