第2-55話 呼び出しの通達
◇◇◇翌朝 ラノグロアの宿屋◇◇◇
「おはよう……。あれ? メルフィナさん。バレンさんは?」
「まだ寝ているわ。あの子、普段は丸一日寝てるから」
「丸一日……。そうなんですね……」
「明理ちゃんはよく眠れたかしら?」
「はいっ‼ おかげさまで。と言っても、ショートスリーパーだから3時間程度ですけどね」
それにしても、バレンは寝すぎだと思う。こんなにたくさん寝かせて、大丈夫なのだろうか? それとも、私が短いだけ?
メルフィナと宿屋の中を歩きながら、それぞれの部屋に顔を出す。
私とメルフィナの部屋は、同じ二階の5号室で、すぐ右はガデルがいる3号室。遅くまで執筆していたのか、寝落ち状態だった。
「この子もお友達?」
「そう……なるのかな?」
(ガデルが作者だということを、ここでは言えない。そもそもどうして着いて来たんだろ?)
「わざわざ詳しく言う必要はないわ。今はそっとしときましょ」
「あ、はい。えーと、次はロムさんと風魔の部屋に」
「それなら一階受付横の2号室ね。雷夜くんとレネルくんは、反対側の7号室。入口付近でわかりやすいはずよ」
「ですね」
(昨日ゲーム内口調になって、今元々の口調に戻ってるの気付かれてない……。良かった……)
バトルに熱中しすぎてしくじったことを、一人心の中で振り返る。アレンの前ならまだいいけど、異世界人には隠しておきたい。
知られたら絶対彼女の命が狙われる。私の親友だから、これからも協力していきたいから。
彼女が知ってて私が知らないことや、私が知ってて彼女が知らないこともある。ガデルがいなかったら、アレンのことに気付かなった。
「一応2週間予約しているみたいだから」
「その……。宿屋代っていくらくらいなんですか? 実はアルヴェリアの通貨をライナスに保管したままで……」
「ライナス? 今は北部と南部で名前違うけど、どっちかわかる?」
「北部です」
「北部ってことはアレストロ城ね。ふつ……」
「ライナス王家の金庫です‼」
「それなら全額バレンが持ってるわ」
「え?」
予想外だった。もうすでに金庫が開錠されていたなんて……。一緒に行動している人だから、私も一安心できる。
今はウェレス通貨で、金庫に預けていた通貨は1万倍の価値があるらしい。プレミアものになったのは、異世界でも時間が進んでいる証。
風魔達に会うため一階に下りると、なぜか受付が騒がしくなっていた。
「明理来ていたのか。どうやらルナジェイン王から通達が届いたらしい。宛先はバレンになっているが、明理を指す記述が多い。
オマエなら今日中に着く。案内役として同行も可能。行く行かないは任せるが、早急に顔合わせ願いたいと……」
「それで、こんなに人が……」
「一般が多くいるところに通達が来るのは、前代未聞と言っていい。ルナジェイン王はアルヴェリア全土の統一者。
号外も飛び交い始めている」
そんなにすごいことなのか? 王家の価値が上がりすぎて、似合う言葉も出てこない。時代は流れて行くもの。昔とは違う。
まるでタイムスリップしたみたいで、新たな発見と冒険心を抱いてしまう。二十歳すぎてもずっと子供でいたい。
「案内お願いします」
「承知した。メルフィナ。他の皆に席を空けると伝言してもらいたい」
「わかったわ。お二人ともお気をつけて」
◇◇◇光の首都 ルナジェイン◇◇◇
「風魔さん。ここって……」
晴れ渡る青空の下、真正面には金や翡翠色で装飾された白銀の城。まるで新築のように光り輝く。
元ライナス城下町の一区間。全体の半分にしてはとても広い。出店も至る所にあって、大勢の客で賑わっていた。
もう一つ気になったのは、人種。
今までは私のような人族や、風魔や雷夜の獣亜人族。そして長命人種――今は王族を指す――だけだった。
それが、長い耳が特徴の深奥エルフや親交が強い深奥ドワーフ。彼らとは真逆で耳が短いシーエルフもいる。
深奥エルフとシーエルフの違いは、森に住んでいるか海辺に住んでいるか。深奥エルフは主に木材、シーエルフは魚で商売をしているようだ。
「久しぶりに来てみたが、活気の違いに驚いた。以前はここまで客がいなかったはず。ルナジェイン王の頑張りに興味がある」
「私達が会うルナジェイン王って、あの白銀の城にいるんだよね?」
「その通り。人に塞がれないうちにここを抜けた方がいい」
「だね。急ごう」
「単純に空を使えば良いと思うが……」
「たしかに……」
(飛行魔法で飛べるんだった)
それでも人気の多い場所ではできないので、裏路地から大空へ。目立たないように天を駆ける。
距離は思ったよりも近かったが、城の敷地内に着地し、案内状を門番に見せる。
初めて来た時も、フォルテの父親が志願書を書いてくれた。そういえば、父親の名前も二文字目が〝レ〟。
もしこれが、この世界に来た理由と繋がっているのなら……。
「明理。王が待っている」
「……は、はいっ‼」
「肩の力は抜くように、強ばっては意味が無い」
「了解です‼」
読んでいただきありがとうございます!
作中で〝シーエルフ〟って書きましたが、イメージとしては、「ゼルダの伝説ブレワイ」に出てくる〝ゾーラ〟のような見た目です。
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第1部分は、宮鳥亜蓮が主人公のVRゲームジャンルなので、よろしくお願いします。
次回もお楽しみに!!




