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シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜 作者:硬梨菜

此岸より愛を込めて花束を

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効率の先鋭に汝、如何なるを捧ぐ

シャングリラ・フロンティア。
去年の春に発売され、確か今年の初めに最も多くの人が同時にプレイしたゲームとして某世界記録に認定された程の、フェアクソの同じカテゴリでありながら対極に位置するゲームだ。

 プレイヤー達は元々は宇宙を旅する移民船団がなんだかんだあって新人類を残して滅亡して数千年後……という文明レベルが中世並みながらSF要素を無理なく持ち込めるファンタジーな世界観で自由に生きていく事ができる。
評価もアンチが逆にいい所を必死に探すレベルのフェアクソと違い、僅かなアンチが数十倍のファンに押し流されるレベルの高評価だ。

「なんかパッケージをクソゲーと同じ列に並べる事が失礼に思えてきたな。」

 レジェンドオブレジェンドたるフェアクソを筆頭に、FPS視点で360度から無限リスポーンで敵が襲いかかってくる鬼畜クソゲー「コスモ・バスター」
ゲーム時間でおよそ一週間に一度巨大生物が台風が如く甚大な被害を撒き散らす中でのんびり牧場経営しろと宣うダイハードシミュクソゲー「スリリング・ファーム」
ガチで入院沙汰が起きた事で今ではプレミアで取引される無人島サバイバル(ピストルだけで巨大生物を狩るものとする)クソゲー「サバイバル・ガンマン」
あらゆるアイテムのドロップ率が頭おかしいレベルで低いために協力ゲーにも関わらずプレイヤー間の略奪がアポカリプスレベルな世紀末クソゲー「ユナイト・ラウンズ」
まだまだあるぞクソゲーの数々………おっといけない。
大掃除の時に漫画を読み込んでしまうが如くクソゲーに心を囚われかける所だった。
シャンフロのパッケージはクソゲーゾーンとは別の場所に置き、ヘッドギアを装着してベッドに横たわる。

「さて……始めるか。」

トイレは小も大も済ませた上で水分と栄養補給を済ませる事。
ガチでやる必要がない場合はベッドに横たわってプレイする事。
起きてすぐ水分補給できるようにペットボトル飲料水は近くに置いておく事。

VRゲーマー基本三箇条を確認した俺は、何年振りか分からないほど久々にクソゲー以外のゲームを始めるのだった。










「へぇ……凄いな身長や性別まで変えられるのか。」

 この手のMMORPGではお約束と言っていいキャラメイクで、俺はメイキングの自由度に舌を巻く。
人種、体格、アクセサリー、角!?……成る程、これだけの自由度なら余程の偶然でない限り見た目が完全に被る事は稀だろう。

「さてどんな見た目にするかな……」

俺はゲームのキャラはリアルの姿とは異なる姿にする派だ。
ゲームのプレイを動画配信する者や、見た目に自信がある者は自分の姿をゲームに反映させるようだが俺としてはゲームとリアルは別の存在であるべきだと思っている。

「ん?あぁこれキャラメイク飛ばして先にジョブとか決められる系か。」

どうやらこのゲーム、出身と職業でステータスの成長に補正が入るようだ。
ジョブや出身ありきのキャラメイクもあるわけだし、先にそちらから決める事にする。

「うわっ……スクロールで五秒かかるってどんだけ職業あるんだ……」

というかこれ騎士(◯◯使い)で一つ一つ独立しているのか、面倒な事を……全員木の棒装備でゲームを始めてから武器を選ばせれば良いものを、こういう細かすぎるこだわりが神ゲーたる所以なのかもしれないな。
となれば……そうだな、DPSや覚えられるスキルから傭兵(二刀流使い)にしよう。

「出身は……ふむ。」

裕福な家の生まれ、平凡な生まれ、親無し子、忌み子………どれもこれも上昇補正と下降補正がセットになっている感じか……お。

「彷徨う者……これいいな。」

防御は上がりづらいが幸運は補正が入る出身か。
確かこのゲーム、クリティカルやドロップ運は幸運で変わるらしいから割と重要なパラメータだろう。
まぁこれさえあれば絶対!ってレベルではないだろうが、幸運が高くて困る事はないだろう。
というわけでジョブと出身で大凡のイメージが出来たのでそれに基づいたキャラメイクを行う……行ったのだが。

「これは………」

完成したのは、半裸に鳥の覆面を被った……奇しくもフェアクソをクリアした時とほぼ同じ姿をした長身痩躯の男キャラ、控えめに言って変質者であった。

 いや、言い訳をさせて欲しい。誰に向けてかと言われると困るが。このゲーム、色々調べてみたがどうやら初期装備をキャラメイクの段階で売る事が可能らしい。傭兵は初期装備として傭兵装備とやらを装備しているのだが、これが売ると結構な値段なのだ。具体的には初期の所持金が通常の三倍になる程だ。
この手のゲームは金が割とバカにならない。フルダイブタイプである以上、クエストを受けるにしても自分が飛んだり跳ねたりするわけで、一つのクエストに対する労力は中々にハードだ。
元々手数と機動力で戦うスタイルが主だった俺としては防具よりも武器を鍛えていきたい、それ故の防具売却である……のだが、流石にフェアクソと違いログインしている人数の多いシャンフロで素顔を晒しての半裸プレイは中々に辛い……ので、キャラメイクで選べる「凝視の鳥面」なるやけに目力の強い鳥を模った覆面を装着する事にしたのだ。

「これは………いや、システムとして可能な以上他にもやってるやつはいる……筈!!」

 葛藤をまだ見ぬガチ勢へのあやふやな信頼で叱咤し、キャラメイクの最後、プレイヤーネームの設定に移行する。
とはいえ、ここは特に迷う事はない。
俺はどんなゲームでも名前は統一する、故にこれまで数々のクソゲーを制覇した名をこの変態……否、彷徨える傭兵に与える。

「サンラク、と……」

(サン)」務 「(ラク)」郎、とまぁ安直ではあるがプレイヤーネームなどこんなものだ。

「さぁ、神ゲーの力を見せてもらおうじゃないか……!!」

最終決定、彷徨える傭兵(はんらのへんたい)が遂にシャングリラ・フロンティアの世界へと…………………!!
シャングリラ・フロンティアは一応海外からのアクセスも可能ですがラグとか様々な理由でガチのゲーマーには辛い環境のため、シャンフロ発売後から日本に移住する外国人が増えたり増えなかったり。
さらに言えばプレイヤーのほとんどが日本人な上に言語も日本語以外対応しているとは言い難いため、外国人ゲーマーが始めるには少し難易度の高いゲームだったりします。
つまりそれでもシャンフロをプレイしているということは相当のゲーマーということです。
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