第2-28話 鬼封じ
「俺、指示してもいいっすか?」
目の前には、笑い転げて身動きが取れなくなった鬼。もう一度その姿を見ると、派手な色彩でよく目立つ。
周りには遊園地の遊具。単体の木馬があることから、幼児などの小さい子供が遊ぶエリアなのだろう。踏み台にできそうな配置だ。
けれども、それらを活かすだけの能力は、今の俺にあるのだろうか? もし自分がルグアなら……。俺の彼女だとしたら?
「……とにかく」
俺は仲間の返答を待たずに走る。きっと彼女なら、子供を安全な場所に退避させるはず。
三人背負って高速移動したせいで、取れきれて疲れはあるけど、それでも加速させてできるだけ早く。
俊敏な動きで回収し、トンボ帰りでセレス達に預けて、跳ね返るように方向転換。クイックチェンジで外していた剣を呼び出す。
止まることなく氷属性を付与。近づくにつれて大きくなる鬼の足を、まずは氷漬けにさせる。正直言って寒いのは嫌。でもそういう問題じゃない。
「手数を多くさせて……。属性ダメージを蓄積させて……。ってか⁉」
――パリーン……。
「凍らせても凍らせても、デカすぎて凍らない……。これ意味無いじゃん‼」
『……これは、なんの騒ぎで』
「リゲルさん、おはようございます」
『あれは、鬼?』
「そうっすけど……」
『特異点の魔法。ご使用になされないのでしょうか?』
「えっ?」
特異点の魔法。〝Z+魔法〟という大魔法のこと。たしかに俺は使うことができるけど、使用時の代償が激しい。それくらい強いというのもあるが……。
実際、はじめて使った時は、死にかけたくらいだ。ゲーム機の安全機能が発動するレベル、負荷がかかるのだから。
それでも、俺は安全機能を無視して、攻略を続けているので、あの選択はよかったのかもしれない。というよりルグアに会いたい。
「それって使っても……ってことっすよね?」
『ええ』
「わかりゃした‼ 最新レパートリー」
――Z+魔法 エレメンタル・セット……。
詠唱をして鬼の周囲に大量の発光体を設置。合計で120個。相手の様子を窺い、タイミングを見極める。そして。
――……バークアウト‼
詠唱確定。設置した発光体が共鳴し、一斉に爆発を起こす。まるで閃光玉のような眩い光がエリア全体を包み込み。音爆弾のような甲高い音を発生。
使用した俺自身も耳を押さえたいけど、鬼は怯んでいる状態。今がチャンスの展開だ。ここを逃す訳にはいかない。
剣に付与させた属性威力を上げて、どんどんダメージを与えていく。無我夢中で剣を振るう。凍らせるまで刃で斬りつける。
「この短い時間に必ず‼」
『アレン。落ち着け。今のオマエは普通じゃない』
「……? 風魔……さん……」
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