表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/14

魔法少女カノンの初配信 前編


 魔法少女総合病院・副院長プライベートルーム内―――


〖超新星・魔法少女アルカナ・カノンちゃん!ぜひぜひ、アイドル魔法少女クラン。『ヴァルキュリー』に来て下さい~!〗

〖ダンジョン攻略や魔道具のことなら、魔道具師クラン『ウィッチ・クラフト』へ!ともにダンジョン攻略を乗り出しましょう!アルカナ・カノンさん!〗


 副院長の蒼井藍に呼び出されたカノンは、フーチュウブやニゴリ動画でアップされているクラン動画の数々を、藍に見せられて困惑していた。


「なんだよ。この勧誘ショート動画の数は?」


【皆さん。ご主人様の名前を連呼してますね。人気者ですね、良かったですね。ご主人さ……フギャラッパァァ!?】


「全ての元凶は、お前が原因だろうがあぁぁ!!アホ猫使い魔!!」

【ヒニャアアアホホホ!?】


「あれは、今世紀最大のとんでも生配信だったからねえ。私もあれを見て大爆笑したよう」


〖配信生ライブのことなら、我が会社に!!最先端の科学技術と撮影技術で、貴方を世界一の魔法少女に致します!なので、どうか『マギア・カンパニー』に見学に……〗

〖え~!こちら、ダンジョン遊戯専門クラン。『カラクリニカリ』だよ~!君の力強いダンジョン遊戯の姿に一目惚れ~!スカウトさせてほしいんだ~……〗


「……ふざけんな。オレは自由だクランなんて、昔、さんざん苦労したんだ。今さら入るかっての」

【ニャパァ!!ご主人様!!アイの身体をモフモフしないで下さい!!ニャホホホ!!】


 アイはモフモフされている。カノンを小馬鹿にしたので容赦なく、気持ち良さそうにモフモフされている。


「使い魔ちゃんと仲良しだね。良いことだよ………それにしても、フーチュウブ。全世界急上昇ランキング1位、切り抜き動画再生数1位……エッグズの検索ランキング、トレンド1位……インズタの画像検索1位。時の人だね。カノンちゃん」


「………もう外も気軽に歩けない。どうすればいいんだ……TSしたから学校にも行けないし」


「あ~!身バレは心配ないよ。カノンちゃん」


「へ?」


「ダンジョン内ではね、魔法少女に変身していない魔法少女には、配信中モザイク処理がかかるんだ。それに、魔法少女に変身中は別人みたいに姿が変わるから特定されないんだ……たまに身バレする時はあるけどね。はい、これ魔法少女議定書。熟読しておいてね」


「魔法少女議定書?……てっ!重!?」


 六法全書並みに分厚い本を、藍から手渡されたカノンは、本の重みで床にペタンと座り落ちてしまった。


「かよわいね……カノンちゃんって、もっと力強くなかったかい?」


「TSして、女の子になったからですよ。この邪悪猫のせいです」

【ニャン……世界有名で可愛い女の子になれたんだから良いじゃないです……嘘です。嘘よぉ~!ご主人様。お腹をタプタプしないで下さい~!】


「それで、うちのクラン……式波院長がリーダーの『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』にカノンちゃんは所属してもらうことになんだけどね。これ契約書、早速サインしてね」


 藍は、ペンと紙を机から取り出すと、カノンへと書くようにうながした。


「ちょっと待って下さい!オレはまだ、クランに入るなんて考えてませんし。魔法少女になるなんて考えてもない!オレはただ、男に戻って暮らしたいだけなんですよ」


「いや、でもね。ここまで盛大に大バスリしちゃうとね。どこかしらのクランに強制勧誘されることになるよ……多分。下手したら誘拐されて、無理やりクランに入れられちゃうかもよ」


「誘拐って……そんな」


「いや、カノンちゃんみたいな可愛い女の子を、世界が放っておかないよ。だから、入るならウチのクラン『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』にしときなさい。病院メディカルチェック、福利厚生、生ライブ配信サポート、魔法少女の学園まで完備しているウチのクランにね。ちなみに、カノンちゃんの将来のお嫁さんのシズクちゃんも所属してるんだからさ」


「いや、そんな熱弁されても……それに、シズクは単なるオレの幼馴染みですから」


 カノンは考える。

 このまま藍の言葉に流されて、クランに、『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』に入っていいものかと。


(元はオレの母さんが創設したクランだし、安全なクランなのは分かってる。『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』は世界でも最大規模の魔法少女クランだ。だけど……クランに入ったら、オレは女の子として生きていく未来が確定するじゃねえかああぁぁ!!こうなったのも全て……)


【ンニャア?なんですか?ご主人様。アイのお腹をタプタプしたりないんですか?(ニチャア)】


(この暗黒竜猫のせいだ)


 カノンは、昨日のダンジョン遊戯中のアイとのやり取りを思い出していた。


《浅草ダンジョン内》


【『赤ずきんの家』に着きましたね。ご主人様……壊れてますけど】


「なんだあれ?魔法少女たちが、変態たちに襲われそうになってんのか?助けないと!いくぞ、アイ!」


【無理ですよ!今のご主人様は、アイの呪いで、か弱い美少女に生まれ変わったんですから。このまま変態さんたちと戦っても負けちゃいます】


「なんだと?……ぐっ……だけど、このままじゃあ……」


【でも、ご安心下さい、ご主人様(ニチャア)……アイの呪いの絆で結ばれたご主人様は、魔法少女に変身することができるんです(ニチャア)】


 どす黒い笑みを浮かべる、使い魔猫アイ……あ、こいつ。絶対なにか企んでやがるな~!気がつくカノン。


「呪いの絆なんて言葉、初めて聞いたぞ。腹黒暗黒竜……だが、魔法少女に変身すれば、あの娘たちを助けられるんだな」


【はい、勿論です。ご主人様!早速、変身しましょう。魔法少女に】


「……お前。オレが追い詰められてる状況楽しんでやがるな」


【いえいえ、そんな滅相めっそうもありませんよう。それよりも、早く魔法少女に変身しましょう。ご主人様!早く早く~!急がないと、ピンチの魔法少女さんたちが大変な目にあいますよ】


「……変な変身だったら。もふり倒してやるからな……オレの魔法の力は『全能』。そして、もっとも得意な属性は『光属性』だ。太陽の日の光よ。オレに力をサンライト・イリュージョン!!」


 シ~ン……なにも起きなかった。


【あぁ、アイは暗黒竜なので、闇魔法が一番得意です。なので、ご主人様はアイとの契約したことで闇魔法も使えるようになったのでしょうね。光魔法と闇魔法は相反する力ですので、ご主人様が光魔法の力を使おうとしても反応するわけありませんね。残念です】


「……このアホ猫。オレがまともに力が使えなくなったのも、やっぱりお前のせいじゃねえか!!ふざけんな!!」


【フギャラッパァァ!?『白夜』の力は使えます!使えますから!モフモフしないでえぇぇ!!試してみて下さい!!】


「『白夜』の力だと?……ライト&ダーク・イリュージョン!!」


【凄い力です……これがアルテミス様が言っていた。真なる力ですか】



「あの後、ピンチの魔法少女たちを救うのに必死で、生配信されてるなんて忘れてたんだよな……そして、オレのとんでも動画が全世界に……」


 フーチュウブのアプリを取り出して、『魔法少女アルカナ・カノンちゃん』で、動画を検索し始めるカノン。


〖もう、自棄糞やけくそだ…… 魔法少女アルカナ・カノン。 満月に変わってお仕置きだあああああぁぁぁぁ!!!!ぶち●しだらごらあああぁ!!〗

〖なに、無抵抗な女の子に手を出そうとしてんだ!!それでも睾丸こうがん付いてる男なのか?お前等はあああああ!!〗

〖魔法少女なめんなやアアあ!!!ほふるぞ!!〗


【……とんでもない本性してますね。ご主人様】


「全部、お前のせいだろうがあぁぁ!!」


「まぁ、まずは落ち着きな。アイスクリーム食べてね」


 部屋にあった冷蔵庫から取り出したアイスクリームを、カノンの口の中に突っ込み、カノンのボルテージを下げる藍。


「ンまぁ!?……藍さん。何を?」


「あれは、カノンちゃんの魔法少女デビューの演出だったことにするから、大丈夫。今日の夜20時に魔法少女アルカナ・カノンちゃんのライブ配信デビューだから。よろしく、シズクが司会ね。それとサポートはカノンちゃんが助けた魔法少女たちがしてくれるから」


「いや……あの、藍さん。オレはまだ、クランに……『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』に入るなんて言ってないんですけど。それになんで、こんなデビュー生配信の準備までしてくれるんですか?」


 矢継やつばやに畳み掛ける藍に、戸惑うカノン。そして、カノンがボーッとしている間にアイとあいが力を合わせて、魔法を使用し、クラン書類に名前を書かせていく。


「クランリーダー……カノンちゃんのお母さんの頼みだもの。当たり前でしょう……書き書き……はい、署名OK!これで、カノンちゃんも正式に『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』の魔法少女の一員っと。ニャホホホ」

【良かったですね。ご主人様、ニャホホホ】


「はっ!?ちゃっと……何してるんです……」


 ガチャッ!と、副院長プライベートルームの扉が開くと。シズクと、カノンが『賢者の石』の欠片で発熱を直した魔法少女たちが一斉に入って来た。


「「「クラン『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』へようこそ!!!魔法少女アルカナ・カノンちゃん!!!イエ~イ!」」」


「は?……何?……君たち?いきなりなんで?……つうか、オレに抱き付くなあぁ!!離れろおぉ!!」


 取り囲むようにして、一斉に魔法少女たちがカノンへと抱き付いていく。


「ママの勧誘だいぶ時間かかったね。カノンちゃん~!これからよろしくね~!」

「助けてくれてありがとうございました~!新入りさん~!」

「動画で見るより、断然かわいいぃ!!モフモフさせてえぇぇ!!」

「ピンチを救ってくれてありがとう。カノンちゃん~!」

「……貴女、素敵だわ。それに可愛いわね。ありがとう」


「は、離れろおぉ!!オレから離れろおぉ!!オレはオト……グエッ!?(暗黒竜アホ猫。お前、なにしやがる!!)」

【ご主人様がTSした元男の子なんて、魔法少女たちが知ったらガッカリしますよ。それよりも、これからの魔法少女ライフを存分に楽しんで下さい。ご主人様(ニチャア)

「お、お前……まさか。これもオレへの復讐の一環か?くそおぉぉ!!!」


「「「これからよろしくね。魔法少女アルカナ・カノンちゃん!!」」」


 こうして、カノンはクラン『福音少女エヴァンゲリウム・プリムス』所属の魔法少女に決まったのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ