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0460・蟻と魔法




 北条家の庭のダンジョンの1階。コウジやセンにミクにとっては大した事も無いというつまらない階層であるが、ヤエにとっては分からない。なので、とりあえず戦わせてみる事に。



 「1階はビッグラット。ヤエ、1人で戦う」


 「私が1人でですね。分かりました」


 「御嬢様お一人で戦えと?」


 『ここは1階。ここで戦えないなら話にならない。誰しも最後に頼れるのは己のみ』


 「うむ。ミク殿のおっしゃる通り。だからこそ我々は見守らねばならん。何でも助ければいい訳では無い」


 「……分かりました」



 ミクが【灯り】の魔法で照らしているので問題なく見え、目の前にいるビッグラットに下段の構えからにじり寄っていくヤエ。ビッグラットはヤエの事に気がついており、どちらも動き出しのタイミングを狙っている。


 そして一定の距離に近付いた途端、ビッグラットは一気に飛びかかろうとしたが、それより速くヤエは刀で突く。それはビッグラットの体に「ズブリ」と入ったが、ビッグラットは暴れ回る。



 「キャーッ!?」



 強引に暴れ回るビッグラットに対し、刀を手放してしまったヤエ。その後もビッグラットは暴れ回ったが、最後には力尽きて死亡。刀は刺さったままだが、おかしな方向に曲がってしまっている。



 「刀を突き刺したとて、相手は簡単に死んではくれませぬ。それを知らなかったのは仕方がないですし、知る為には必要な戦いでございましょう。とはいえ、曲がってしまった刀を如何するか……」


 『それは私のアイテムバッグに入れておく。代わりにコレを使うといい』



 そう言って取り出したのは、ドラゴン素材で出来た刀だった。何故ミクが刀を持っているのかと不思議がる面々だが、そもそも刀と似た武器は元の星にあったとうそぶく。もちろん説明が出来ないから適当な事を言っているだけだ。



 「すみません。お借りいたします」



 そう言ってヤエは受け取ったが、コウジとセンは「あれ、手放せるのか?」と思った。何故なら鋼や鉄の物とは違いすぎるからだ。2人もドラゴン素材の物を使っているから分かる、明らかに威力や切れ味がおかしいのだ。それに慣れたら、元の武器に戻る事は出来ないだろう。


 結局、毎回ミクに武器を借りる事になる。それは間違いないだろうなと2人は思い、自分達も変わらない状態に「本当にいいのか?」という疑問も持ったようだ。


 そんな事はお構いなしに進み、次のビッグラットが出てくるとユヅキが戦う。両手に短刀を構えてにじり寄っていき、相手が向かってきた瞬間、避けて横から突き刺す。すぐに抜いて離れ、再び構える。


 ミク達は離れているので1対1の状況だが、刺されたビッグラットは苦しそうに呻く。それでも一切の隙を見せないユヅキは、再び襲ってきたビッグラットを避けて側面から突き刺す。それが致命傷になったのか、倒れて動かなくなったビッグラット。ユヅキの勝利である。


 再び先へと進んで行き、今度はジロウエモンが戦うものの、擦れ違い様に切り裂いて終了。一撃で勝利した。脇差という短めの物を使っているにも関わらず、見事な一太刀であった。



 「二郎衛門さんスゲー、流石は元護衛の人だなぁ。何て言うか、時代劇の殺陣みたいに見えた。こっちは本物なんだけどさ」


 「本物は凄いって事じゃないの? 確か刀を使うのって難しいんだよね。私はそこまで頑張って使いたいとも思わないけど、刀にロマン求める人って多いよね」


 「まあな。男なら使ってみたいって気持ちはあるよ、とても使えそうにないけどさ。それに使うのが難しいし、下手な奴が使えば自分を切るって聞くからなー。それは怖いから、結局使いやすいのが良いってなるんだけど」


 「そういえば刀で探索者やってる人って殆ど居ないんだっけ? 何でだろ?」


 「耐久力が低いからって言われてる。不意の何かでポッキリいったら、帰る事も出来ない可能性があるからな。だから皆、耐久力の高い武器にするんだよ。そっちの方が信頼性が高いんだ」


 「確かに途中で壊れたらどうにもならないねー。それは良いんだけど、ミクの蹴散らし方が相変わらず酷い」



 先ほど戦わせたのでもう必要ないだろうと、出てきたビッグラットはミクが片っ端から蹴り飛ばしている。その一撃でビッグラットは死亡しており、武器を使う必要すらない事を見せつけている。


 流石にヤエ達は唖然あぜんとしたものの、武器を消耗させない方法としては悪い事ではない。むしろ武器を温存するという意味においては、武器を使わずに勝つのは重要な事である。


 さっさと2階に下りて進むと、次はソルジャーアントだ。全長40センチ程度の蟻であり、大きいからこそ弱いという蟻である。小さければ厄介なのだが、1匹が大きい所為で非常に倒しやすい。ある意味で何故魔物になったのか疑問である。


 噛みつきが怖いだけなので、それだけをどうにかすればいい。そう言って、ヤエに戦わせる。


 ヤエは正眼に構えながらにじり寄り、今度は蟻の頭を突く。実戦においては斬るより突くべきであり、この選択は何ら間違ってはいない。間違っていたのはドラゴン素材の切れ味である。


 突きは簡単にソルジャーアントの頭に入り、そのまま半分以上が刺さった事で慌てて止まるヤエ。鋼で出来た刀とは違いすぎたのだろう。抜けなくなった刀をどうしていいか分からず、足で押さえながら引っこ抜く事に。


 既に頭を突き刺された蟻は瀕死状態であり、更に抜く際にグリグリされたからか、その攻撃? で死亡した。何とも締まらない最後である。ミクが刀に【清潔】を使って綺麗にしたが、それに驚くヤエ。



 「先ほどの魔法は何ですか? この刀に使っていましたが」


 「【清潔】。汚れを落として綺麗にする魔法」


 「へー、そんな魔法があるのですね。それは便利な魔法です。是非とも覚えたいですが、今は戦いに集中しなければいけませんね」


 「敵を切ってもすぐに綺麗に出来るなら、切れ味を保つ事も難しくはありませんな。そうなると耐久力よりも切れ味を重視しても良いやも……」



 そんな魔法に対する各々の意見を言いつつ、先へと進んで行く。その途中で魔法の使い方講座を始めるミク。理由はコウジから要望があったからだ。



 「家に帰ってからでも良いんだけど、よくよく考えたら家とか映した事ないし、流石にプライベートを映すのもアレだと思ってさ。だからここで<魔法の使い方講座>をやってもらおうかと思って」


 「分からなくもないけどね。私も魔法は使えないから練習しようっと。そもそも使えるようになったのは、お兄ちゃんとお母さんだけだよね?」


 「今のところはそうだな。最初から使えた人達は横に置いておくと、<ガイア>で最初に使えるようになったのは俺だと思う。他の国が秘匿してたら分からないけど、おそらくそれは無いと思ってる」


 「なんで?」


 「もし他国で使える人が出たら、きっと大々的に発表するだろう。凄い功績なんだからさ。国の威信にかけても、発表しないなんて事は無い筈だ」


 「ですね。何処の国も躍起やっきになっていると聞きますし、魔法の使い方は喉から手が出る程に欲しいらしいですよ。……それで、まずはどうすれば良いのでしょうか?」



 ミクは3人の手を握り魔力を篭める。すぐに「ビクッ」として離すが、何度も繰り返す事により、魔力の知覚に成功した。といっても第一段階であり、ここからがスタートだ。


 それを行いつつ。魔物はコウジがメイスで処理していく。然して強くもないし、何の問題も無い。叩き潰しながら進む間に魔力の循環をやらせているが、センも必死になって進めている。


 とりあえずは出来ているので、センは放出の訓練をさせる事にしたミク。もうちょっとだと思い、喜ぶセン。それを見ながら呆れるコウジ。「早くから練習してるのに今ごろかよ」と思うのであった。


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