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この壊れて、それでも尊き世界で−Errifate 002:Malvane Has Distorted−  作者: 仙台赤べこ
第一章【DARK SOULSな『現実』へようこそっ】
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05.『器』の最期[囚われの独白]

暗い話って書いていて『泣ける』のよね……



(2026-09/6)

ギャルゲって終わると『虚無い』のよね……


~●●● side.~



 ――ここは、”終わらない牢獄”。

 薄暗く、時間だけが腐っていく場所。

 檻の外を見れば、同じような冷たい鉄格子が並んでいる。


 ――檻(ここ)にいるのは、ワタシだけ。

 ワタシの他には、誰も居ない。

 他の牢にも……誰もいない…………もういない……。 




――――シャ……ガッシャ……ガッシャン――




 石床を叩く鉄の音が響いてきた。

 一定の感覚で、何度も聞いた重い足音。


(ぁぁ……また……)




――――ッギィ……ッガッシャン、ッガッシャン




 ――奥の方で、”扉”が開く音がする。

 そして向かいの通路に浮かぶ、”大きな影”。


 "『深淵』に堕ちた者"――襤褸(ぼろぼろ)の鎧の騎士だ。


 暗くてハッキリとせず、声も発さない異形の亡者。

 同じ場所を永遠にめぐり続けるそれが、まるでこの牢獄の一部みたいに歩き続けている。




(ワタシは……どれくらい、ここにいるだろう…………)




 ――時間の感覚なんて……ずっと前に失くした。

 眠った記憶はない……だって、怖いから。

 お腹が、空いた………………ぁ、また”来た”――――っ。




――――ッブッヂュ!……クチャ、クチャ、クチャ……




 ――音は、ワタシの口元から漏れている。

 

(ぁぁ………。ワタシ……また、”これ”を食べて…………)


 手の中にはまだ温かい肉(・)の(・)塊(・)。

 

 ”これ”が何だったのかは分からない。

 でも、知らないままでいい……。

 知ってしまったら――もう、飲み込めなくなる…………。




――――クチュ、クチャ、グチャ……




 ”肉塊(これ)”は外――牢と通路に囲まれた、中央の奈落(空間)から這いあがってきたモノ。知らないナニかだ……。

 掴んだ手に、肉の柔らかさと死んでいく痙攣の微細が伝わってくる……。


(っ…………見ちゃだめ……)

(意識しちゃ…………味なんか、気にしちゃだめ……)

(空腹を、満たすだけ…………ただ、それだ――――)




「ぅっ!?――――ぉ゛え゛ェ゛ェェ~~――――……」




 しかし――満たそうとしても、最後には吐き戻してしまい……死にかける。

 いつもそう……。

 

 意思とは関係なく――喉が拒んでいる。

 空腹を満たしたくても――体が拒んでいる。

 石床に広がる血肉と胃液。それ以外にはなにも出てこない。


 そして吐くたびに――頭の奥で”あの怖い聲”がよみがえる――――。

 



 ――『あんたぁ~、まだ痩せてるねェ~!』

 ――『そんな腕じゃぁ、わたシの腕に不釣り合いだろォォ!!』

 ――『ほらぁ、『新鮮な肉』をちゃんとお食べェ~~――――ッ!!』




 ――あの……”深淵に染まった老婆の目”。

 嗤いながら、『肉』を口へねじ込んでくる。

 無理やりにっ……なんどもッ。




 なんの『肉』か――”誰だったのかわからない肉”を……無理やりっ…………。




「――ハ゛ァ、ハ゛ァ、んっ――ハ゛ァ゛っ――――(蹲り、体を震わす)」 


(――もうっ、アレを食べるのはいやだっ)

(もし、『彼』だったら……)

(彼のを…………食べるのなんて……………………っ)




――――ッ――グッチョ、グチャッ、クッチャ……




「――はぐっ――――ぅっ!?(――っごく)」


 反射的に――吐しゃ物となったひき肉を口に詰め込む。

 汚れなんか気にならない。

 戻したくなる味だって、気にしない――気にしちゃだめ。


 だって――老婆への恐怖よりも、”他”と同じようになった……彼を………………。





――――グチュ、クチョ、…………――




 ――手が止まる。

 ――咀嚼も止まる。






「―――う゛ぅ゛……っひぐぅ゛…………う゛う゛~゛~゛っ゛………………」




 


 そして――自然と涙がこぼれ落ちた。

 頬を伝う熱が、怖いくらいに自分が生きていると感じさせる。 


 そうして、勝手に思い出す――あの『最後の日』を――――――




――――――

――――

――



 ――――あの日、ワタシは小さな手に引かれ『暗い火の手』の中を走っていた。


 隠れ潜んだ小さな集落が、燃えている。

 ワタシが過ごした家も――。

 隠れて泣いた木も――。

 みんなで育てた作物も――。

 あいさつを交わした人たち、みんなが……生きたまま燃えている――。




 ――――ワタシは集落の中で最も幼く――そして、最も”臆病者”だった。

 だから、隠れた家具の隙間から親の死を目の当たりにしていた。


『深(・)淵(・)の(・)異(・)形(・)』に押し倒される二人。

 ワタシに気付いて見せつけるように――生きた二人のお腹を何度も突き刺す。

 叫んでも……。

 動かなくなっても、ずっと…………。


 その時、二人が何を叫んでいたかは分からない――だってワタシは、耳を塞いでいたから……。




 ――――ともても永い時間、隠れていた。

 耳を塞ぎ、目を強くつむって。

 痛い鼓動の音だけを聴いていた。

 

 そんなワタシを――見つけてくれた人がいた。


 年の近い少年だ。

 話したことは少しだけ。

 作物の育て方を一緒に学んだだけの浅い仲。

 

 彼は震えるワタシをわざわざ見つけ、こう言った――。


『――走れ!』


 言われても、ワタシは動けない。

 足が震えていた。

 泣くことしかできなかった。


 それでも彼は震えるワタシの手を掴んで、走った。


『絶対に……生きるんだっ!』


 その一言が、その手の暖かさがとても印象的だった……。




――――ハァ――ハァ――ハァ――




 ――――言われるがまま、集落に裏にある森の中へ走った。

 そこしか逃げ場がなかったから。


 恐怖で心臓が暴れ、泣くしかできなかったワタシ。

 彼は異形が後ろから迫る中、そんなワタシの手を掴んで強く引っ張る。


『がんばれ!』

『逃げ切ろうっ!』


 そんな彼の励ましが、弱った心の支えになっていた――”あの瞬間”までは……。

 



 ――――『転移墓標』。




 それは”大昔の敗戦後”、『巡礼者』たちが各地に残した墓標(石板)らしい。

 場所も理由もその数も、設置した者にしかわからない”転移物”。

 今なお戦う者――『英雄』達が各地を巡るために使っているという”隠れた遺物”。


 ――逃げる間際、起動したそれに”触れてしまった”のは、偶然。

 逃げるために走った。

 生きたいから走った……それなのに。


 ――たどり着いたのは、この”館(やかた)”の前。

 そして鎧の騎士――『深淵に堕ちた異形』に捕まった………………。





 ――――薄暗い『地下牢』には、他にも同じように捕らえられた『人種』が何人もいた。

 誰もかれもがボロボロで生気がなく、死んでいるとさえ思える姿で。


 その後、みんなが順番に連れていかれた。

 一人ずつ。

 襤褸の騎士に引きずられて。


 その時ばかりは、生気のなかった彼らさへ叫んで暴れ――結局は、奥の扉に消えていく。

 そしてまだ――誰も帰ってこない。




 ――――最後に残ったのが、幼く痩せ細っていたワタシと彼。

 あの日から毎日、同じ牢で言葉を交わした。

 顔もよく見えなかった彼と。

 

 それだけでも、救いだった――独りじゃないことが……。

 しかし――――




 遂に――彼の番がきた。

 ワタシを励まし続けた少年は、抵抗して――脚を刺された。


 騎士に連れていかれた彼は、ワタシに一言残して……それっきりだ…………。




 (……戻ってくる)




 そう思っていた――否定するように。




(…………戻って、きて……)




 ずっと思っていた――現実をみないように。




(戻って…………お願い。独りに、しないで………………)




 足音がするたびに。

 扉の開く音がするたびに。


 鉄格子に張り付いて、聞き耳を立てる。でも――――。


(…………………)


 ――独りになったと、自覚させられた。

 世界から、"希望(光)"が消えた感覚……。


 音も。

 温度も。

 色も。

 全部、ぜんぶ……。


 ワタシは……『生きる理由』を、失った…………。




――

――――

――――――




――――……、…………、………




 回想(夢)から戻った――その時。

 隣の牢から、”誰かの呼吸音”が聞こえた気がした。




(誰か、いるっ……)

(――ひとりじゃないっっ!!)



 汚物を投げ捨て、四つん這いで床を這う。

 爪が剥がれようとかまわず、石壁を掻いて縋り付いた。


(お願いっ……)

(お願いだからっ…………返事をしてっ)


「――だれ、か――」


 自分でも驚くほどに声がかすれ、音にならない。

 それでも、静寂に満ちたここでなら聞こえたはず。

 今度は息を止めて待つ。




…………。

……。




 ――返事は……聞こえない。

 耳をさらに澄ます。


 返事を待つ。

 ……待つ。

 …………まだ、待つ。


「――ぁれ、か――いな――」


 もう一度、枯れた音をあげる

 ……もう一度。

 …………もう一度、だけ。




………………。

…………。

……。




 ――――帰ってきたのは…………鉄格子を抜ける”風の音”だけだった。






「っぁ……――――――――」






 ――壁にもたれて、崩れ落ちる。

 声にならない、『絶望(闇)』が押し寄せてきた。


(――誰も、いない……)

(――もう、誰も…………彼も……)


 ――その瞬間

 お腹が空いていることを忘れた。

 吐き気も忘れた

 寒さも

 痛みも。

 涙も。

 全部、遠くへ行ってしまった……。




(ぁ……ワタシは…………もう、だめ………………)




――――”心”が、冷めていく――――




 ……暗いのは、怖い。

 ……痛いのは、怖い。

 ……死ぬのも、怖い。


 でも、なによりも…………”独り”は、もっと怖い。




 ――――『諦めるな!』




 連れていかれる間際の、彼の言葉。

 勇気のある、強い言葉だった。でも…………。


(……ワタシには、むりだ……)

(ごめんなさい……)

(弱い子で、ごめんなさい……)

(助けて、くれたのに………………)


「(涙を流しながら)――ごめん、なさい。ごめん、なさい。ごめんな、さい。ごめ……ん、なさい……――――」


 繰り返される独白。

 ワタシの心はもう――『空っぽ』になっていた。


(ぁぁ――――”心”が…………沈む………)


 熱も、鼓動も、言葉さえ、冷たい石床に零れ落ちる。


(寒く、ない……)

(くるしく、ないよぉ…………)






 ただ――ひとりが、『怖い(寂しい)』だけ。






(――ねむい……なぁ………………)




――――ドクッ…………ドクっ………………




(………………すこし、だけ………………ね、よぉ………………)




――――ドクっ………………




 ――”最後”の鼓動が、小さく鳴る。

 もう一度、鳴るのを待った。


 でも………………鳴らなかった。




「………………」




 ――それっきり、胸は静かになった。

 ワタシの世界から、音が完全に消えた。

 ゆっくりと……眠れそうなほどに…………――――




――――リ(・)ン(・)ッ(・)




 ――優しく澄んだ音が、冷たい牢に響いた気がした。

 それと同時に、どこか『暖かいもの』が体に入ってくる。


「――――――」


 けれど――”眠ってしまった少女”には、それが最期まで分からなかった…………――――











[――『転生者』の魂に合う器を確認。同調、定………==■ー■(ノイズ)……運………失……同調■■=■=(ノイズ)……に失…。再実…■■=(ノイズ)………――]




イメージ『希望の牢』

分かる人には分かる例え!



――以上までが現在のリメイク版です!

ちょっとだけ心情と状況を加筆しました

”旧版”を知ってる読者さんから見れば、良くなってる! ってなってればいいな(´▽`)


ここから先はプロットもなく、文章慣れもしていないヘタクソな本編です

リメイクは書き続けますが、ここ以降は『点々と投稿』はせず『まとめて投稿』にします(目安は06.~31.)


さいわい赤べこの作品は過疎ってるので待ってる人もまぁいないから大丈夫でしょうっ!


――待ってるみなさんには真剣(マジ)ごめんッ!!!




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