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Aランクパーティをクビになった『動画編集者』がアイドルパーティに加入して無双  作者: 焼屋藻塩
第3章 S級冒険者選抜大会

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第364話 決勝戦20

「ムビィィィッ! てめぇぇぇぇッ!」


『白銀の獅子』チャンネルを削除されたゼルは、怒りと絶望に飲み込まれ、獣のような叫びを上げながらムビへ斬りかかった。


 ムビはその刃を軽く受け流し、ゼルの胸を押し返す。

 吹き飛ばされたゼルは地面を転がるが、すぐに立ち上がり、再び突進してくる。


「お前だけは……絶対に許さねぇ! よくも……よくもぉーーーー!!」


 何度突き飛ばされても、ゼルは立ち上がる。

 怒りが痛覚を完全に上書きし、もはや自分の身体がどうなっているのかすら理解していない。


「殺してやる……! 殺してやるぞ、ムビィ……!」


 7度目の衝撃で地面に大の字になったゼルは、荒い息を吐きながら呻いた。


「『白銀の獅子』チャンネルは俺の全てだった……! よくも……よくも……!」

「自分だけだと思うなよ、ゼル」


 ムビは静かに、しかし少しだけ寂しそうに言った。


「俺にとっても、『白銀の獅子』は全てだった。怒られても、罵倒されても……俺たちは仲間だって、本気で思ってた。クビにされたあとも、いつかは分かり合えるって……最後には笑い合えるって、そう信じてたんだ」


 ムビはゼルを見つめる。


「でも、もう無理だ。全部めちゃくちゃにしたのは、お前なんだよ?」

「知るかッ! お前なんか、一度だって仲間だと思ったことはねぇ!」


 心の底から絶叫するゼルに、ムビは苦笑する。


「そうだよなぁ。お前はそう言うと思ったよ。薄給でもいい。理解されなくてもいい。ただお前が、『仲間だ』って言ってくれれば、俺はそれだけで良かったのに……」

「知るかバァーカ! 妥当な評価だろうが!? この無能がぁーっ!」


 ゼルは再び斬りかかるが、ムビに軽く弾かれ、地面に転がる。

 体力は限界を超え、呼吸すらままならない。


「くそぉーっ……! くそぉーっ……! 卑怯だぞ、ムビ! 自分ばっかり、チートスキル持ちやがって! それさえなけりゃ、お前なんざ無能のゴミなのに……!」

「何言ってんの? このスキルがゴミだって言って、追放したのはゼルじゃん?」


 その言葉に、ゼルの怒りはさらに燃え上がる。


「くそがぁっ!……勝負だっ、ムビ! お前のパラメータ、半分寄越しやがれっ! 俺とタイマン張れやぁっ!!」


 ムビは呆れたように首を傾げた。


「は? 何言ってんの? そんなことするわけないじゃん?」


 しかし、ゼルは喚き散らす。


「いいから半分寄越せっ! てめぇなんざなぁ、スキルがなけりゃ俺の足元にも及ばねぇんだよ!……ぎゃははは! お前ひょっとして、『自分が仲間から認められてる』なんて勘違いしてるんじゃねぇだろうなぁ!? バカが! お前に寄ってくる奴ら皆、お前のチートスキルが目当てなんだよ! そもそも、チートスキルの恩恵で出来上がった仲間関係だろうが!? お前自身は無能のザコ! 運が良かっただけの凡人なんだよ! 悔しかったら、五分の条件で俺と戦ってみろやぁ!」


 マリーがムビに近付き、囁く。


「ムビ、こんな奴の言うことを聞く必要はありません。この試合、あなたの勝ちです。さっさと終わらせましょう」

「うるせぇぞこの裏切り者がぁーっ!……逃げるのか、ムビ!? 俺がお前を認める唯一のチャンスだってのに、お前は逃げ出すんだな!?……はっはっはぁーっ! とんだ腰抜け野郎だぜ! いいか!? お前がどれ程化物になろうとも、俺はこの先一生お前のことなんざ認めねぇ! お前はスキルに縋ってるだけの、ただの臆病者だぁーーっ!!」


 マリーが首を振る。


「呆れた。この期に及んで、なんて人。そんな挑発、乗るわけ……」

「いいよ。やってやるよ」


 ムビの言葉に、マリーは目を見開いた。


「ム、ムビ……!? 何を言ってるの? あなたの勝ちは確定しているのですよ!? わざわざそんなリスクを犯す必要は……!」

「マリーは下がってて。このバカとは一回、完璧に白黒つけておかないと」


 マリーは首を振る。


「白黒って……!? もう決着なら、とっくについてます!『四星の絆』のために、勝利を得るのが最優先でしょう!? それに、スキルは本人の性質によって決められるもの! そのスキルは、疑いようもなくあなた自身の力です! 何も証明すべきことなど……」

「大丈夫。絶対、俺が勝つから」


 ムビが手を掲げると、ゼルのHPが全回復する。


「……クソが、チンタラしてんじゃねぇぞ! さっさと分けやがれ!」

「ゼル! あなた、これだけチャンスをもらっておいて……!」

「うるせぇ! 裏切者は黙ってろ!」


 ゼルは怒りのあまり、ムビを殺すこと以外何も考えられないようだった。


「こっちだって、お前には限界なんだ。永遠に黙らせてやるよ」


 ムビはスキルを発動し、自身のパラメータの半分をゼルへ譲渡した。


 ———ゴゥッ!


 ゼルの体を膨大なオーラが包み込む。

 途端に、ゼルの表情が一変する。


「……おいおい、これで半分かよ……。お前、マジで神かなんかじゃねーの?」

「きっちり半分に分けた。これで文句はないだろう?」


 ゼルがニヤリと笑う。


「本当か? どら、試させてみろや」


 ゼルがムビに向かって手を伸ばす。

 ムビは黙って手を差し出し、手四つになる。


 ———バキィィィィッ!!


 2人が力を入れた途端、フィールドの石畳がめくり上がり、吹き飛んでいく。

 わずかに残った観客たちは、悲鳴を上げて逃げ惑った。


「へへ、どうやら本当にパラメータは五分のようだな?」


 ゼルの表情が殺意に満ちる。


「殺してやるよ、ムビ。てめぇのザコっぷりを存分に味わわせてなぁ?」

「残念だけど、そうはならない。後悔するなよ、ゼル?」

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2025年9月10日、注目度 - 連載中で2位にランクインされました!
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