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気付くとどこかの部屋にいた。石の壁と床に魔方陣がある以外には何もない。
「えーと?」
「どこ?」
目の前の光景がいきなり変わったのだ。驚きもするだろう。
と、唐突に扉が開かれた。
「あー、こんにちは?言葉通じる?」
不安そうにしながら話しかけてくる背が低めで腰まで伸びている青い髪の少女と、油断することなく警戒している全身鎧のいかにも騎士のような人物が二人。
「「テンプレか」」
召還やら何やらに手を染めていた二人は異世界と判断して、よくある物語としてそう結論付けた。
「え、えぇと、え?」
「ん?優介、何その角と羽」
「え?...あ、本当だ、ある。でも、ガリルさんも、the騎士って感じですよ?」
「おー。何か動きにくいと思ったらそーいうね」
二人は目の前の少女達を無視し、自分達の姿の変化を確認している。
「あ、あの...」
「ん?あ、忘れてた」
「え?....あ、どもです」
少女の存在を思い出した二人は、とりあえず話を聞くことにした。
「こんな所ではなんですので、場所を変えましょう。案内します」
そういって、護衛を引き連れ歩いていく。
「後ろから攻撃されないとでも思ってるのかね?」
「でも、しないんでしょ?ガリルさん?」
「ま、しないけどね。いきなり大罪人とか嫌だし」
そんな馬鹿話をしながら着いていくと、広い部屋に通された。
扉から一番遠い場所には大きな椅子があり、そこに如何にも王様といった髭王が腰かけていた。
「あ、悪魔...!いや、召還された以上、先入観は無しか......」
「おー!日本では見れないようなリアル王様!」
「テンプレダナー」
王が一人で悩んでいる間、二人は良くあるストーリーだと感心していた。
「此度召喚したのは、魔王を...討ち取って欲しいからなのだが......」
「ん?何でそこで黙る?」
「優介の見た目、完全に魔王側だからじゃ?」
「あ、なるほど。魔王側じゃないですよー。ボク、ミンナ、ノ、ミカタ、ダヨー」
「怪しいw」
その態度を見て、周りの大臣や騎士、貴族がざわめく。
「静粛に」
王妃と思われる人物がそう呼び掛けると、皆、黙った。
「それで、討ち取ってくれるかの?」
「......」
「......」
王の問いに、二人は考えるように互いを見て、王に視線を戻し
「「だが断る」」
堂々と断ってみせた。




