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第2-13話 緊張のあまりに……

 ◇◇◇アレン目線◇◇◇


 それにしても、本当に現れるのだろうか? 俺は待ち合わせ場所に指定されている、第二十層の広場に来ていた。

 なかなか姿が見えないクレーマー。気配もしない。だんだん待つのがめんどくさくなって……。


「アレン。相手の方から連絡が届いた。どうやら今日は来れないらしい」

「風魔さん。それってほんと……」

「本当だ。そして相手は決闘日を八月二十五日という方向で希望している」

「二十五日っすか……えーと今日は……」


 風魔からの知らせに、俺はメニューを開いて確認。日付は二十二日で、決闘日は三日後だった。それまでに、なにかすることはあるのだろうか?

 街を歩くのも少し飽きてきたし。クエストの受注場所もわからない。自分から動いて探した方が得なのは知っているが……。


「お兄ちゃん? 何悩んでるの?」


 真後ろから幼い声。振り向くと小学生くらいの可愛らしい男の子。俺が身につけている甲冑の裾を、がっしりと掴んで引っ張っている。

 けど、なんで俺に? 不思議で仕方ない。なぜなら、場所を移動する度に、彼は裾を引っ張ってくる。少しホラー感があるが……。


「……え、えーと。なんすか?」

「たしかお兄ちゃん。ギルドやってるんだよね? 自分も入っていい? その前にクエスト手伝ってよ‼」

『やれやれ。面白い子が来たようですね。僕達で良ければ、お手伝いいたしますよ?』

「り、リゲルさん?」

「ねぇねぇ、誰かいるの?」


 なんてことだ。相手に誤解されてしまったじゃんかよ‼ 実際、リゲルは俺の中にいるわけで、意識は完全に離れているんだけれども‼

 今は外部に出ないように――正確にはリゲルが夢旅行で少し疲れているから、中で休憩中――しているからなんだよね。

 まさかまさか、それが裏目に出てしまったのは、俺でも予想できなかった。逆を言えば俺が反応してしまった大きなミスががががが……。


「お兄ちゃん、顔が真っ赤っかだよ? 大丈夫?」

「えっ? あ……。リゲルサンカイジョシマシタ……」

『ありがとうございます。改めてリゲルと申します。声だけではありますが、アレンという方と共有して活動していて、彼はギルドの団……』

「リゲルさん言いすぎっ……」


 解除直後の自己紹介。口が軽いと言えばいいのか、余計なことまで話し出したリゲル。それを聞いた男の子は、まん丸く両目を見開く。

 そして、見開いた瞳を輝かせて、俺をみつめていた。こんな恥ずかし状況は、どうすればいいのだろうか?

 立ち込める湯気。これって、今超絶緊張して系⁉ 絶対そう‼ 絶対そうだよこのシチュエーションは、マジで‼


「なんか、爆発する前の爆弾みたいになってるよ? お兄ちゃんの顔……」

『これは、一旦頭を冷やした方が良さそうですね……』

「……プシュゥゥン……」

『あ、アレンさん⁉』

「ギルドのお兄ちゃん⁉」


 ――バタンッ…………。


 緊張のあまり、俺はその場で倒れてしまった……。

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