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0103・真偽判定と尋問の結果




 「お前はゴールダームの者だ。……お前はジャンダルコ商王国の者だ。……お前はフィグレイオ獣王国の者だ。……お前はエルフィン樹王国の者だ。……お前はドルム地下王国の者だ。……やっぱりそうか」


 「あの魔物寄せのレシピは、カムラ帝国が出来る前の小国時代のレシピと聞いています。やはりカムラの者でしたか」


 「お前はカムラ帝国の者だ。……青く光ったな? 間違いなく、お前はカムラ帝国の者だと判明した。さて、これで終わりじゃないからな、どんどん行くぞ?」


 「くそぉっ!!」



 既に真偽官が居る以上は、嘘を吐くかどうかに関わらず無駄である。何より、黙っていても真偽判定に出るのだから意味が無い。


 ちなみにミクが騙す時は【真偽判定】のスキルに対し、肯定の意思か否定の意思を流せばいいだけだ。分体と本体が繋がっていて繋がっていないのが影響をしており、この程度で簡単に【真偽判定】を騙せる。


 本体空間という意味不明な空間と、本体とは比べるべくもない程に小さい分体の結果だ。なのでミク以外には出来ない事だと言っていい。



 「お前はゴールダームの探索者を殺す為に飲み物を配った。……そうだろうな、魔物寄せを混入した飲み物を配ってたんだから当然そのつもりだったろうよ。王都守備兵殿、聞いていたな?」


 「ええ。間違いなくカムラ帝国からゴールダーム王国への攻撃です。こんな搦め手で攻撃してくるとは思いませんでしたが、何故こんな妙な方法で……」


 「お前はカムラ帝国の裏組織の者だ。……お前はカムラ帝国に本拠を置く闇ギルドの者だ。……お前はカムラ帝国の国軍の者だ。……薄く青かったな? ってー事は……お前はカムラ帝国の暗部の者だ。……ここまでバレてどうだ?」


 「………」


 「どうやら黙る事にしたらしいが、俺という真偽官がこの場に居る限り、逃れられはせんぞ」



 どうやらバレンダという男は唯の昼行灯ではないらしい。リリエやオーレムも驚いているところを見るに、昼行灯であるという噂を流しているか、周りを欺いている人物なのだろう。


 本来なら黙っている筈が想いが漏れてしまったらしく、今は横を向いて無かった事にしようとしている。



 「まあ、それはともかく続けようか? お前は暗部の者であり、これはカムラ帝国としての攻撃だ。……何だと!? 赤く光った!? ………カムラ帝国の暗部の独断だ。……マジかよ」


 「カムラの暗部が独断でこんな事を? いったい何故……」


 「カムラ帝国の暗部、その内部争いで行った。……唯の内輪の争いで巻き込みやがっただと!? ふざけやがって!!! ブチ殺すぞ! てめぇ!!!」


 「落ち着け、ラーディオン!! お前がキレてどうする!!」


 「ふーっ……ふーっ……すまねえ、頭に血が上っちまった。それにしてもやってくれるぜ、お前のさっきの喚き散らしてた姿、全部演技だな? となると暗部の中でも、それなりに上の立場だろ。ここからは容赦せんぞ」


 「くっそ……!」



 今度の言葉は本気で悔しがっており、間違いなく心から漏れた一言であろう。その後はラーディオンも冷静に尋問して追い詰め、全てを明らかにする事が出来た。


 この男が単身でやってきたのは、カムラ帝国の派遣していた暗部の中隊が壊滅したからだ。盗賊として展開させ、ゴールダームに潜ませていた連中を支援する為の中隊。それがいつの間にか消えていた。


 その事が発覚したカムラ帝国の暗部では、新たな中隊を派遣するかどうかで判断が割れていたらしいのだが、この男は不要派に属しているらしい。


 そしてゴールダームに効果的なダメージを与える事で、不要だという意見の後押しを考えたそうだ。この男の直属の上司は暗部のナンバーツーであり、上司がトップになれば自分も出世できるだけに、わざわざ出張ってきた。


 つまり暗部内の権力争いで行った犯行であり、そんな下らない事で探索者が危険に晒されたのだ。当然ながらゴールダームはこの男を取引材料としてカムラから何かを引き出すか、ダンジョンの産物の輸出停止を報復として行うだろう。


 そうなればこの男の家族も何もかもが見せしめで殺される。つまり家族が酷い目に遭うのだけは事実だったのだ。だからといって、ゴールダームの探索者が酷い目に遭っていい訳ではない。



 「お前の家族には、ご愁傷様という言葉を贈ってやろう。お前の所為で見せしめに殺されるんだからな」


 「クッ……」


 「尋問は終わりでしょうか? もし終わりであれば、王都防衛守備兵団の牢に連れて行きたいのですが……」


 「構わんが、自殺なんぞはさせないように防いでくれよ?」


 「ご心配なく。上から<奴隷の首輪>の使用許可が出ると思います。本来なら、こういう場合に使われるべき物ですので」


 「そうなんだが、腐った連中が何処からか作って持ってきやがる。ゴールダームには製造拠点も無ければ、そもそもノウハウもねえっていうのに……!」


 「まあ、ノウハウが無いって言うより、他の国から持って来てくれるんだから、わざわざ作らなくてもいいってところだろうな。そうやって仕方ない仕方ないって言いながら、<奴隷の首輪>を使ってる阿呆どもが居やがる」


 「「………」」



 リリエとオーレムが黙る辺り、貴族どもが使ってるんだろうなと当たりをつけるミク。これ以上は居ても仕方がないのでギルドを離れ、<妖精の洞>へと戻る。昼には少し早いが、既にそれぐらいの時間なのだ。


 朝も早くから犯人を捕まえ、ギルドに連行し、そして尋問に付き合った。そうして終わったら、こんな時間である。今日は無駄に時間が潰れたなと思いつつ、ミクは宿の食堂に行って大麦粥を注文。大銅貨1枚を払う。


 椅子に座るとすぐにイリュが来たので大銅貨2枚を払って注文し、前に居るイリュの言葉を待つ。どうせ何か話があるのだろう、ミクはそう思って待った。



 「今日ダンジョン前で大捕り物があったらしいんだけど、ミクは知ってるよね? ミクにそっくりな人が、犯人を捕まえたとか何とか聞いたからさ」


 「何の話かと思えば、それかー……。さっきまでギルドで尋問してたんだよ、真偽官を含めて。で、それが終わって解散ってなったから宿に戻ってきたの」


 「ふーん………で、何があったの?」


 「簡単に言えば、カムラ帝国の暗部の奴がゴールダームに来て、魔物寄せを混ぜた飲み物をタダで配ってた。理由はカムラの盗賊団に扮した暗部の中隊が消えたから」


 「カムラの盗賊……? って確かミクが潰した奴等よね?」


 「そう。ゴールダームの中に繋がりのある奴等が居て、そいつらを支援してた。その中隊が消えた後、暗部では派遣するかどうか迷ってたみたい。で、その男は派遣不要派で、派遣しなくてもゴールダームにダメージが与えられるってところを見せる為にやったんだって」


 「うん……うん。何となくは分かったわ。つまり事の発端は盗賊団が消えた事で、その後はカムラの暗部の勢力争いって訳ね。その内輪の揉め事で、こっちを狙ってきたと。……ふざけ過ぎてない?」


 「だろうねえ。ラーディオンはキレてたよ? 下らない事で探索者に手を出されたからだろうけど」


 「ああ、あの小坊主なら怒るでしょ。あいつ熱血漢だし、真っ直ぐだから。昔からポカやらかす抜けたところがあるけど、根は真面目なのよ。あの小坊主」


 「流石にそろそろ小坊主とは呼ばんでほしいのだがなぁ……」



 <妖精の洞>にラーディオンと<竜の牙>と<鮮烈の色>の面々が現れた。何故わざわざこんな所に来たのか分からないが、イリュとラーディオンは知り合いらしい。なのでミクは黙っている事にしたようだ。


 この2人が何を話すのか、と思っていると、どうやらシャルも食堂に入ってきた。席が少ないのでミクが呼ぶと、シャルは迷った挙句ミクの隣に座る。


 どうやらイリュの隣は嫌なようだ。


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