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この壊れて、それでも尊き世界で−Errifate 002:Malvane Has Distorted−  作者: 仙台赤べこ
第一章【DARK SOULSな『現実』へようこそっ】
6/36

06.『彼』の生い立ち、そして転生 [なるほど、わからん]

やっと主人公が書けた!!


 彼は『不運』をもって生まれた。

 それは、比喩ではない。

白鷺(しらさぎ) (れん)』は、生まれた瞬間から『歪み』の影響を受け、神々の干渉から外されていた。


 天使や悪魔はもちろん、銀河の均衡を維持する神々ですら、彼の存在を正しく認識できなかった。

 だが、それは『自由』を意味するわけではない。

 むしろ、運命の枠組みから外れたが故に、彼は苛烈な試練を受け続けることとなった。


 ――両親からの愛はなかった。

 むしろ、その逆だ。

 父も母も、何かを怨むように彼を殴った。蹴った。怒鳴った。

 

 彼が泣いても、叫んでも、誰も助けてはくれなかった。

 近所の大人も、外で出会った人たちも、彼に無関心だった。

 それは、『歪み』によって、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 では、なぜ両親だけが彼を認識できていたのか。

 それは――『()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()両親(彼ら)()()()()()()()()()

 

 親として守ることも、愛することもなかった二人が、『邪魔な彼を捨てずにいた』のは、そういうことだった。


 しかし、彼にとって唯一、幸福と呼べることがあるとすれば――『他者からの悪意』すら、世界が彼を『認識できなかった』せいで訪れなかった、ということかもしれない。


 本来なら、彼はとっくに壊れていたはずだった。

 耐えきれず、心が折れ、身体も傷つき、どこかで壊れているはずだった。

 だが、彼は壊れなかった――いや、壊れ『()()()()()()』。


 死後、彼の『魂』は完全な球体――それは疵痕すら存在しない『完璧』な魂だった。

 それが何を意味するのか、当然彼は知らない。

 

 だが、それゆえに、彼の存在はあまりにも異質だった。

 通常、生物の魂は感情、苦悩、愛憎など、様々な感情によって形が歪む。


 だが彼には『執着』も『願い』もなく、魂はまるで無垢なる虚無。

『名前』だけしか与えられず、誰の記憶にも残らず、世界からも見放された。

 

 故にこそ、彼は『世界の物語』にさえ存在できなかった。

 心が折れず、身体は耐え、飢えても衰弱せず、傷ついても――口を裂かれ、爪を剥がされても、大事には至らず治ってしまう。

 それを、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 彼は『痛み』を感じた。

 ――だがそこに、『苦しみ』はなかった。

 彼は『悲しみ』を知っている。

 ――だがそれを、『絶望』とは認識できなかった。

 だから、助けを願うことすらしなかった。


 そもそも、『願う』という概念が、彼には存在しなかったのだ。

 願うには、まず『希望』が要る。

 誰かの信じる心が、世界を肯定する意思が。


 だが彼には、そういった心の『起点』が与えられなかった。

 だから願うことも、祈ることも彼にはできなかった。

 それこそが――『歪み』の影響だった。


 ――彼は死ななかった。

 どんなに痛めつけられても、身体は動き続けた。

 どんなに絶望するようなことがあっても、精神は折れなかった。

 どれほどの苦痛を受けても、『それだけ』で済んでしまう。


 泣き叫んでいたのだって、子供特有の『そういう機能』だったに過ぎない。

 通常、人間は耐えきれない環境に置かれれば、『死』や『逃避』という解放を迎えたがる。

 

 だが、『歪み』によって世界のルールから外された彼に、その選択肢はなかった。

死ぬことさえ(壊れることすら)』、許されなかった。


 ――しかし、『運命(その日)』は訪れる。

 彼はある日、『悪縁』の少女に『見つけられた』。

『不運』が『悪縁』を呼び、『悪縁』が『不運』と出会わせる。

 偶然か、必然か。


 それは午前に大雨が降った、曇天の日だった。

 夜逃げ同然に逃げ出す両親に連れられ、彼は盗んだ車に乗っていた。

 

 しかし、途中で事故に遭い、道路脇の氾濫した川へ投げ出されてしまう。

 水の冷たさを感じる暇もなかった。


 暗い激流に翻弄されながら、ぼんやりと、何かが見えた。

 こちらに近づく、黒く長い髪。

 土砂と激流で汚れた薄着の恰好。

 腕を掴まれ、強引に引っ張られる。

 一瞬の解放感。次に訪れるのは、暗転。


 その日、川で溺れた彼は、そこで一人の女子高生に『見つけられ』、救われた。

 だが、その時。

 ――『歪み(不運)』の一部が、彼女に移ってしまった。


 それは、彼女が彼の『運命』に触れてしまったから。

 触れた唇から、まるで感染するように『歪み』は彼女へと這い移った。


 そしてそれは、彼の『運命』を変えるきっかけにもなる。

『耐えられる暴力』と『変わり映えしない日常』が、唐突に終わりを迎えたのだ。


 ――月の見えない帳に、彼は『六歳の誕生日に死んだ』。

 それは、事故から数日後の出来事であった。

 黙って間借りしたアパートの全焼によって。


 いや、『()()()()()』と言うべきか。

 原因も、証言も、すべてが何の捻りも、事件性すらない『不慮の事故』。

 今まで生きてきた彼は、そんなあっけない最期でこの世を去った――


 時を同じくして、彼が亡くなった場所からほど近い場所。

『旧華族』の所有する、取り壊し予定の『道場』で、『男性一名』『女子高生一名』が亡くなる、『死亡事件』が起きていたらしい。




―――――――――――――――――――――――――




 ――――――

 ――――

 ――リンッ、リンッ、リンッ、リンッ、リンッ、……――


((……ぼぉ)…………)


『俺』は今、真っ暗闇の視界――ごわごわの袋を被せられ、ひどい悪臭と四肢(?)、それから首をがっちりと固定された状態で目が覚めた。

 それは、この『リンッ』という、『頭の中に響く澄んだ高音がうっさいから』、ということの他に、()()()()()()()()()()()()、『この音と連動した文字羅列』も原因だった。



[リンッ――【苦ハ楽ノ種】を発動]

 ⇒今までに受けた『苦』で『耐性』が与えられます


[リンッ――〈痛覚耐性〉を得ました]

[リンッ――〈苦痛耐性〉を得ました]

[リンッ――〈鈍痛耐性〉を得ました]

[リンッ――〈激痛耐性〉を得――



 瞼を開けても閉じても映るこの文字列の意味を、()()()()()()()()()()()、自分が濡れた衣服――血塗れの服を着て、左腕と左の膝先がもう『無い』のだと察する。

 寝心地の悪いベットの上に拘束され、欠損した体に血塗れた恰好……これはどうみても―


(拷問されてた人の『それ』……なんだよなー)



[リンッ――〈切断耐性〉を得ました]

[リンッ――〈断片耐性〉を得ました]

[リンッ――〈断裂耐性〉を得ました]

[リンッ――〈圧迫耐性〉を得ました]

 ――――――

 ――――

 ――



 次々と流れる拷問されていた事実(確信に繋がる材料)に、それでも俺は冷静だった。……というか、俺の意識がいま、別のところに向いているから、ということでもあった――



[【名前】レン(白鷺 蓮)【年齢】10(6)【性別】男


【種族】白夜人・変異種


〇Level:1


〇状態異常:()()


〇魔力:E→--


〇筋力:E→__


〇潜在力:C→__


〇耐久力:E→__


〇抵抗力:D→__


〇体力:E→__


〇敏捷力:D→__


○技能

 ――――

 ――



((……ぼぉ)……なるほど、わからん)


『耐性表示』と同様に、意識がはっきりしてすぐに浮かんできたこの文字列。『音と文字(なにこれ)? 俺、今どういう状態?』と疑問に思ったら、『ポロンッ』と目の前に現れたものだ。

 その時、『耐性表示』は視界の右端の方へ追いやられたまま、今なお鳴り続けている。


(……名前は、()()()()()()。年齢は多分……違うか? 『10歳』じゃなかったと思うから、隣の(6)(括弧)がそうかも? ……やばい、何も思い出せねぇ……。ってか、手足欠けてんのに、『正常』って何だよ。これもバグか?)


表示(これ)』は、多分『自分の情報』を示してるんだろうけど、この形式には馴染みがない……それなのに、見方や意味がちゃんと理解できる。

 まるで、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()――そんな、()()()()()()()


(まぁ、それはいいんだけど……問題があるとすれば、この『魔力』『筋力』とかの()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。…………あ、んん?『これ』のせいで『バグ』ってるのか?)


 そう思うに至った理由が、『表示』の下の欄に記載されていた――



[【異界しゃノたマシい】:『転生者』の魂を器に同調、定着…………不測の…態に…調、定着……程に…不備が…生じ、失敗……た。再実…………一部…敗……。再……緊急処置実行に伴い、魂の同調、定着を最低限行い終了。不具合により、Level上昇不可。魔力回路消失。技能・称号の習得、取得、継承不可

└〈異界ノ適応体〉:共通言語理解・ニホン語、共通文字理解・ニホン語、✕自己理解翻訳/○()()()()()()()()


[【遊戯盤ショu】:任意発動。『認識、意識したあらゆるもの』の能力、状態などを盤上に符号として明らかににすするルルr]



(……やっちゃってんなぁ。……あと、『他者共通翻訳:サク』ってなんだよ? 人の名前か? ……わからん)


 この二つの表示だけに、ノイズ混じりの文字が滲んで見えている。読めないようで読めるこの内容的に、『記憶喪失』と『表記のバグ』はこれのせいなのかもしれない。

 さいわい、表示のバグは『アルファベット表記』と『二つの説明』以外には見当たらなかった。それに、こんな状態なのに冷静でいられる『ワケ』もわかった――


(……うん?)



[リンッ――〈苦悶耐性〉を得ました]

[リンッ――〈()()()()〉を得ました]

[リンッ――〈()()()()〉を得ました]

[リンッ――〈()()()()〉を得ました]

 ――――――

 ――――

 ――


 その時、視界の端で流れていた『耐性表示』に、たまたま気になる文字が映った。


(あー……上の読み方は知らんけど、これって今の状態に関することじゃないか?)


 今の状態――ベッドへギチギチに縛られている自分の現状を客観的にみて、ふと気になった。


(……ちょっと力入れたら、抜けたりして? ――あ)



――――ブチッブチッ!



 思いつきで右腕に力を込めて持ち上げると、少しの抵抗感の後に、手首と二の腕の拘束が千切れ解放できてしまった。


(おぉー、いけたやったー! 耐性スゲー!?)



[※【運否天賦】を発動]

 ⇒一時的に[不運]極化補正



 腕を解いてすぐに、俺は他の拘束を引きちぎり、被せられた布袋を取り払って力の限り叫んだ。


「立゛っ゛だ、俺゛は゛立゛っ゛だ――

「何勝手に起き上がってるんだいっ! まだ『()()』の途中だよっクソガキ!!」



――――ザッシュ!!



 異世界転生しての第一声は、口内と喉に絡まった血溜まりのせいで、低くガビガビのものになってしまった――と思ったら、俺の視界に片腕のない上半身が――あ、いや下半し――



――――ゴットッ!



(無茶苦茶痛い。そして、なぜか顔面を床にたたき……ん? いや、くびがとれたの……――)


 そこで視界は、最初同様の真っ暗闇へと沈んでいった。……しかし、澄んだ音だけはずっと聞こえ続けていた……。



[リンッ――〈奇襲耐性〉を得ました]

[リンッ――〈奇襲耐性〉が強くなりました]

[リンッ――〈急襲耐性〉を得ました]

[リンッ――〈急襲耐性〉が強くなりました]

[リンッ――〈背襲耐性〉を得ました]

[リンッ――〈背襲耐性〉が強くなりました]

[リンッ――〈斬首耐性〉を得ました]

[リンッ――〈斬首耐性〉が強くなりました]

[リンッ――〈斬首耐性〉が強くなりました]

[――〈斬撃耐性〉が強くなりました]

[――〈切断耐性〉が強くなりました]

[――〈断裂耐性〉が強くなりました]

 ――――――

 ――――

 ――

[――〈即死耐性〉が強くなりました]

[――〈絶命耐性〉が強くなりました]

[【死ンデモ命ガアルヨウニ】を発動]




―――――――――――――――――――――――――


◇白鷺蓮のステータス


(※は非表示、見えていないものとする)

【名前】レン(白鷺 蓮)【年齢】10(6)【性別】男


【種族】白夜人・変異種


〇Level:1


〇状態異常:月詠


〇魔力:E→--


〇筋力:E→__


〇潜在力:C→__


〇耐久力:E→__


〇抵抗力:D→__


〇体力:E→__


〇敏捷力:D→__


※技巧:B→A+


※素質:A-→S-


※運気:I→--



技能(スキル)

≪New≫【夜目Ⅳ】:暗い場所でものがよく『視認』できる


≪New≫【気配察知Ⅳ】:周囲の『気配』を少し感知できる


≪New≫【気配隠密Ⅲ】:自身の『気配』を察『知されにくく』なる

《習得、取得、継承不可》



上位技能(スペリオルスキル)

≪New≫【不撓ノ肉体】:任意発動。体力上昇補正。耐久力激化補正


≪New≫【不屈ノ精神】:任意発動。体力上昇補正。抵抗力激化補正


≪New≫【大悪食】:『モノ』を何でも食べられ、普通に感じられる。『消化機能』『吸収効率』激化補正。耐久力微上昇補正。抵抗力上昇補正


≪New≫【生ヘノ執着】:『吸収効率』上昇補正。『瀕死時』のみ効果発動。一時的に全能力激化補正


≪New≫【苦シテ楽ナシ】:『苦』に対し『耐性』を得る

《習得、取得、継承不可》



血統技能(ブラッドスキル)

・【--】

└(技能:〈--〉)

《習得、取得、継承不可》



固有技能(ユニークスキル)

≪New≫【運否天賦(うんぷてんぷ)】:※不定期に[幸運][不運]のどちらかを一時的に極化補正。|???


・【--】


≪New≫【静謐(せいひつ)ノ心】:精神状態を安定、制御できる。抵抗力極化補正


・【--】

《習得、取得、継承不可》



〇…………Unknown……

≪New≫【異界しゃノたマシい】:『転生者』の魂を器に同調、定着…………不測の…態に…調、定着……程に…不備が…生じ、失敗……た。再実…………一部…敗……。再……緊急処置実行に伴い、魂の同調、定着を最低限行い終了。不具合により、Level上昇不可。魔力回路消失。技能・称号の習得、取得、継承不可

└〈異界ノ適応体〉:共通言語理解・ニホン語、共通文字理解・ニホン語、✕自己理解翻訳/○他者共通翻訳:サク


≪New≫【遊戯盤ショu】:任意発動。『認識、意識したあらゆるもの』の能力、状態などを盤上に符号として明らかににすするルルr


≪New≫【死ンデモ命ガアルヨウニ】:???

└【--】

└【--】

 └(技能:〈--〉)

└【死ニタモウ事ナカレⅠ】:解放技能(リリーススキル)。耐久力、抵抗力、体力激化補正。死んだ際Levelが『1』になる

 └Ⅰ〈苦ハ楽ノ種〉:全ての『苦』に対し『耐性』を得る。『物理耐性』『超常耐性』を得られる

《習得、取得、敬称不可》



※vjれlせhs――異能力

・【--】




※称号

(器)

・【夜人ノ血族・白夜】

・【勇敢ナ者】

・【支配サレシ者】

・【失ワレシ肉体ノ者】

・【刃ニ刻マレシ者】


・【耐エ忍ブ者】

・【死線ヲ越エシ者】

・【無慈悲ナル再生者】



(前世)

・【歪ミノ申シ子】

・【理カラ外レシ者】

・【認識ノ薄レシ者】

・【不運ノ申シ子】

・【忌ミ子】

・【滅ビヌ者】

・【歪ナ中身】

・【悪縁ト縁ヲ結ブ者】

・【新タナ歯車】

・【炎ニ焼カレタ者】

・【転生セシ者】

・【見知ラヌ理ノ訪問者】

・【異能者】


・【歪ミノ因果ヲ持ツ者】

・【天運ナキ者】

・【運命ニ弄バレタ者】

・【苦痛ニ染マリシ者】

・【痛ミニ慣レシ者】

・【静カナル観測者】

・【不運ヲ終エタ者】

・【異界ヘ導カレシ者】



・【天主神ノ恩恵・創造】

・【天主神ノ加護・幸福】

・【深主神ノ加護・不幸】

・【天主神ノ恩恵・奇跡】

・【天主神ノ恩恵・娯楽】




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