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この壊れて、それでも尊き世界で−Errifate 002:Malvane Has Distorted−  作者: 仙台赤べこ
第一章【DARK SOULSな『現実』へようこそっ】
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05.『器』の終焉[囚われの独白]

暗い話って書いていて『泣ける』のよね……


 ――――――

 ――――

 ――ここは……終わらない牢。

 檻の外を見れば、また同じような鉄格子が並んでいる。奥まで見通せるのに、どこにも出口なんて見えない。

 足音が聞こえる。鉄の擦る音だ。


(ぁぁ……まただ。あの『騎士』だ)


『深淵に呑まれた、ボロボロの鎧騎士』。何も喋らず、ただぐるぐると同じ道を歩いている。まるで、あれもこの牢の一部みたいに。


(ワタシは……どれくらい、ここにいるだろう……)


 時間の感覚なんて、ずっと前に失くした。

 お腹が減っても、満たされても、結局は死にかけたままだ。



――――クチャ、クチャ、クチャ……



 この音は、ワタシの口元から漏れる。

 また、『それ』――この『不気味なをもの』を食べてしまった。

 何だったのか、よく分からない。多分、外――外周を牢と廊下に囲われた、中央の奈落から『這ってきたもの』なんだろう。


(『見た目は』、気にしない……美味しいなんて、思っちゃいけない……お腹を満たすため……)


 ――『あんたぁ~、まだ痩せてるねぇ! そんな腕じゃぁ、わたシの腕に不釣り合いだろぉぉ。ほらぁ、肉をちゃんとお食べぇぇ!!』


 でないと、あの『深淵に染まった目』の老婆がやってくる。

 にたにたと笑いながら、『あの肉』を……ワタシの口に、ねじ込んでくるのだ。

 あれが何の肉か、『誰の肉』かなんて、もう考えたくないっ。



――――クチャ、クチャ、クチャ……



 手の『もの』から、赤い血が滴り落ちる。内臓を避け、周りの肉だけを噛み切り、飲み込む。



――――クチャ、クチャ、…………



「―――う゛ぅ゛……っひぐぅ゛…………う゛う゛っ゛……」


 自然と、涙がこぼれ落ちた。

 そして思い出す、過去のこと――




 ――あの日、『暗い火の手』の中を逃げていた。

 ワタシは生き残りの一族の中でも、幼く、最も臆病だった。大人に言われ、ただ走ることしかできなかった。


 それでも、彼――同年代の少年が、ワタシの手を引いてくれた。『深淵の異形』が後ろから迫ってくるなか、不気味な森へと一緒に逃げ込んだのだ。


『走れ! 絶対に……生きるんだっ!』


 その一言が、とても印象的だった……。


 ――『転移墓標』


 それは『()()()』、『巡礼者』によって各地に設置されたという。

 場所も、理由も、設置した者にしかわからない石盤。そして、今なお戦う者――『英雄』達が各地を巡るために使っているという。


 それに触れたのは、偶然だった。ワタシたちは、どこかへ逃げようと走り、そして――この『(やかた)』に来てしまった。

 あの『深淵に染まった老婆』に、捕まった。


『地下』には、何人か、同じように捕らえられた『人種』がいた。

 でも、みんな、順番に連れていかれた。

 最後に残ったのが、幼く、やせ細っていたワタシと、あの少年。

 ――そして……彼も、いなくなった。



 その瞬間、世界から色が消えた気がした。

 ワタシはもう、『誰かのために生きる理由』を失ったのだ……。



 ――その時、誰かの呼吸音が、すぐ隣の牢から聞こえた気がした。



(誰か、いるっ! ひとりじゃないっっ!!)


 生き物だった死骸を投げ捨て、息を止めて耳を澄ます。……でも、次の瞬間には、それはただの隙間風の音だと気づく。


「っぁ……――――――」


 壁にもたれて、崩れ落ちる。声にならない、『絶望』が押し寄せてきた。


(……ワタシは、もう……ダメかもしれない……)

(……死んだあと、ただの『肉の塊』として、切り刻まれるのかもしれない)

(でも……もう、いいや…………)


 ……暗いのは怖い。……痛いのは怖い。…………独りは、もっと怖い。


 ――『諦めるな!』


 連れていかれる間際の、少年の言葉。勇敢な、言葉だった……。


「……ワタシには、むりです…………ごめんなさい。弱い子で、ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……――――」


 繰り返される独白。ワタシの心はもう、『空っぽ』になっていた。


(……あぁ。心が、沈む)


 熱も、鼓動も、言葉さえも、冷たい石床に零れ落ちてしまったよう。


(寒くない……苦しくない、よぉ…………)



 ――ただ、『寂しい』だけ。



 誰も居ないこの牢に、最後の『命』が、静かに『抜けていく』。



――――リンッ



 優しく澄んだ音が、冷たい牢に響いた気がした。

 それと同時に、どこか『暖かいもの』が身体に入ってくる。


 ――けれど、生気のないこの瞳にはもう……なにも映らなかった……――



[――『転生者』の魂に合う器を確認。同調、定……………運………失……同調……に失…。再実…………――]





イメージ『希望の牢』

分かる人には分かる例え!

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