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第86話 記者会見

 ムビはルイズの鑑定を受けた後、食事をし、宿に宿泊した。

 明日の夕方頃ルミノールに帰り、『四星の絆』の皆と数日ぶりに会う予定だ。


 皆きっと、今日の鑑定結果を知ったら驚くだろうな・・・。


 ムビは明日のことを考えワクワクしながら、何気なくテレビを付けた。




「———では、デスストーカーを討伐したのは、『白銀の獅子』なのですね?」

「はい。間違いありません」




 ムビの緩み切った表情は、ものの数秒で、みるみるうちに強張った。


 ———これは何だ・・・記者会見・・・??

 どうしてゼルが・・・??


 テレビの画面には、『緊急生放送!白銀の獅子が真実を語る!』というテロップが表示されている。

 絶え間なくカメラのフラッシュが焚かれている。


「詳細を教えていただけますか」

「はい。『幽影鉱道』内で『四星の絆』がデスストーカーに襲われていたところを発見し、間一髪で間に合い、討伐しました」


 ———待て。

 何の話をしているんだ?


「SNSなど、一部では『四星の絆』が討伐したという噂が広まっていますが、デマということですか?」

「その通りです。僕も、なぜそのようなデマが広がっているのか・・・正直、困惑しています」

「『四星の絆』も、デスストーカーを討伐したと主張しているようですが」


 ゼルは首を振り、溜息をつく。


「悲しいです。なぜ彼らがそんな嘘をつくのか・・・」

「SNSでは、『白銀の獅子』と『四星の絆』の不仲説が流れていますが、実際どうなのでしょうか」

「僕個人としては、『四星の絆』は良きライバルであり、とても好印象を持っていました。お互い、切磋琢磨していければと思っているのですが・・・。向こうは、僕達のことをあまり良く思っていないみたいで・・・」

「なぜ、『四星の絆』は『白銀の獅子』を嫌っているのでしょう。心当たりはありますか」

「そうですね・・・」


 ゼルは言い淀み、顔を手で覆う。

 カメラのフラッシュが、一斉に焚かれる。

 その状態が十数秒続き、ゼルが口を開いた。


「すみません・・・。元メンバーのムビ君とは、あんなに仲が良かったのに・・・どうしてこんなことになってしまったのだろうと思って・・・」

「裏切られた気分ですか?」

「いえ、きっと、僕にも悪い所があったんだと思います・・・。どうして嫌われているか、でしたね。実は、ムビ君は女好きで有名だったんです」

「そうなのですか?それはSNSにも出ていない情報ですね」

「一部、冒険者達の間では有名でした。もっとも、皆、『四星の絆』を助けに行って、『幽影鉱道』で・・・」


 ゼルはまた言い淀み、目頭を抑える。

 カメラのフラッシュが、一斉に焚かれる。


「・・・すみません。実は、『白銀の獅子』では1年程前、女性関係でトラブルがありました。ムビ君がリゼに好意を持っていたようで、何度もしつこく迫っていたみたいです。ストーカー行為にまで発展して・・・。怯えたリゼから相談を受けて、僕がムビ君に言ったんです。『これ以上リゼを怖がらせるなら、悪いけどパーティには置いておけない』と・・・」

「普通に犯罪ですね。通報しなかったのですか?」

「通報はしなかったです。ムビ君のことはそれでも、仲間だと思って信頼していましたし、きっと改めてくれると思って・・・。しかし、他の冒険者の女の子にも付きまとい、何人かに手を出していることも発覚し、他のパーティからクレームが入って・・・。何度もムビ君には注意したのですが、遂にはリゼが襲われる事態にまで発展して・・・。それが理由で、ムビ君を『白銀の獅子』から追放したんです」

「確か、ゼルさんはリゼさんとお付き合いされていましたよね。その事実を知った時、どんな気持ちでしたか」

「僕のことはどうでもいいんです。ただ、リゼが心に深い傷を負ってしまったみたいで・・・。戦闘にも影響が出て、それが理由で『蝦蟇蜘蛛』にも捕まってしまったと思っています」


 会見場は特大のリークにザワついていた。

 司会者が次の質問を促す。


「他に質問がある方はいませんか。・・・では、そこの方」


 質問者の男性にマイクが渡される。

 高圧的で下卑た声が会場内に響く。


「ホシテレビのゴイルです。『四星の絆』は女性ばかりのパーティでありながら、ムビ氏とは上手くいっていると聞きます。現役アイドルが性犯罪者と上手くいっているというのも可笑しな話ですが、彼女達がヤリマンの可能性はないですか?」

「どうなのでしょう。そこは何とも・・・。ただ、アイドルグループに異性を加入させるのは、ちょっと変な話だな、とは思っていました」

「話を戻します。どうして、『四星の絆』はデスストーカーを討伐したという嘘をついたと思いますか?」

「恐らく、僕達に恨みがあったのか・・・ムビ君は『四星の絆』チャンネルを伸ばそうと必死でした。ここであえて炎上させて、知名度を上げようとしたのかもしれません」

「自分達のために多くの冒険者が犠牲になったのに、最初にやることが炎上商法ですか。人間性を疑いますね」

「正直、僕も今までギリギリのところで忍耐していましたが、流石に今回のことは許せません。なので、一つ告発を行おうと思います」

「と、言いますと?」

「『四星の絆』は決闘にて、不正行為を行っていました」

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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