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0461・魔法と魔物の倒し方




 ソルジャーアントをコウジが倒しつつ、ミクは魔法を教えていく。一応ヤエ達には一度倒させるのだが、特に問題が無いので更に先へと進む。ビッグアントも倒させ、この階でも問題ない事を確認。先へと進む。


 4階はファングバットなのでミクが焼き尽くし、それを見たヤエのテンションが上がる。どうやらヤエも魔法に憧れがあるらしく、この後の魔法の訓練に対する集中力は凄かった。【魔力操作】スキル持ちである事も理由であろうが。


 ユヅキとジロウエモンは自分のペースで進めており、無理なく練習をしている。センとは違い妙なテンションと気合いで練習していないので、スムーズに腕が伸びている感じだろうか。特にジロウエモンは自分の感覚を感じ取るのが上手い。


 色々な格闘術などを学んできたからだろうが、こういう所にも活かされている。ユヅキは可も無く不可も無くといったところであり、ムラが無い分だけ上達はしやすいと思われる。


 そんな評価を下しつつ、ミク達は5階へと下りた。ここはゴブリンであり、人型の魔物の階層だ。なのでハッキリと告げておく。



 『ここはゴブリンの階層。相手は人型、でも容赦はするな。人間種を切り刻み、はらわたを生きたまま引きずり出す。それがゴブリン。見つけ次第、殺せ』


 「わ、分かりました」



 まずはヤエからだが、脇構えからにじり寄っていき、ゴブリンが向かってきたのでカウンターで切り上げる。右下から左上への斬撃は綺麗に入り、ゴブリンを斜めに両断した。


 ミクは声を掛けつつ刀に【清潔】を掛けるも、ヤエはその死体を見て吐いた。臓物をブチ撒けているのは厳しかったのだろうか? ユヅキが声を掛けているものの、ヤエの目の焦点は合っていない。



 「気持ち悪いのは分かる。でも奴を放っておいたら俺達が後ろから襲われかねないし、どんな嫌がらせをされるか分からない。場合によっては複数に囲まれる可能性もある。確実に倒しておかないと、誰かが死にかねない。そう考えるといいよ」


 「は、はい……」



 少し顔色がマシになってきたので、コウジの言葉に意味はあったのだろう。ユヅキやジロウエモンも「ホッ」としたようだが、自分の手で人型の生物を殺す事に抵抗のある者というのは多い。これは仕方のない事である。


 次はユヅキの番だったが、相変わらずかわして刺すという形で勝利。ただしミクは自分で魔石を取り出させた。ヤエは仕方がないにしても、問題なさそうなユヅキにはさせる。


 何故か解体ナイフを渡したら固まったが、とりあえず魔石を取り出させていく。案の定、解体の最中に吐くユヅキ。ミクが感じた通り、無理して我慢していただけのようだ。


 それでも魔石を取り出させ、その後に【清潔】で綺麗にしてやる。流石にこたえたのか顔色が悪い。


 次はジロウエモンだが、戦いも解体も問題は無かった。流石に歳の功と言えるのだろうが、終始落ち着いており、無理をしているところなど微塵も無い。


 その後は魔法の練習をさせつつ、コウジに後をやらせる。理由はコウジ自身、既に【清潔】の魔法が使えるからだ。コウジだけは他よりも先を進んでおり、今は無駄な魔力を使わない練習となる。



 「これが思っているより難しいんだよな。魔力が多ければ無駄だし、魔力が少ないと魔法が発動しない。ギリギリの魔力量を覚えて使えなきゃいけないらしいんだけど、簡単な事じゃないよ」


 「どうしてそのような練習をするのですか?」


 『最低量の魔力消費というのは1種の基準なんだよ。最低限の魔力消費量を覚えておけば、何回使えば魔力が枯渇するかも大凡おおよそ分かるし、最低限の効果も分かる。魔法は篭めた魔力量で効果が増減するけど、その基準は最低値にしなきゃいけない』


 「何事も基準を決めなければ始まりませんからな。それが最低値であるというだけで御座いましょう。それに、必要最低限を覚えれば魔力の節約にもなるのだと思います」


 『そう。その為にコウジにやらせてる。あれは必要な努力であり練習。それぞれの魔法によって最低値は違う。だからこそ、必要最低値を知っておく事は大事』


 「成る程、思っていた以上に魔法というのは奥が深いのですね。どの魔法が得意かによって、今後組む人達が変わったりなどありそうです。誰もが魔法を使えるようになるならば余計に」


 「その場合、御嬢様が組みたい相手というのは居るのですか?」


 「いえ、特には……。このままで良いと思います。ミク殿の事も知っているメンバーですし」


 「そうですな。流石に他の者を入れるのは少々マズいと言わざるを得ませぬ。なるべく不穏分子は入れない方が良いかと」


 「ここは私有地ダンジョンですからいいですが、市井しせいのダンジョンに向かうと色々な者が関わってくるでしょう。それはそれで問題ですので、固定しておく方が安心ですね」



 会話をしつつも進んで行き、6階へと下りる。ここではファングボーアが出てくるし、その危険性をコウジが伝えている。流石に猪を舐める事などないヤエ達。回避してからの一撃で、危な気なく勝利していた。


 魔石の取り出しも一度は経験させ、それが終わると死体を放置して先へ。残りのファングボーアはミクが倒してレティーに血抜きをさせて収納する。そのまま進んで7階。



 「やった! 魔法が使えた!! やっと私も魔法が使えたよ!!」


 「あー、おめでとう。一番練習してたのに随分と時間が掛かったな。【魔力操作】の俺はともかく、関係の無い母さんよりも遅かったけど、焦ったか?」


 「うっさい。ミクに言われて、ちゃんと魔力の方だけを使うのに時間が掛かったのと、魔力の放出がなかなか難しい所為なだけ。別に普通だよ、普通」


 「魔力の方だけ……ですか?」


 『魔力を使うのが魔法。魔素を使うのが【身体強化】。センは魔素を無意識に使ってたから、【身体強化】になりかけてた。その所為で余計に時間が掛かったんだよ』


 「つまり魔法を使おうとして、誤って【身体強化】を使おうとしてしまっていたという事ですか。私達もそうなっていませんよね?」


 『魔法なのに魔素を使おうとする方が珍しい。たまたま、偶然である可能性が高い』


 「【身体強化】は役に立ちそうですが、強化された肉体を操れねばその程度となる可能性が高いですからなぁ。できれば早くに知りたかった技術です」



 ファングボーアを蹴散らしながら収納し、7階のブルーラビットまでやってきた。流石に魔法を使ってくる相手は厄介であり困っていたが、一気に攻めた方が楽だと言って突っ込ませる。


 ブルーラビットの魔法を受けたものの、そこまでの威力ではなく、ヤエ達は「ホッ」としている。



 「まさか発動してすぐは、そこまで勢いも乗っていないとは思いませんでした。もちろん痛いですけど、それでも本当の威力が直撃するよりはマシです。刀で受けましたが、思っているよりも威力があって驚きましたね」



 続いてユヅキとジロウエモンも戦うが、その魔法の威力に驚いていた。



 「流石に威力が乗っている魔法を受けたくはないですね。発動直後とは威力が大きく違いますし。ま、受けないのが一番良いのですが」


 「回避はそこまで難しくない。発動直前に横へ回避すればいいだけだし、それはそこまで難しくない。真っ直ぐにしか飛ばぬしな」


 「しかし綺麗な青い毛皮ですね、これが人気というのも分からなくはありません。でも、持って帰る事を考えると大変ですか」


 「だね。皮を剥いで持って帰っても、そこまで沢山持って帰れる訳じゃないし、皮が綺麗に残るように倒さなくちゃいけない。それって思ってるより難しいよ?」


 「そうですね。売る際の事を考えなくてはいけませんが、そうすると戦いの幅も狭まってしまいますし……」



 ヤエは悩みながらも自分ならどうするかを考えているようだ。それは正しい事なので、ミクも何も言わずブルーラビットを倒し、レティーに血抜きをさせるのだった。


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