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第2-11話 ライナス城での祝福の盃

※本編とのキャラ名表記が異なります。よろしくお願いします。

 ◇◇◇ライナス城 城内◇◇◇


 お父様の前で名乗った時、日本という異国の地での名前だという、〝巣籠明理〟と答えていた。僕はその時から彼女の名を呼ぶ時は明理と呼ぶようにしている。

 そして、もうひとりの存在をルグアと伝えてくれた。かのリアゼノンでフォルテと名乗っているお方のこと。そんな二人――実際には一人――を連れて、ライナス城の廊下を歩く。


「明理さん。貴方に会っていただきたい方がいます」

「私にですか?」


 彼女は、普段の話し方という女性的な口調で問いかける。見た目に反して優しい言葉。ここでの彼女は、ルグアの身体を借りているらしい。

 ゲーム内ではぶっきらぼうとのことだが、本人がフォルテと区別をつけたいとのこと。似つかぬ容貌にはどうしようもないのだろう。

 向かう先は妹がいる子供部屋。僕の妹がちょうど遊んでいる頃で、きっと喜んでくれると思っていた。

 しかし、着いて扉を開けた場所は、誰一人ともいなかった。思えば、作法を学ぶ時間。幼少期から礼儀の勉強をした思い出は、昨日のように浮かんでくる。


「えーと、リゲルさん? そろそろ歓迎会の時間なんじゃ……。私も出席するんですよね?」

「ええ、そうですね。予定としては四時間ほどお時間をいただくことになりますが……」

「ルグアのお父さんに連絡してみます」

「お手数お掛けして、わざわざすみません」

「いいんですよ」

「明理さんは、心も優しいのですね」

『おーい、オレ忘れてるぞ‼』

 

 突然割り込むフォルテ。彼には性別が存在しないようで、本人をよくわからないとのこと。そもそも、生前の記憶がないそうで、彼の記憶を取り戻すために、アルヴェリアに来たらしい。

 けれども、元の世界に戻れなくなってしまい、ここに滞在。原因を探している最中だという。アレンの中にいる僕と似ていた。


『なあ、リゲル。〈レイベル酒〉ってあるか?』

「もちろんですとも。なにかご希望でも?」

『十八番の……』

「ちょっとルグア。飲みすぎ注意。昨日50瓶以上飲んでるでしょ?」

『けどよぉ……』


 度数1000パーセントで、アルヴェリア界で飲める人が限られている〈レイベル酒〉。それを50瓶飲み干してしまうのは、異常なアルコール耐性と感じた。

 アレンも同じ意見だろう。燃焼必至のを迷いなく飲むのだから。そして、当の本人は酔ったことがないそうで……。


「……⁉ 痛ッ⁉」

「あ、明理さん? 急にどうされ……」

『お待ちかねのご褒美タイムだな』

「もうルグアったら、ポジティブ表現しないでよ‼ 負荷が地獄なんだから」

『すまん……』

「お二人とも仲が良いのですね。僕の戦友もそういう仲でしたから、あの頃が恋しく感じてしまいます。さて、もう少しで会場に到着するので、準備してください」


 彼女が言う負荷という名の代償。どういうものなのか見当もつかないが、笑顔で会場入りしていることから、問題ないと肩を下ろす。

彼女ができたことを分かち合う時間。異常な勢いで減るお酒。ちょうど〈レイベル酒〉の処理に悩んでいたという酒造場の主人は、嬉しそうな表情で、明理と入れ替わったルグアのジョッキに酒を()ぐ。

 一つ、一つ、また一つと消える瓶。1000という度数をも無視して飲む姿に、会場は大盛況となっていた。


『ルグアそれいくつ目?』

「多分50……」

「ご、50瓶⁉」

「オレはまだいけるが……」

『そういう問題じゃないよ‼ 私まだ未成年だし……』

「追加で50‼」


 歓迎会はいつしかルグアの大飲みイベントと化し、最終的に576瓶も消える。喉を焼くのが嘘のように、ルグアは表情を変えない。

 対する明理は呆れながら、僕と談話を楽しんでいた。幕の下りた大地が、光で満ちるのを待ちながら。

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