挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 作者:硬梨菜

此岸より愛を込めて花束を

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

47/235

深謀智慧以て真実暴きし騎士は虚構

 サードレマに突如として出現した|変質者の情報は、リアルタイムで街中を駆け抜けていることから瞬く間にプレイヤー達に伝播する。

「うわっこっち見たぞ!」

「いたぞ! あっ、消えた!?」

「何あれレアモンスター!?」

 家屋の隙間に消えたかと思えば路地裏から飛び出し、路地裏を覗き込めば大通りを横切る。
 神出鬼没な白頭巾の情報は錯綜し、仮にそれがユニークを秘するプレイヤー「サンラク」であると気づいた者がいても、何処にいるかを把握することができない。

「あの野郎どこに行った!?」

「てか聞いた話と違うじゃん! 刺青半裸なんじゃなかったの!?」

「おい! ダスクの鍛冶屋の方で見たってやつが!」

「そっちの方面ってことは……俺たちを撹乱した上で鐵遺跡に向かうつもりか! 行くぞ!!」

 クラン内ナンバーツーの想定外の離脱(リスポーン)+「なんかかったるいのでパス」という唐突のボイコットにより、下っ端のみでサンラクを探していたPK達は、知り合い(ペンシルゴン)であればあからさまなその動きに疑問を抱いたのだろう情報を素直に信じて鐵遺跡へと先回りせんと走る。

 そんな中、サイガ-0はただひたすらに走っていた。時折聞こえる白頭巾出現の喧騒を無視して、ただひたすらに走る。

(追いかけても追いつけない……だったら、一か八でヤマを張ります!)

 これもまた確証ではなく確信によるものだが、サイガ-0はあの白頭巾がサンラクであると、そして同時に二日という短いスパンで次のエリアを目指すつもりなのだと確信している。それはクランからの指示だからではない、文字通りサンラクを最初から(・・・・)追っていたからこその推測。
 そして、サイガ-0はあの風に舞う花びらよりも掴み所のないサンラクと相対するには、追うだけでは駄目だということも理解した。

(サードレマから次のエリアへの道は三つ、あの人はどれを選ぶのでしょう?)

 などと考えるだけ時間のロス。であるならば三分の一の可能性を信じて、ランダムに選んだ場所で待ち構える(・・・・・)


 それを選んだことに理由はない、強いていうのならば自分がかつて通った道だから。

「…………」

「……何故バレたし」

 サードレマ北西門、千紫万紅の樹海窟へと続く門の前で仁王立ちしていたサイガ-0の前に果たして彼は現れた。
 この世界の設定上、確として存在する神に感謝を捧げながら、サイガ-0は動く。








「……何故バレたし」

 俺は今、かつてないほどの驚愕と動揺の渦中にいた。確かに撹乱から直前でのルート切り返しは完璧に成功した。
 身体を覆う白頭巾から覗く初期装備足がパルクールまがいの動きで街中を疾走する、という陽動の末にあえて装備を元に戻して千紫万紅の樹海窟へ続く門へと隠密行動で飛び込む。
 自画自賛気味だが完璧な流れだった。ユニーク秘匿をすっぱ抜かれた時のような油断もなく、完全にこの街を、プレイヤーを出し抜いたと確信していた。

 ならば何故そこにいる(・・・・・)? どこで俺の狙いを読み取った?
 ただ一つ分かるのは、ただの脳筋廃人だと思っていた全身鎧(サイガ-0)はその実、俺を完全に上回る……ペンシルゴンのような俯瞰的視点の策略家ではない、戦闘職としての極めて高い洞察力を以って俺の狙いを完璧に読み切った端倪すべからざるプレイヤーだという事だ。

(マズいヤバいよろしくない! どうする!?)

 タイマンで抜けるような性能してないだろアレ、多分マジョリティハウンドとか一撃で全て消し飛ばすタイプのインフレの気配を感じる。
 ただでさえ踏み台にした過去があるわけで、初手謝罪コマンド……いや、その場合許す代わりにユニーク開示を求められかねない、いやしかし……

「サ、サンラクサン!ど、どど、どうするんですわ!?」

「どうするってお前……この陽動作戦も二度は使えん、ならここで抜くしかないだろう……!」

 下手なアイテムや魔法に頼った方法では対処される可能性が高い。対人におけるセオリー(カッツォ式)は選択肢を飽和させるか、絞るかであると言う。
 大量の可能性で身動きを取れなくさせるか、選択を強制させて行動を縛るか……結局のところ縛ってサンドバッグにするんかい、とプロゲーマー(モドルカッツォ)にそれを実践されてボコられながら思ったものだが、今まさにそれをすべき俺がサイガ-0によって択を制限されている……強い。レベルとしてではなく、ゲーマーとしてサイガ-0は俺を上回っている。

 奴が俺に与える択は三つ。即ち降参、逃亡、抹殺……いや、PKではなさそうだし自発的にキルはしないか? であるならばユニークを開示するか、サードレマへ戻るか……

「っ!」

 鎧騎士の手が動く。
 おんぶのような状態で俺の首にしがみつくエムルの毛が逆立つのが感触として分かる。どう出てくるサイガ-0、俺の動揺を見越した上で確実に先手を取るとはやはり相当のプレイヤーだ。

 武器は出さない、警戒と敵意はそのまま向こうの大義名分になりかねないからだ。そして恐らく何らかの操作をしているのだろうサイガ-0の手の動きが止まる。いや、アレは中断ではなく完遂による停止……






『サイガ-0さんからフレンド申請が来ました。
「フレンドからよろしくおながいしもうす」』


……誤字ってる。
【悲報】ヒロインちゃんラスボス扱い
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ