第10試合目 開始
前は予定を変更してお菓子レシピを料理人全員で作ったという番組だった。始めた番組を収録した時からそれぞれが自分の料理技能を見て欲しいとか新鮮な驚きを与えたい、それに何より味と香りを堪能して欲しいというのを目標にしてきた部分もある。それが有音の一件でちょっとした方向修正され、全員でお菓子を作った過程でイタズラっ子ぽい笑みをしていたり。
誰もがこの工夫で美味しく食べれるけど他の人の意見は? とかなどと協力して作る楽しさといった具合に豊かな感情が広がっていた。
総合的に考えると、彼彼女ら番組出演者の皆さんは料理を心の底から楽しんでいる時ほど観客や視聴者を喜ばせるよう魅了させるって事だ。当然ながら料理を楽しめている誰もが今日選ばれるかなと心待ちに。どんなアイディア料理を評価してもらい改善点も教えてもらえるだろうかと全員が思っていそうだとかいなさそうだとか。
まもなくこの作中月日で10月になる。さすがに残暑の暑さもなくなってきて外は過ごしやすい気温だ。でも衣替えするにはちょっと早いかなと出演者達も思っているらしく夏服を着用している。中には薄い上着を持ってきている人もいたりした。
前の試合の影響についてはこういう良い面もあったようである。それは番組開始前のスタジオがリラックスしやすい空間になってきた事、出演者同士の人となりもだいぶわかって来た時期で料理が好きだという気持ちが自然と伝わりあって顔が弛む間柄になったのだろうと推測出来る。
「そろそろ試合開始――いえ、まずは番組スタートの挨拶からですね。出演者の皆さんが適切な緊張状態だからか円滑に進められそうです」
どうやら司会者の命にもスタジオに広がりだしている雰囲気の良さが理解出来て来たようである。誰が何を作るとしても憎い演出やサプライズなど期待してしまう今の状況を大切に
したいとスタジオ内の全員の考えが一致していた。
「ここまで順調にやりやすく、言葉が途切れなかったのはいつ以来だろう。「皆さん、お待たせしました。早速始めましょうか?」
出演者達がワクワクドキドキしているのを感じ取って司会の彼が尋ねた。審査員達も今か今かという心境なのだろう、すでに席に向かいやすい位置をキープして審査に関係ある準備を
整えつつある。
「前回は試合形式にせず、全員参加で内容が濃かったですね。これが本来のやり方なのに久々に感じますよ」
電光掲示板を使わなかったのは前回だけのはずなのにしばらく使用していなかった様な――という不思議な感覚を司会者の命が味わっている様子だ。適当にランダムで料理対決する2人が選択されるとはいえ少しでも重圧のようなものを感じてその影響からか汗が滲んできたのでハンカチで拭った。
「出演者の皆様から熱い情熱を感じるからでしょうか。ボタンを押す手が硬直してきて……誰になっても恨みっこなしですよ」
つい自己保身に走ってしまう命。ランダムにケチをつけられてもというのもあるというのに。そんな出演者なんかいないと内心でツッコミを入れて気にする事をやめる。
来週更新予定はどうなるだろうな~
不安……(ストックがほばなくなるとそう思うのです)




