第2-49話 バレンという少年
※2022年3月13日 句読点修正
「なあちっこいの。どっから来たんだよ?」
「それって私のことかな?」
「それ以外に何があんだよ。馬鹿かてめぇは?」
「馬鹿で悪かったね。なんも知らないはずなのに……。ううん、風魔が言った通り〝大事な友を助けにきた〟。名前のは……」
「バレン。周りに誰もいねぇからフルで言うか。俺の本名はバレン・アレストロ。無垢の街アレストロの元第二王子だ。そっちも名乗れよ」
「そうだったね。はじめまして、巣籠明理です。こことは別の世界から来ました。呼ぶ時は明理でお願いします」
ここまでに私は彼の意図を汲み取れなかった。いつもなら相手が考えていることを先読みできる。
アレンの時はそれが容易くできたのだが、バレンという少年は表情すら変えない上に、思考を悟れなかった……。
◇◇◇数十分前◇◇◇
「おい‼ そこのちっこいの‼ 俺とバトルしないか?」
「別にいいですけど……」
私はバレンという少年に宣戦布告をされて、バトルをすることになった。相手も剣を持ち、街の外れへ移動。
平原の一角で武器を構える。もちろんこの時も右か左かで問いかけて、相手が左を選んだため真紅の剣を左に持つ。
微かに吹く風でふわりと浮く小さな葉。私の剣に触れた瞬間ボワりと燃えて、双方同時に地面を蹴る。
異世界の人と戦うのは、これが初めてというわけではなく、過去にもあったけど思い出せない。
「ちっぽけな身体なんに、よくも半身ほど大きい剣を触れるな……。寝みぃけど侵略者じゃねぇのはわかった」
「元々侵略者じゃないけどね? 本気になってもいいかな? 見た感じ素質がありそうだし」
バトルの様子から考えて、長身の彼はぎこちないにも関わらず、剣の範囲を理解していた。回避速度はアレンには劣るが……。
逆に劣るを別の考え方にすると、逃げではなく受け。積極的に前衛へまわり、敵の攻撃を受けつつ戦うスタイル。
ヒットアンドアウェイでもなく、ガードするわけでもなく、真っ向勝負がメインだと予想したが、動きは不規則で……。
「素質ってなんだよ? 俺の戦い方にケチでもつけたいのか?」
「それは違うかな? 私が指導したくなったみたいなんだよね」
「なったみたいって。んあもう、頭こんがらがっちまうじゃねぇかよ。ちっこいのもべちゃくちゃ言いやがって」
これは、アレンよりも難易度が高そうだ。でも、それならこちらも教えがいがある。剣を交えて気付いたことは今後にも役立つから。
◇◇◇現在◇◇◇
「なんなら、勝手にしろ。ふわぁ~う……。さっさと宿屋見つけねぇと……」
――バタンッ……。
突然道端に倒れるバレン。よく見たら、いびきをかいてぐっすり眠っている。赤い瞳で威圧感があるのに、その寝顔はとても可愛い。
だんだんと暗い夜道になりそうな平原で、私はそんな彼を抱えてラノグロアに戻るのだった。
読んでいただきありがとうございます。
ハイファン突入ということで、ジャンルをハイファンタジーにしたのですが、なんと1000PVを超えてしまいました。
そして、今日もあと1話になりました。予定では、一旦完結設定にしようと思っていたのですが、辞めることにしたので、完結設定にはしません。
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