表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキル【球術】の俺は、均形鍛冶の少女とダンジョンを攻略する  作者: 昼ライス
1章:球術のはじまり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/107

第31話 樹界の統率者

毎日17:30投稿

緑層の樹界の奥へ進むにつれて、空気が少しずつ変わっていった。


湿り気は変わらない。だが、魔物の気配が減っている。


「……いますね」


エンが小さく言う。


「うん。たぶん、奥」


カナも周囲を見回していた。


これまでと同じだ。ボスが近づくほど、他の魔物は減る。


だがこのダンジョンは、視界が開けていない。木の根や段差が重なり、見通しが悪い。


「足場、気をつけて」


「はい」


二人はゆっくり進む。


やがて、段差が連続する広場に出た。


中央に、大きな影がいる。


人獣型。


だが今までの個体よりも一回り大きい。筋肉質で、四肢が長い。木の根の上に軽々と乗っている。


視線が合った瞬間、影が消えた。


「速い!」


横から風が抜ける。


エンは反射的に小球を動かす。


当たらない。


すでに別の段差へ移動していた。


「……高いところを使ってる」


カナが言う。


ボスは地面を走らない。上へ、横へと移動する。高低差を完全に使っていた。


エンは大球を出す。


進路を塞ぐように置く。


だが、意味がない。


上から跳び越えられる。


「これ、止められないですね」


「うん。速すぎる」


小球を送る。


避けられる。


大球を動かす。


すでにいない。


戦いが成立しない。




距離を取りながら、エンは考える。


(当たらない)


今までの敵は、どこかで止まった。


だがこいつは止まらない。


地形を使って、常に安全な場所へ移動している。


「……巨大球、出します」


カナは少しだけ考えてから頷いた。


「場所見て」


「はい」


巨大球を取り出す。


斜面の少ない位置を選び、前に送る。


重い音。


だが、ボスはすでに別の場所へ移動している。


当たらない。


巨大球は段差に入り、わずかに速度を変える。


エンはすぐに止めた。


「……ダメですね」


エンは苦笑した。


「速すぎる」


巨大球は強い。


だが、当たらなければ意味がない。




ボスが再び動く。


今度は近い。


エンは小球を送る。


避けられる。


すぐに後方へ跳ぶ。


その動きを見て、カナが小さく言った。


「逃げてる場所、同じじゃない?」


「え?」


「上」


エンは視線を上げる。


確かに、攻撃を避けたあと、必ず高い位置へ移動している。


安全だからだ。


「……ああ」


理解する。


今まで自分たちがやっていたことと同じだ。


安全な場所を選んでいる。


「でも、上に当てられません」


「うん」


カナは少しだけ笑った。


「じゃあ、下にいさせればいい」


エンは一瞬だけ固まった。


発想が逆だった。


当てるのではなく、場所を変える。




その日は、そこで撤退した。


無理に戦う理由はない。


帰り道、エンは何度も戦いを思い返していた。


「……強いですね」


「うん」


「でも、無理じゃない気がします」


カナは頷く。


「うん。速いだけ」


エンは少し笑った。


確かにそうだ。


止まらないわけじゃない。


ただ、止まれさせられる場所にいないだけだ。


「次は、場所を作ります」


「うん」


緑層の樹界の奥で待つ統率者は、まだ無傷だった。


だがエンの中では、すでに戦い方が変わり始めていた。


いつもありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、

★★★★★評価・ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


本作は毎日更新中です。

明日もお待ちしています。


作者の新作です。

現代日本×ヒーローSF

 「魂融合機兵ヴェスパー《HIVE-01》」

蜂型の機兵が侵略者と戦う物語です。

もしよろしければこちらも読んでいただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ