18、優秀なストッパー君
「おーい、大丈夫か〜正気か〜。」
ミズが自分へ話しかける。
「うるさいうざい死ね。」
「開口一言目が罵倒!?」
「あんたにそれ以上にふさわしい言葉なんてない。」
「酷すぎね!?」
「うるさいうざい死ね。」
沈黙。
黙っていると溜め息の音。
「お前さぁ、もうちょっと、馬鹿になったら?」
「あんたみたくなりたくないわね。」
ミズが近づいてくるのを感じる。後ろに立つとミズは自分の頭を小突いた。
「なに?」
「人の良心を無下にするなよな。」
「・・・・・・ゴメン。」
自分でも八つ当たりしていたのは自覚しているので謝る。
「わかればよし!」
「なんか、腹立つ。」
「酷くね!?」
「酷くない。」
そう、八つ当たりなのだ。
あの一場面を見ただけで、予想がついてしまった。
娘はこちらより大きくなっていた。生後3ヶ月くらいだろうか。
おそらく、自分がこちらにいることはあちらに何の影響も与えられていない。何の影響もなく月日が流れている。そのことに気づいてしまったのだ。
(見なければよかった。)
そうすれば、あちらが心配にはなるが、こんな気持ちにはならなかった。
こんな考えなど持たずにいれた。
そんな風に考えてしまう自分を否定したくなる。
「まあ、あれだ。」
ミズが自分を引っ張り、後ろから抱き込む。上から頭を出しながら言う。
「いつも通りそれなりに楽しく愉快にいけばいいんじゃね?」
そう言ってニカッと笑う。
「相変わらずバカだね。」
「なぬっ?」
「バカって漢字でどう書くか知ってる?」
「馬に鹿だろ。」
「五月の蝿って書いてなんて読むか知ってる?」
「知らね。」
「うるさい。」
「酷くね!?」
「酷くない。」
こちらでもミズは自分のストッパーだ。




