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転校初日・朝のホームルーム

織田信長


担任が俺の名前をデカデカと黒板に書いた。途端に教室の中がざわめく。

転校する度に起こる現象だ。


「おまえら静かにしろ!」


一向に静まる気配がない生徒たちを担任が一喝した。さすが農高の教師、声がよく通る。

ようやく落ち着いた生徒たちを見回して、俺は深呼吸をすると自己紹介した。


「オリタです。よろしくお願いします」

「オダじゃないの?」


俺の左前に座る女子生徒が囁くように言った。声量は違えど、いつも一番にもらう質問だ。

俺が顔を向けると、ビクリと肩を揺らして目をそらした。その態度、傷つく。


「オダではなく、オリタです」

信長ノブナガなのに?」


右端の前から二番目の席に座る男子生徒が身を乗り出すようにして聞いてきた。ピンクの長髪に顔面ピアスの数が凄い。関わりたくない人種だ。


「オダノブナガではないのか?」

「違います」

「貫禄があるのに?」

「緊張しているだけです」


一番後ろの席で頬杖ついた坊主頭が野太い声で言った。机からはみ出るほどの巨体は迫力がある。おまえの方が恐い。


織田オリタ、きちんと言わないとみんな納得しないぞ」


担任が窓の淵に寄りかかって、俺と生徒たちを交互に見た。


分かっている。自分がかの有名武将と同名ではないことを証明するためにはフルネームは言うべきだ。

ただし全員が納得するかは別で、いじられる確率が高い。そして俺自身が言いたくない。だから担任が書いた文字の横にフリガナをふった。


織田信長オリタマオウ


「よし、織田の席は左の一番後ろだ」


グッジョブ、担任。黒板を見た生徒たちが一斉にざわめく中、俺は早足で自分の席まで移動すると何食わぬ顔で座った。

教室にいる全生徒の視線が集中していることに気づかないふりをして、鞄から筆記用具を出す。

教室に来る前、担任から一時限目は数学の小テストを行うと聞かされていた。範囲は前の学校で勉強済みだ。


「静かにしろ! 一時限目の数学は小テストを行う。机の上を片づけて準備しろ」


途端に悲鳴が上がった。一部の生徒は真面目に準備をし、その他大勢は混乱したまま答案用紙を手にしている。

前の席の男子生徒から答案用紙を受け取り、俺は目を伏せたまま開始を待った。


「このまま冷静にテストなんてできません!」

「「「そうだ!そうだ!」」」

「テストで赤点取ったやつは放課後残れ」

「「「えー!!」」」

「終わったやつは他の生徒の迷惑にならない程度で好きにしていいぞ」

「「「おおお!!」」」


担任が未だに騒がしい生徒たちを宥めて、どうにかテストは始まったが最後の一言は余計だ。

まあ、一時限目が終わるまで座っていればいいだけだ。その後は全力で逃げる。

久しぶりの投稿です。

よろしくお願いします。


8/26 修正しました。

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