藤、不在
・・・・・・。
おい。どうしてくれる。
これは・・・、家の話。
ふえ、ふざけんなよ?
いつもの朝、いつもの今日、
藤の芽は伸び始めた昨日を
思いながら
水を枯らしては駄目なので
必ず水をあげないと・・・・・。
『・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・』
藤の植木鉢、土のみ。
藤不在。
藤の植木鉢には、土のみ。
散乱した土がその辺にある。
土、クッションモスに大量。
コンクリ、赤玉散乱。
藤の植木鉢、転がった?
否。
植木鉢ごと転がっても
土は片側一方へ広範囲に散蒔かれる。
広範囲に土が散蒔かれる転がりなら
近くに有った一寸桜も
巻き添え転がりするので
植木鉢転倒しての藤不在でない。
不自然である。
藤の植木鉢、引き抜かれた雑草が鎮座。
藤の植木鉢に有ったとされる土よりも
少なくなっての
根っ子付き雑草が鎮座。
この雑草は引き抜かれたのが正しい。
そして、丁寧に
雑草を藤が居た植木鉢へ置いてるのだ。
人為的である。
植木鉢は直立して、藤が不在で
その植木鉢に雑草鎮座して
土の散蒔きが不自然であり
藤の植木鉢が倒れたなら
一方に勢い良く土は散蒔かれる。
クッションモスへ土が被ってるのに
一寸桜に土の痕跡がない。
クルリと転がるように
植木鉢が倒れた場合でも
一寸桜に土が被るし、
その他の植木鉢にも
周囲に土があるはずだ。
以上により、人為的の可能性が高い。
近くを探すが
周囲に私の藤が放置されても無い。
今日は、可燃ゴミを捨てる日だ。
ゴミ収集車は通り過ぎてる。
可能性をあげるなら
引き抜かれた藤を可燃ゴミとして
ゴミ収集の場へ置いて
処分した愉快犯も有り得そうだ。
うん。
写真撮影してから、110へ。
「もしもし、
あの、藤の木を盗まれました。
知ったのは今です」
「今どのような状況でしょうか?」
「家の傍、私が育ててる藤の木が
植木鉢から引き抜かれた状況です」
「犯人を見ましたか?」
「いえ、犯人は見て無いです。
今の状況が
家の傍、私が育ててる藤の木が
植木鉢から引き抜かれた状況です」
「この電話は緊急の電話なので
大阪警察署までお電話をお願いします」
「あ、申し訳ございません。
気が動転してしまって、
申し訳ございません。
では、失礼します」
そして、大阪警察署へ電話。
警察が来るとの話。
植物泥棒を調べていくと
道路に面した植物を盗まれた場合
警察は動きが少ないようだ。
人材不足してるし
人コロの方が優先度が高いので
後手後手後回し、優先度低い。
・・・・・・。
だからって、
被害届を出すのは自由でしょ?
バイクで警察官、一人、登場。
はぁ?待てや、二人で動いているのでは?
「状況をもう一度教えて下さい」
「気付いたのは9時20分。
水揚げしようと向かい
その際に発覚しました。
発覚してから触ってないです。
状況はこのままとなってます。
昨日、水揚げをしてから
9時20分まで
私はこの状況を知りませんでした。
本日はゴミ収集の日なので
証言など、集めやすいと思います」
「ご両親がこの事態を知ってるか
何かしたのかを
確認してもよろしいでしょうか?」
「お、はい」
家に入り、父母から
藤について話をしたが、
両者とも
知らない。何もしてない。と言った。
「あの、知らないとのことです。
この事を知ったのは今で
知らない。何もしてない。そうです」
「そうですか。
自分はお巡りさんで
刑事課ではないので、
ご了承をお願いします」
「はい、分かりました」
離れた所へ行き
無線でやり取りする。
何も聞こえないけど、
どうなってるのだ???
後、警察バッチの番号を覚えておこ。
「カメラを設置してますか?」
「お隣さんが設置してます。
後は、設置してないです。
カーナビだと裏ご近所さんですし。
今日はゴミの日なので、
証言が集まりやすいと思いますよ?」
「そうですか」
「被害届を出したいのですが」
「被害届ですか?」
おい、なんだ、その躊躇いは?
植物泥棒でも、出すには出せるだろ?
「出しても、戻ってくるとは
限りませんよ」
「はい、分かってます。
それでも、出します。
出さないと気が済みません。
許せないですし」
動かないと始まらないだろ?
「それに、この状況、どう見ても
私には人為的にされたと思います。
泣き寝入りなんて、絶対に嫌です」
精神的苦痛もあるのだが?
「お気持ちは分かりますが
カメラの設置が不足してますから」
「被害届、出します。
悔しいですし、
泣き寝入りなんて、嫌です。
動かないと何も始まりませんから
被害届を出します。絶対に出します」
警察官は観念したように
白い紙が挟まったバインダーを
取り出して
「分かりました。
こちらに氏名、とふりがな。
住所、生年月日、電話番号を
こちらへ記載をお願いします」
「はい」
私は、ペンとバインダーを受け取り
言われたとおりに書き始めた。
その間に警察官は
被害の状況をスマホで撮影しだした。
・・・・?
なぜ、スマホ?
いまどき、そんなもんと、
考えつつ、言われたとおりの事を
書き終わる。
写真撮影を終えた警察官は
私を見ていたので
バインダーを渡した。
不備がないかを確認してから
私と向き合う。
「では、刑事課から
電話での指示に沿って
被害届を出すようにお願いします」
「はい。有り難う御座います」
・・・・・。
まぁ、うん。
ネットで知ってたけど
当事者になると、対応にイラッと来るね。
植物泥棒でも、動けや。
ゴミの日なので
情報も集まりやすいぞ。
盗んだ犯人が
庭へ藤の地植えをしたら
成長して大きくなり
藤棚や有線誘導をしないと
藤がしなるし
最悪の場合、幹が折れたりもするので
頑張れ。
そこまで
藤を成長させた覚えも無いけどな。
考えがあまり、巡りにくい。




