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0193・水ダンジョン・第5エリア終了




 食堂に移動して大銅貨6枚を支払い、朝食を注文して席に座る。周りには客も多いものの、今日も地図を見に行く奴が多いのだろうか? そんな話をしつつアレッサと朝食を待ち、運ばれてきた朝食を食べていく。


 食事が終わるとすぐに出発し、ダンジョンへと着くと第5エリアへ。再び昨日と同じように5階まで進んでいき、そこから攻略を開始する。地図を本体が描きつつ、目視で確認していくのだが……。



 「この階、階段が見当たらなくない? 【身体強化】で早歩きをしてるから既に回りきった筈だけど、どこにも階段が無いって変よ。少なくとも、こんな所でダンジョンが終わりとかあり得ないでしょうし……」


 「そうだね。流石に5階で、しかも何も無く終わりはないよ。となると、単に階段が見つからないだけなんだろうけど、それはそれで変だね? ここまで調べて無いとか、何か重大な見落としをしていると思って間違いない」


 『海の何処か、とかですかね? あの海の向こうに見えている岩場に階段があるとか、もしくは陰になって見え難い場所にあったとか……』


 「海の向こうの岩場は調べてないから、そっちの方が可能性は高そうだね。でも、何処かに渡れる何かがないとおかしいんだけど……」



 そう言いながらウロウロしていると、岩の柱が2本立っている場所があった。ミクとアレッサが疑問に思い調べていると、突然海の中から小さな岩場が出現。それは点々としながらも、海の向こうの岩場まで繋がっている。



 「こんなの気付くわけないでしょうが! たまたま、偶然じゃない! わたしがここに立たなかったら、この後もずーっと分からないままよ!!」


 「腹が立つのは分かるけど、怒っても仕方ない。こんなものがわざわざ用意されてるくらいだから、向こうの岩場に階段があるのは間違い無いよ。さっさと行こう」



 怒りに塗れていたアレッサもミクの言葉に頷くと、海からせり出した小さな岩場をジャンプしながら進んで行く。跳んで進まなければいけないが、バランスを崩すと海に転落。そして海の魔物に襲われるのは簡単に予想できる。


 アレッサは適当に見えて丁寧に飛びつつ、小さな岩場から落ちないように進んでいき、海の向こうの岩場に辿り着いた。安堵の息を吐いた後で後ろを見ると、ミクが高速で足場を越えてきているのが見える。


 アレッサのように1つ1つジャンプして越えるのではなく、走るように滑るように高速移動しており、慌ててアレッサが離れた途端、先ほどまでアレッサが居た位置で停止。あっさりと到着した。



 「何か異様な光景を見た気がするけど、きっと気のせいね。色々ツッコミたいけど、言うと色々なものが噴出しそうだからスルーさせてもらうわ。それより、あそこに階段があるから行きましょう」


 「そうだね。5階からはこういう面倒なのが増えそう」



 何でもない事のようにスルーし、2人は6階に下りていく。再び早歩きで進んでいくと岩の柱があったので、中央に立つと同じように小さな岩場が点々と海からせり出してきた。


 それを跳んで移動するも、途中の岩場が沈んでアレッサが海に落ちる。慌ててミクは飛び出し、一気に走ってアレッサを触手で掴み上げると、海の上を走って大きな岩場まで走りきった。



 「あーもう! 何なのさっきのは!? 足場が沈んで海に転落させられたんだけど!? あんなの反則でしょうよ!!」


 「まあまあ。助かったんだから良かったじゃない。あのままだったら海の魔物に噛み千切られてた可能性が高いよ。それに比べればマシでしょ」


 「そーだけどさー……。わざわざ次の足場が沈むかどうか確認して進むの? そんな事してる間に海の魔物に噛みつかれちゃうわよ」


 「そういう難しいものなんだろうね、本来は。……ところで、アレなんだと思う?」


 「アレって………アレ、なに?」



 大きな岩場とはいえ、それは足場である小さな岩場より大きいというだけである。そんな大きくもない岩場に、ポツンと武器が置かれていた。それはマーマンが使っていた三叉の槍と似ているが、こちらは金属で出来ている。


 アレッサが持ち上げるも特におかしな所は無く、試しに魔力を流すと穂先で電撃が弾けた。どうやらそういう武器なのであろうが、全長が3メートルを超える槍である。この長さだと2人とも使いにくいのだ。



 「魔剣だったのは良いんだけど、長い槍だから使い勝手悪いよね。振り回し難いうえに、ほぼ刺突専用だけど……どうする?」


 「どうするも、要らないんだからギルドに売るしかないんじゃない? もしくは第三王女に渡す? こんなのあっても使わないし、使わない物を持ってても無駄だしね。お土産になるなら持って帰るけど、あの3人も要らないって言うと思う」


 「でしょうね。わたしだって要らないって言うし、必要な人に渡すか売っ払えばいいと思うよ」



 という事でミクのアイテムバッグに収納し、アレッサの服を脱がして水分を取っていく。その間に【清潔】と【聖潔】を使って綺麗にし、服を着せたら終了。ミクが抱えて海の上を走って行く。


 一応地図の事もあり、正攻法で進まなければいけないものの、帰りなら良いだろうと横着をした。ちなみに沈む岩場だが、すぐ近くに分かり難い沈まない岩場があるのを発見している。間違いなくワザとだが、厄介なトラップだと2人は嘆息。


 その後は別の場所に岩の柱を発見。そこからいける岩場に次への階段があった。以降は沈む足場の場所は無く、ミクとアレッサは10階まで辿り着いて休む。



 「あの槍の所へ行く途中にしかなかったけど、腹立たしい。何と言うか、トラップというより唯の嫌がらせって感じがする。もちろん海に落ちたら魔物に襲われるのは確実だろうけど」


 「まあ、すぐに別の岩場にしがみつくか、仲間に助けてもらえば済むだろうけどね。とはいえ、腹立たしいのは分からなくもない。簡単なトラップと言えるけど、それだけに引っかかると腹が立つタイプだよ、あれは」


 「思い出すだけでムカツクから、もう思い出さないけどさ、あんなのがあったって事はボス戦も気をつけた方がいいね。場合によれば、ボス戦にもおかしなトラップが仕掛けられてるかも……」


 「流石に可能性は高くないと思うけどね。でも万が一が無いとは言い切れないから、気を引き締めた方がいいかな? まあ、どうせ大した事がないボスだと思うし、多分当たってるでしょ」


 「そりゃね。仮にワイバーンクラスが出るにしてもラストでしょ。ここはまだ第5エリアだから、そこまでのは出ないと思う」



 そう言いつつ警戒しながらボス部屋へと入る2人。扉が閉まると注水され、膝の高さまで水が張られた。またもや動き辛いボス部屋だが、今度のボスはどうなのか?。


 魔法陣が輝き出てきたのは、大きなマーマン2体に、その後ろに更に大きなマーマンだった。ミクもアレッサも一瞬にしてやる気を無くし、ウォーハンマーとウォーアックスで前の2体を叩き潰す。


 鱗が貼られたような盾を持っていたマーマンは一撃で殺され、あっと言う間に一番大きなマーマンだけになった。本来なら盾持ちが防いでいる間に攻撃するのだろうが、防ぐ事も出来ずに即死で終了。


 慌てた一番大きなマーマンは動き出そうとするも、投げられたウォーハンマーが直撃し後ろに吹き飛ぶ。それを追い駆けるようにして走ったアレッサが、倒れたマーマンの首にウォーアックスを振り下ろした。


 その一撃でボス戦は終了、脱出の魔法陣への扉が開く。2人は一瞥いちべつをくれる事も無くさっさと脱出し、地上へと戻る。


 大きかろうがマーマンはマーマンでしかなく、身長が3メートルあろうが2人の敵ではない。


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