第2-40話 黒い何かの正体
◇◇◇それからしばらくして◇◇◇
「……おはよ」
「おはよう犬アレン」
「おはようなんだりょん‼」
今日は八月二十八日。対抗戦から三日も経ったのに、疲れがとれた気がしない。とてもじゃないけど、活動できるのかすらもわからない。
なにせ、二十三日から連続。正確には二十二日からぶっ通しでバトルをしていた。ここまでくると、体力も精神面も着いていけない。
実際俺はまだ学生で、就活や進路先の希望を来年に控えている。大学へ行くか働くかを決める大事な時期だ
きっと働き始めたら、休む暇すらないのだろう。いざという時にしか集中できないのは、働く以前の問題なのではと考えてしまう。
「そんなことないんじゃないかしら?」
「えっ?」
「あと最近のあんたって、同じ反応しかしていないわよね? 別の相槌あると思うけど……」
「別の相槌?」
そういえば、〝相槌の「さしすせそ」〟とかいうのを、どこかで聞いたことがある。学校の国語の授業かなんかで……。
「珍しい。今日はみんな朝が早い。雷夜やアルス。ウェンドラの姿を見ていないが、外出していると予測。無理は禁物。しかし、動かさなくては感覚も鈍る」
「風魔しゃん。おはようなんだりょん‼」
「ん……。フィレン。調子はどうだ?」
「相変わらず元気りょんけど」
「それならいい。体調を崩せば何もできなくなる。知らず知らずのうちに、バランスが悪くなってしまう場合も無くはない」
絶妙なのか微妙なのか、突如姿を現した風魔。気遣い方は今までとなんら変わっていない。けれども、ツッコミを入れる気になれない。
俺は本当にどうしてしまったのだろうか? しばらく前までは、勢いだけで気持ちを昂らせていたのに……。
「アレン。顔色があまり良くない。黒い何か……。それがオマエの中にある。その可能性が高いはず」
「なんでそれを……。ってか、黒いあれはなんすか?」
「なら、質問する。今オマエの心で渦巻いているものはあるか? 道を塞いで障害になっているものは……。それが答え。あとは自分で探すといい。答えを言えば意味が無くなる」
渦巻いているもの……。過去を辿れば、目指している場所がバラバラだ。どこへ向かおうとしているのかもわからない状態。
ルグアを助けたい。でも、この【アーサーラウンダー】というギルドを、彼女の代わりに引っ張る使命もある。
優先順位がわからない。しかし、現時点ではギルド関係のことしかできないだろう。優先順位としてはそれが先のはずだから……。
そうこうしてる間に、黒い何かはヒビを増やしていく。物事を整理すればするほど浄化されて、心を白に染めている。
「もしかして。〝迷い〟ってことっすか?」
「その通り。まずは取捨選択の勉強をおすすめする。今すぐできるようになれとは言わない。オマエはオマエのペースでやればいい」




