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客人  作者: 焔夢
永遠に生きる子供
3/36

trainmystery

私は心底ムカついて、少女を睨み付ける。

「だから、その…次の駅はどこかって聞いているの!!」

何だか泣きたくなってきた。

少女は困ったような顔をしてこう答えた。

「お願いだよ。怒らないで良く聞いて、あなたは寝過ごしてしまったんだよ。指相撲でもして遊んでくれないかな」

少女は私の手を取り、目を潤ませながら懇願してくる何なんだよもう。調子狂うなあ。

「あなたのお名前は?」

人に物尋ねる時は相手から名乗るべきだと思うのだけど…

「私は舟橋 幹。あなたは?」

「私はヘッドだよ。宜しくね!」



車掌帽の男はブリーフケースを空けると、切符を仕舞い込み溜め息をついた。

いつもこうだ。

一番最初に核心をつく仕方が悪いのだろうか…?

俺の着ているブルーのジャケットからセブンスターを取り出すと指で叩く、煙草に火を付けた。

ふと、窓が開いているのに気付き、くわえ煙草のまま外を見る。

外は真っ暗だ。木々が揺れる風の音を聞いて微笑む。

今日はいい天気だ。星は見えないが夜風が心地良い、窓を下げヘッドの持っているアレは必要無いな。



セットちゃんは吃驚するほど、指相撲が弱かった。

地団駄を踏んで悔しがる彼女を見ていたら何だか和んできた。

「ねぇそのヘッドとか言うのはあだ名なの?」

こんな年頃の子が鉄道会社で働けるものなのだろうか。

「違うよ。ヘッドはヘッドだよ。それ以上でもそれ以下でもないよ」

「…この列車には人が居ないみたいだけど…どうゆうことなの?」

「いっぱい居るよー!!コードも居るし、ネットも居るし、マクロはまだ寝てるけど」

あだ名ばっかり並べ立てるヘッドに少しうんざりしていると、セットは今度は瞳を輝かせながらショートパンツのポケットの何かを取り出した。

それはトカゲ型のブローチだった。

私は爬虫類があまり好きではないのだけれど、そのブローチにはキラキラしたホワイトとブルーの宝石が散りばめられていて、とても美しかった。

「幹!これはね!クラゲさんの大好物なんだ

「え?でもこれ、明らかに食べ物じゃないのだけど」

「クラゲさんはねー水族館には居ないからねー。預かって貰えないかな!?」

良いけどコレとても大切な物なんじゃないかな…。

ブローチにしてはサイズも大きい。

「大切な物なんじゃないの?」

「違うよ。これはアナタが持っているべき物だよ」

ヘッドはそういうと、私の手を取り、そっとトカゲのブローチを納めようとしてくる。私は不意に恐怖を抱き、手を引いてしまう。

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