第2-56話 専属冒険者 お断りします
◇◇◇ルナジェイン城◇◇◇
「はるばる来てもらったこと、心より感謝する」
「こちらこそ。はじめまして巣籠明理と言います。わざわざお声をかけて頂き、ありがとうございます」
旧ライナス城離れ。昔はただのお屋敷だった建物は、不安を浄化するような明るい空間になっていた。
同じ間隔でキレイに並んだエメラルドの柱。床は意外性の強い人工芝で、爽やかな若緑色は目にも優しい。
タイル張りの道の先には、ルナジェイン王が座る玉座。両サイドにはたくさんの観葉植物が風に揺れる。
二階の廊下も吹き抜けだから360度良く見えて、天井は木々や花を模した豪華なシャンデリア。
気になることが無限に出てきて、歯止めが効かなくなりそうだ。
「ルナジェイン王。先程の通達に関して説明願いたい」
「風の守護精霊か。先日ラノグロア卿より、息子が面会に参ったと連絡を貰ったが……」
「……無用。そこまで気にする必要性は感じられなかった。バレンは世間に知られねよう、彼なりの隠蔽手段をとっている。
八年前のことを引きずっているのかもしれない。過ぎ去ったことは白にも黒にもなり得る。彼にとっては黒なのだろう」
風魔とルナジェイン王の話に着いていけない。その期間に私がいなかったから。通達の詳細よりも気になる、
風魔が言う〝白〟と〝黒〟。私にも黒歴史はたくさんある。恥ずかしい思いは忘れたい。だけど忘れることができない。
「……ルナジェインさん。私を呼んだ理由って?」
「通達についてか。昨晩の一件で貴殿の魔法を見た者が目をつけてな。
失われた古代魔法使いの一人なのではと。過去に息子も読んでいた文献に、旧王都ライナスに関する歴史が記されていた」
「その文献を書いた人って、旧統一者のユーラスさん?」
「いいや、著者はライナス王家第四女のレシフィナ。そこに〝ルグア〟という名前があってな……」
(ルグアってフォルテのことだよね。それに私のプレイヤーネーム)
「それって……。ルグア・レミリス・フォルテ。ですよね……?」
「ほほう、知っていたのか。何年も前から探していてな。居場所はどこか知って……」
「私の中にいます」
「はて……。それはどういう事か説明してもらえないか……」
そう言われると、どう説明すればいいのだか……。上手く言う必要はどこにもない。説明が難しいだけ。
ルグアでプレイした理由も、私の中にフォルテがいたから。フォルテがいなかったら、別の名前を使っていたかもしれない。
これまで様々なゲームをしてきて、依頼担当の寺山悟さん――プレイヤー名はゼアン――にゲーム制作を頼まれた。
プログラミングできるほど詳しい知識はないけど、力になれるのならばと〝リアゼノン〟の開発に協力。
私は基盤しか作っていないし、メインの設定はゲーム開発部がしてくれた。一応企画者は私と寺山さんの名前になっている。
そして、アルヴェリアのメンバーは、フォルテとウェンドラが誘ってくれた。基本的には風魔のおかげだけど……。
「まあそうすぐ悩むでない。折って話せば良いではないか」
「同意。ルナジェイン王とはいつでも話せる。本題はこれとはまた別」
「これとはまた別って、ルナジェインさん教えてもらってもいいですか? 本題の内容を……」
「では、早速。貴殿にこのルナジェイン直属の冒険者パーティの一員に……」
(だと思った……)
要するに、ここの専属冒険者になれば、アルヴェリア全土の防衛をより強固にできる。というような考えなのだろう。
実際、私はどんなゲームでもランキング上位。加えてアクションゲームでは無敵に近い。故に大会ではチャンピオン枠だ。
〝目をつけた〟と聞いた時点で少し気になったけど。多分、ルナジェイン城の関係者が目撃者だったのかもしれない。
でなければ、ルナジェイン王に伝わるわけもないし、通達も来ないから、そうだとしたらここに訪れていないはず。
(だけど……)
「冒険者パーティへの勧誘はありがたいんですけど。今回は取り止めにしてもらっても……いいですか?」
「取り止めとは……入らないという捉え方で良いか?」
「はい」
「貴殿の活躍を期待しているが……」
「それでもです」
「大量の報酬も用……ぃ……」
「それでも」
「土産用のおさ……」
『おっ⁉』
(まずい……フォルテ罠)
「……フォルテ黙って。ルナジェインさん。私には【アーサーラウンダー】というギルドがあるので、そちらで活動してもよろしいでしょうか?」
「【アーサーラウンダー】……。こちらでは聞かぬ名だが……。ギルドとなれば心強い。貴殿が所属しているのなら、ルナジェインの自由使用を許可しよう」
(なんとかなった……。ほんとお酒になったらフォルテが反応するんだもん。危うく承諾するところだった……)
心の中でほっとすると、ルナジェイン王は引き出しから何かを取り出す。きらりと光る小さいもの。目を凝らすと勲章バッジだった。
その個数は合計30個。バレン一行を合わせても14人しかいないため、16個余ってしまう。
元々私は計算問題が苦手だけど、これくらいなら簡単にできる。ただ単に0の数での桁がわからないだけだから。
「判別するための目印には良いだろうと、旧ライナスで使われていた紋章を元に作っていてな。
ライナスを知っている者が相応しいだろうと、保管しておいた。この時が来るとは……。
この勲章は貴殿やその仲間に渡すといい。きっと、勲章も喜ぶだろう。そして我が息子にもよろしく言ってくれ。
〝世界各地で危機が迫っている〟と……」
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第1部分は、宮鳥亜蓮が主人公のVRゲームジャンルなので、よろしくお願いします。
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