突然の使者
超絶久しぶりなキャラたちの登場です!
――バァン!!
――ガキィィィン!!
突如、大きな音を立てて『朝議の間』の扉が開いた。と同時に鈍い金属音が響き、第一皇子が腕を抑えて蹲る。
――時の流れが正常に戻った世界で、自らの動きを封じていた腕の力が緩んだ隙を見逃さず、エクシーガは拘束を解いて立ち上がった。そのまま流れるように、扉の方を振り仰ぐ。
「お話中、誠に失礼。スタンザ帝国の重臣方がお集まりのお部屋は、こちらで相違ありませんか?」
開け放された扉の中央に立っていたのは、エルグランド王国の貴族礼装に身を包んだ、年若き男。緩く波打つ栗色の髪に翡翠の瞳をした、いかにも女好きしそうな容貌の、彼は。
「私は、エルグランド王国貴族、クレスター伯爵が長子、エドワード・クレスターと申します。――この度、スタンザ帝国の船が航行不能につき、我が国の国使が帰国困難状態と伺い、王命により迎えに参じました」
「なっ……」
妹と同じく完璧な発音のスタンザ語を操る男は、狼狽するスタンザ帝国の面々を意にも介さず、堂々と室内へ入ってくる。
そのまま歩を進め、彼はエクシーガの前で立ち止まると、それはそれはにこやかに微笑んだ。
「ご無沙汰致しております、殿下。――こうしてお話しするのは、初めてですね?」
「……そう、だな。エドワード・クレスター殿。語学の才は、妹君に負けず劣らずでいらっしゃる」
「いえいえ。私は妹ほど、異国語が得意ではありませんので……エルグランド王国では、殿下の御前へ出る機会もなく。これではいけないと猛勉強しまして、この度無事に、迎えの任を授かることが叶いました」
「ご謙遜を。発音も文法も、スタンザ人と遜色なく、話せておいでだ」
「他ならぬ殿下からお墨付きを頂けて、安堵致しました」
話しつつ、男――エドワードは、更に笑みを深くして。
「それで、妹は今、どこに? もう既に、定められた滞在期間をかなり過ぎておりますのでね。王国でも、『紅薔薇』を案じる声が日に日に高まっています。後の予定も詰まっていることですし、可及速やかに帰国の途へ就きたいのですが」
エクシーガへと問うている体で、ここに居る全員へ向けて、簡潔明瞭な〝要件〟を告げた。……おそらくは、スタンザ帝国の浅はかな目論見など、全て見通した上で。
――扉が開くと同時に何故か剣を取り落とし、腕を抱えて蹲っていた第一皇子が、エドワードの登場に危機感を覚えたらしく顔を歪めながらも立ち上がろうとする。周囲の支持者たちが慌てて手を貸し、彼を支えた。
「な……ぜ、」
「何か?」
「いったい、どうやって、ここまで」
「……質問の意味が、よく分かりませんね。どうやっても何も、普通に海を渡って参りましたよ。――エルグランド王国が威信をかけて造った、最新の高速船でね」
「な――!」
「航行速度を従来より半倍ほど上げることに成功しましてね。船体も強化されましたので、確かに海は荒れ気味のようでしたが、腕の良い水夫たちのお陰もあって転覆することもなく、こうしてスタンザの地を踏むことが叶ったわけです」
ごく当たり前の顔をして話すエドワードに度肝を抜かれたのは、有識者として呼ばれた学者たちだ。
「エ、エルグランドの船で、あの荒れた海を、スタンザの船より速く、渡ったと――?」
「それほど驚かれることでもないでしょう。貴国と同じく我が国も、民の暮らしをより豊かにするため、日々、技術進歩を続けているだけのこと。船が速く走れるようになれば、それだけ行き来の回数を増やし、より多くの積荷を運べるようになりますから、足の速い船を造ることは我が国の悲願でもありました」
「だ……だが! エルグランドが、造船に力を入れているなどという話、我々は知りません!」
「いえ。我が国は別に、造船に〝だけ〟力を入れているわけではありませんので。様々な分野で、民の暮らしをより良くするべく、優れた学者と技術者たちが協力して研究開発を行っております」
「な……んと」
「ですが、そのようなことを殊更に他所様へ向けて喧伝する理由も必要もない。――我が国と貴国との間にはっきりとした上下、従属関係などがあれば話は別なのでしょうが、あくまでも貴国とは対等なお付き合いを続けてまいりましたので」
穏やかに、謙虚な口調で話してはいるが、要点をざっくりとまとめれば「国の機密をいちいち他国へ漏らすわけないだろうが。宗主国気取りも大概にしろ」という釘刺しでしかない。……さすがはディアナの兄、言葉の切れ味がそっくりである。
――怒りに肩を震わせている第一皇子が、ようやく支えなしに立ち、エドワードを睨みつけながら口を開いた。
「仮に……船を港へ、つけることができたとしても。その後は、どうした」
「その後、と仰いますと?」
「皇都には、警備の兵が大勢いる。皇宮殿の門にも、内にもだ! その守りを突破してここへ踏み込んだとなれば、それはエルグランドが仕掛けた戦に他ならぬ!!」
「我々はきちんと、外交儀礼に則り、訪問の旨を文書でお知らせしましたよ。緊急用の連絡経路を使いましたから、いくら我々の船足が速かったとはいえ、さすがにもう到着しているはずですが」
「な……っ」
「あり得ぬ! どれほど早くとも、我々がエルグランドへ送った書簡が届くのは昨日か今日のはずだ!」
立ち上がって叫ぶ老臣に、エドワードは涼しげな流し目を送って――。
「本国と、貴国へ参ったエルグランド国使団には、スタンザ帝国を介さぬ独自の連絡手段がございます。遡ること八日前、帰国が困難であるとの連絡を国使団より直接受け、我が国の国王陛下は私を迎え役としてスタンザ帝国へ派遣されると同時に、スタンザ帝国宛に緊急の書簡を送られました。遅くとも昨日のうちには、我々が皇宮殿へと参る旨はスタンザ帝国へ届いているはずです。――だからこそ、港から皇宮殿までの道が開かれ、宮殿内へも招き入れられ、ここまで迷わず足を運ぶことができたと、私は考えていたのですが」
「そんな、馬鹿な!」
「でたらめを――!!」
第一皇子の気持ちも、分からなくはない。八日前とは即ち、皇帝陛下が倒れた日。倒れ、ディアナによって救われ、救ったはずのディアナがそのまま皇宮殿の奥へと連れられ、実質的な軟禁状態へと陥った初日だ。主の状況から、エルグランド国使団の娘たちが〝帰国困難〟だと判断する要素は充分過ぎるくらいあるが、それを即座に本国へ伝えられるということは、エルグランド王国には遠く離れた距離をものともしない、人間の領域を超越した〝連絡手段〟があることになる。「でたらめ」だと言いたくなるのも仕方のないことかもしれないが……少なくとも、『伝説の聖女』を彷彿とさせる力を発揮したディアナの生まれ故郷である時点で、エルグランド王国が〝神秘の国〟であるという遠い昔の伝承は、あながち間違いではない。ならば他に、人の身では不可能な御技を操る存在がいても、おかしくはないだろう。
――エドワードの言葉を受け、「聖女を国へ帰すべきだ」と声を上げてくれた若い文官の一人が背後の部下に耳打ちして、外交部へと届いていた書簡類を『朝議の間』へと運ばせた。エルグランド王国からスタンザ帝国へ届いていた書はそれほど多くなく……すぐに、問題の文書が見つかる。
「……確かに、ここにはエルグランド本国より迎えを出す旨が、国家間の正式な外交伝達書として記載されております。受け取りの日付も一昨日ですので、クレスター殿のお言葉に偽りはないかと」
「そっ、そのような、ことが」
「担当の者は、誰だ!」
「……私の記憶が正しければ、エルグランド国使団が本国に助けを求められぬよう、全ての文書のやり取りを止めよと、大臣自らが命じていたはずだぞ」
部下に責任転嫁しようとした老臣の姿に、怒りよりも呆れが湧いてくる。あれほど自慢げに、エクシーガの目の前で浅はかな企みを堂々と述べていたのに、誤魔化し切れるとでも思っていたのか。あまりに愚かな姿に、心なしか目眩すら覚える。
そして……エクシーガが口にした〝助けを求める〟という誘い水に、これ幸いとエドワードの目が輝いた。
「ほほぅ。スタンザ帝国の皆様は、我が国より参った国使たちが本国に助けを求めねばならぬような無体を強いたわけですか? それは、さすがに聞き捨てなりませんね」
「お詫びのしようもない。愚かな一部の者が暴走した末のこと――ならば、まだ不始末のケリもつけられようが、ここに集まったおよそ八割が加担した企みなれば、とても〝一部〟とは言えぬであろうな」
「そのお言葉を聞く限り、エクシーガ殿下は残り二割の側にいらっしゃるようですが?」
「左様。しかし、皇族の一員として、国ぐるみの悪事の責任は負わねばならぬ。反対していたから私は無関係などと、厚顔無恥なことは申せぬよ」
「……少しお変わりになりましたね、殿下。ご立派なお言葉ですが、あまり気負いなさいませんよう。背負いすぎて潰れてしまっては、元も子もありませんよ」
一瞬、作り笑いではない、本当の微笑を浮かべ。
しかしそれは本当に一瞬で、次の瞬間にはまた、彼は内心を読めない笑みで、室内をぐるりと見回した。
「それで――八割の方々が賛成なさったという〝企み〟とは、具体的にどのようなものなのでしょう? 場合によっては国王陛下へご報告申し上げ、スタンザ帝国とのお付き合いを考え直さねばなりません」
「……っ」
主に財政を担当する部署の者たちが、一斉に顔色を悪くした。エルグランド王国との交易が始まってから、それによって得られる儲けは年々増え、今では国の財政において、決して失くせないものとまでなっている。エルグランド王国との関係が悪化し、交易の儲けがゼロとなれば、スタンザ帝国の経済は大打撃を受けるのだ。
本当にディアナを〝皇妃〟として奪えば、怒ったエルグランド王国との交流は一切途絶え、どのみち交易続行は不可能だったはずだが……『伝説の聖女』を得られるという大金星を前に、どうやらそこまで頭が回っていなかったらしい。指摘されて初めて気付いたと顔に書いてある財政担当の者たちを、エドワードは冷笑した。
「どうやら、ジューク陛下がお聞きになれば、決して許されぬ〝企み〟のようですね。ということは、ディアナ――我が国の側室筆頭絡みでしょうか?」
「然り。有り体に申し上げれば、ディアナ様を我が国の〝皇帝陛下〟の妻、皇妃としてお迎えしようというものです」
「それはそれは――」
〝企み〟の具体的な内容を聞いたエドワードの瞳が鋭く光り、浮かんでいる笑みは更に深く、重く、濃いものとなっていく。……これほど恐ろしく笑うくらいなら、いっそ普通に怒ってくれた方がまだ恐怖を感じずに済むと心底思う程度には、怖い。
「いやはや、今ほど異国語で会話するありがたみを感じたことはありませんよ。思ったまま、ありのままを言語表現するには、私はまだまだスタンザ語の修練が足りない。――反射的に罵倒して、両国の仲を拗れさせる事態を未然に防ぐことができたのは、偏に私のスタンザ語の拙さゆえです」
「いえ……とてもお上手だ。言い回しが実に、エルグランドらしい」
「お褒めの言葉、痛み入ります」
……一切褒めていない。どちらかといえば、「直接的に罵倒してほしい」という要望だ。「ただ今、最大級に怒っております」という宣言を、これほど遠回しに言語表現する技術と発想力も、それに受け答えできる口先技も、エクシーガは持っていない。
そして――エクシーガ以上に、エドワードの睨みを真正面から受けた〝八割〟側の者たちは、顔色を青く、白くさせて。
「い……いや、これは、その、」
「ちょっとした、意見の相違と申しますか」
「伝達の不具合なども、あったやもしれませぬ」
「――誤解! そう、誤解なのです、全て!」
モゴモゴと言い訳する者たちに、エドワードは――。
「そちら側の内部事情はどうでもよろしい。――我が妹にしてエルグランド王国側室筆頭、ディアナ・クレスターを、本人とエルグランド王国の了承を得ぬまま、スタンザ帝国の皇妃に据えようとしておられたことは、事実か、それとも偽りか?」
にっこり笑って言い訳を切り捨て、その次の瞬間には笑顔を消して真顔になり、簡潔明瞭に事実関係をずばりと問うた。
表情の落差に息を呑んだ老臣たちは、咄嗟には言葉を返せず狼狽する。
「そ、れは」
「お答え頂けぬのであれば、エクシーガ皇子殿下のお言葉を真と判ずる。もとより、スタンザ国使としてエルグランド王国へいらした殿下と我が国の間には一定の信頼関係があり、殿下がこのような重大な局面で偽りを仰る方でないことは、ジューク陛下を初めとするエルグランド上層部の皆々様なれば、重々ご存知のこと。加えて確たる否定も頂けない以上、エクシーガ殿下を疑う理由はない」
「いや、しかし」
「殿下のお言葉が事実か、否か。否定なさるのであれば、それなりの証を以て、答えられよ」
エドワードの淡々とした問いに、スタンザ側は徐々に追い詰められてゆく――。
「……まれ」
言葉を返せなくなったことに苛立ちを募らせたのか、不意に、第一皇子がゆらりと動き、エドワードの前へ進み出た。
「何か?」
「黙れ、と言ったのだ。エルグランドの、たかが一貴族家の若造が。身の程知らずに、偉大なる我が国に楯突くなど」
「私はただ、事の次第をお伺いしただけですが」
「それが身の程知らずだと言っておる! スタンザ皇妃となるは女にとって最高の栄誉ぞ! エルグランドなどという野蛮で未開な国に生まれては、到底望めぬ至上の幸運を喜び、ありがたがって拝命するのが当然というもの!」
「なるほど。――つまり、ディアナをスタンザ皇妃とするべく動かれていたことを、お認めになるわけですね?」
「そうだ。我は、我の妻という素晴らしき栄誉を、貴様の妹へ与えてやろうとしているのだ。エルグランド人として、跪いて感謝するが良い」
踏ん反り返って開き直った第一皇子の言い分を聞き終えたエドワードは、しばらく彼を見つめてから……。
《……なんつーか、どこの国にもこういう馬鹿はいるけど、それが国の頂点だと、腹立つというより周りが可哀想になってくるな》
額を手で抑えて項垂れ、深々とため息をついた。
思わずといった風情で発されたエルグランド語はかなり砕けており、これが本来の彼なのだろうと察する。
《……兄が申し訳ない。彼は何というか、女性は皆、金と権力のある強い男のモノになりたがると考えている節があるようで》
《まぁ、スタンザ的常識で考えれば、一様に間違いとも言えませんけどね。少なくとも、異国の側室筆頭を寝取ろうとしている側が開き直って言う台詞じゃねぇよというツッコミは、するだけ野暮ですか》
《野暮というより……まず寝取っている認識がないので、突っ込んだところで理解できないかと》
《……ますますスタンザの方々が気の毒になってきた。第一皇子が四十を越えてなお皇太子宣下をされていない理由については諸説ありましたが、本人を間近で見れば一瞬で分かりますね。皇帝陛下もお気の毒に》
幾重にも無礼な第一皇子を前に、まず真っ先にスタンザの人々を案じるエドワード。どこまでも良く似た兄妹だ。
そして――エルグランド語での会話についていけず、結果として完無視される形になった第一皇子が、この状況に気分を害さないわけもなく。
「お、のれ……! どこまでも、小癪な真似を……っ!!」
顔を真っ赤にしてぶるぶる震える彼は、しかしまだ剣を持てるほど腕が回復しているわけでもないようで(何があってそこまで腕にダメージを負ったのかは謎だが)、怒りに満ちた表情でぐるりと周囲を見回した。
「衛兵! 何をしている! この身の程知らずな侵略者どもを、即刻ひっ捕らえよ!!」
「は……? いえ、しかし、」
「此奴らは、無許可で皇宮殿の奥深くまで踏み入ったのだぞ! 捕らえるどころか、この場で切り捨てても良いくらいではないか!」
「いえ、第一皇子殿下――」
「そこの裏切り者の皇子もだ! お情けで皇族の末席を許してやっているに過ぎない賤しき身の上で、よりにもよってエルグランドなどと通ずるとは!」
「あの、殿下――」
「とっとと動け! 我の命が聞けぬのなら、貴様らも全員反逆者だ!!」
警備のために配置された皇宮殿の兵士たちは、ここまで言われてもなお困惑した様子で、互いに顔を見合わせている。
兵士たちが己の命に従わないとは思わなかった第一皇子は、顔をより赤くし、足を踏み鳴らした。
「誰も彼も、我を馬鹿にしおって! 我は次代の皇帝なるぞ! ――いずれ皇帝となる我の命に従わず、貴様らはいったい、誰の命に従っているつもりだ!!」
「――余の命である」
朗々と響く声に、瞬間、喧騒の全てが掻き消える。その場にいるスタンザ人全員が、己の耳を疑う表情で、声がした方を振り仰いだ。
――『朝議の間』の、最奥。皇帝陛下の御座所へと通じる分厚い幕が、ゆっくり、ゆっくりと開いて。
「エルグランド王国の使者殿が参られた際は、その歩みを妨げることなく、直ちに担当の大臣のもとまでお連れせよと、余が直々に命じた。衛兵たちは、余の命に従ったまでのこと」
杖をついてこそいたが、しっかりとした足運びで歩き。
堂々たる風格を、背筋の伸びたその全身に纏い。
明瞭な言葉で第一皇子の〝疑問〟に答える、その人は――。
「皇帝、陛下――!!」
誰かの声が、その場の金縛りを解く合図だった。全員が、一斉に跪く。
拝礼される中、危なげなく玉座近くまで進んだ皇帝陛下は、かつんと杖の音を鳴らして立ち止まった。
「皆の者、面を上げよ」
「はっ」
真っ先に顔を上げたのはやはり、長年仕えた重臣たちだ。歓喜に瞳を濡らし、彼らは口々に祝いを述べる。
「お帰りなさいませ、皇帝陛下」
「ご快癒、まことにおめでとう存じます」
「陛下のお戻りを、一日千秋の思いでお待ち申しておりました」
一方、目論見が外れたのは、第一皇子を擁していた壮年の臣たちだ。殊勝な様子で頭を下げ、「おめでとう存じます」と述べるも、その表情は苦々しい。神官たちもにこやかに回復の祝いを口にしてはいるものの、その内実がどうなのかは謎である。
主だった臣たちの祝いを聞き終えた皇帝陛下は、鷹揚に一つ、頷いて。
「ところで――余が病に伏している間に、皆で何を話しておった?」
無表情で、言葉少なに、ただ要点だけを問うた。
常とは違う皇帝の様子に、勘の良い者たちが様子を見るべく口を噤む中、あまり空気の読めない老臣が進み出た。
「はい、陛下。――畏れながら、陛下のご快癒を信じ、新たなる皇妃殿下の選定を行っておりました」
「皇妃とな? 余は常々、女は側室で充分、皇妃はもう要らぬと繰り返し伝えていたと思うが」
「ですが、陛下。陛下のお命を救われた方は、人ならざる奇跡の力を操る、伝説の聖女様にございます。神の使徒であらせられる聖女様が我が国へご降臨なされた以上、皇妃としてお迎えするは当然かと」
「……なるほど。そのための集まりであったか」
話を聞いた皇帝陛下は、ゆっくりと玉座に腰を降ろし――。
「――痴れ者どもが。老い先短き余に、これ以上の恥をかかせるつもりか」
一切語気を荒げることなく、低く轟く雷鳴の如き声で、深い怒りを響かせた。
思わぬ皇帝の怒りに、ディアナを皇妃へ迎えようと躍起になっていた者たちが、一瞬で石像と化す。
これまで見たことがない鋭く光る瞳で、皇帝陛下は『朝議の間』全体を見回した。
「命の恩人であらせられる姫君を厚遇し、十二分にお礼を申し上げ、その上で帝国へお留まり頂きたいと伏して願い出るならまだしも、余も、姫本人も預かり知らぬ場で、卑怯にも事を進めようとは。かような振る舞いは、スタンザ帝国の格を下げこそすれ、何一つ益はもたらさぬ」
「へ、陛下……」
「ましてや、〝降臨〟と申したか? ならば尚更に、まずは姫のお言葉を拝聴し、神の御心をお尋ねすべきであろう。肝心の姫を置き去りにしたまま、人の身勝手で神の御遣いの行く末を定めようなど、神をも畏れぬ傲岸不遜な所業である」
「し、しかし陛下!」
「加えて――ここまで恥知らずで愚かな真似をしておきながら、当然の権利として姫を迎えに参られたエルグランド王国の使者殿の御前で、詫びるどころか開き直りおって。他国に対し、過ちを過ちと認められず、詫びるべきところで頭を下げられぬ様が、結果としてスタンザ帝国を貶めておるのだ」
淡々と話す皇帝陛下に、これまで彼に擦り寄っていた老臣たちが最も驚愕している。……彼らほどではないが、エクシーガとて気持ちは同じだ。
この人は、誰だ。こんな〝皇帝陛下〟、エクシーガは知らない。
エクシーガが、皇宮殿の者たちが知っている皇帝陛下は。それほど頭は悪くないものの、政への興味はほとんどなく、女と戯れることが唯一の趣味といっても良いような、毒にも薬にもならないお方だったはず。
それが、こんな――!
「他国のことを考え、思い遣る余裕もなく、ひたすら自国の都合だけを押し付け、相手に従属を強いる――スタンザ帝国を、そのような器の小さき国であると周辺国へ思わせたいのか。譲ってばかりでは侮られようが、かといって押してばかりでも外交は成り立たぬ。当然、他国の準王族、側室筆頭の地位にあるお方を、一言の断りもないまま我が国の皇妃へ迎えようなどという策が、外交における愚の骨頂であることは言うまでもない」
これほど明朗に政について述べ、臣たちの悪手を諌め、スタンザ帝国の守護者として振る舞うとは。
こんな皇帝陛下――父を、エクシーガは知らない。
「……し、しかしながら、陛下」
静かに、静かに怒りを滾らせている皇帝陛下へ、命知らずにも声を上げた者がいた。……どうやら〝空気を読む〟能力も欠如しているらしい、第一皇子だ。
じろりと、鋭い眼光が第一皇子を貫く。
「どうした、皇子」
「は……! 姫、が。エルグランドの姫が、スタンザ皇妃となることを望むのであれば、決して失策ではございませんでしょう。神の御心にかなう、ことにもなる」
「ほぉ。そなたは、姫のお心を直に伺ったのだな?」
「そうでは、ありませんが。スタンザ皇妃となることを拒絶する者など、いるはずがない!」
「……それは、ご本人にお尋ねせねば、分からぬこと」
皇帝陛下はそれ以上第一皇子の反論を許さず、背後の侍従に耳打ちした。皇帝の言葉を受けた侍従はそのまま静かに後ろへ下がり、紐を引いて幕を開ける。
そこに、いたのは。
《紅薔薇様――》
皇帝陛下が姿を見せた際は微動だにしなかったエルグランド王国の使者たちが、エドワードを含め、一斉に膝をついた。――エルグランド騎士の、王族に対する最敬礼だ。
――侍女を伴い、幕の裏から現れたディアナは、一糸乱れぬ礼を執った自国の騎士たちのもとへ、滑るように歩き出す。ただ歩いているだけでどこか神秘的な気配を纏っている彼女に、気づけばスタンザの者たちは、自然と道を開けていた。
一直線に騎士たちの前まで進んだディアナは、美しい所作で足を止めて。
《わたくしに、礼は必要ありません。どうぞ、お直りくださいませ》
《はっ》
《此度は、遥々のお迎え、誠にありがとうございます》
《勿体ないお言葉に存じます。――ディアナ、怪我は? どこか具合が悪いところはないか?》
《はい、お兄様。どこも怪我はしておりませんし、病も得ておりません。わたくしも、皆も、健康そのものです》
《それは良かった。国王陛下もご安心なさることでしょう》
言葉遣いこそやや砕けているものの、ディアナとエドワードの距離感は兄妹というより準王族と仕える騎士のそれに近い。敢えてエルグランド語で話しているのも、ディアナが本来〝何者〟であるか、スタンザの者たちに知らしめる意味合いが強いと思われる。
兄妹の会話が一段落したところで、玉座の皇帝陛下が「――姫よ、」とディアナへ呼びかけた。
「はい、皇帝陛下」
「姫。この度は、余の病を祓ってくださったこと、深く礼を申し上げる。――その上で、お尋ねしたい。大まかな話の概要は、幕裏で聞いていらしたと思うが」
「……はい」
「姫は今後、どこで、どのように生きていかれたい? スタンザ皇妃となることを望まれるか?」
単刀直入な質問に、ディアナは軽く苦笑う。
「スタンザ皇妃など……わたくしのような取るに足りない女には、過分な座にございます」
「ほぅ?」
「そっ、その過分な座を与えてやろうというのだ! 身に余る誉として、ありがたく受けるが良い!」
位置的にディアナのすぐ近くにいた第一皇子が、足音高くディアナに迫る。跪いていたエドワードが動く前に、蒼い瞳が怒りに満ちて、第一皇子を刺した。
「過分な座ゆえ、必要ございません。――わたくしには、エルグランド王国国王、ジューク陛下の側室筆頭『紅薔薇』として、果たすべき使命があるのです。スタンザ帝国へ参ったのも、その使命あればこそ。貴国の皇妃となるためではないのですから」
「な……っ、何が不満だ! エルグランド王は、我よりも良い男だと申すか!!」
「……そうですね。人としても男性としても、殿下よりジューク陛下の方が〝格上〟でいらっしゃることは確かでしょう。ジューク陛下は、己の過去全て、良きことも悪きことも真正面から向き合い、今のご自身に取り入れて、未来への糧となさるだけの〝強さ〟をお持ちのお方です」
「そんなことが、強さになるか! 男の強さは、剣だ! 武力だ! ――強い男に抱かれ、強い子を産み落とすことこそ、女の幸福であろう!!」
喚きに近い第一皇子の言葉に、ディアナは。
「殿下の周囲においでの女性は、強い方のお子を産むことで幸福を得られるのかもしれませんが……残念ながら、わたくしはエルグランド王国貴族の中でも、更に異端な女でして。――心から愛するお方との子しか、欲しくないのです」
「な、に?」
「愛する殿方との間に子を授かることができれば、それは確かに、一つの幸福ではありましょう。……ですが、それはあなたではない。わたくしが願う相手は、ただ一人と定まっておりますゆえ」
「そ、れは」
「あなたでは……決して、わたくしを幸福にはできない。――スタンザ皇妃の地位はわたくしにとって、故郷と未来への希望、幸福への導を奪うものでしかありません」
微笑みすら浮かべ、堂々と、嘘は一つもつかずに『紅薔薇』としてスタンザ皇妃の座を拒絶してみせた。
(大事な部分をぼかしているだけで、嘘は一つもついていないところが、見事だ)
嘘も方便とは言うが、政における嘘は、バレた瞬間に己の首を締める凶器へ変貌しかねない。その事態を避けるためにも、できるなら大事な場面で嘘をつかないに越したことはないわけで……エルグランド陣は、宰相を筆頭にその言葉運びが実に巧みだ。彼らの内実を知った後だと尚更に、極力嘘はつかずに真実を覆い隠す言い回しをしていると分かる。
――遠回しにではなくはっきりと、直接的に拒絶された第一皇子は顔色を青くし、反対に皇帝陛下は低く笑った。
「……姫はまこと、はっきりとお言葉を述べられる。姫のお望みはスタンザにはないこと、よく分かった」
「陛下の寛大なお心に、深く感謝申し上げます。――こうして兄も迎えに来てくれたことですし、わたくしとしましては、速やかにお暇したく思うのですが」
「無論、姫の御意志が第一である。――皆、異存はなかろうな」
皇帝陛下の睨みに臣たちが俯く中、立ち上がったのは。
「……陛下は何も、お分かりでない。『伝説の聖女』を得ることが、スタンザ帝国にとって、どれほど深い意味を持つことなのか。――聖女様を喪うことが、帝国の未来をどれほど深く絶望させるのか!!」
これまで、腹の内を笑顔で覆い隠し、ひたすらに『聖女』をスタンザ帝国へと留めるべく動いていた神官が――エドワードたちエルグランド勢に乗り込まれたときから不気味に押し黙っていた男が、余裕をかなぐり捨てて叫んだ。
「聖女様は、是が非でもスタンザ帝国にお留まり頂かねばならぬ! ――我が国に骨を埋める……それこそが、あなたに課せられた真の運命なのだ!!」
「……仮に。仮に、それがわたくしの〝運命〟なのだとしても、同じことです。――人は決して、運命の奴隷ではない。世界が己に何を課そうとも、大切なのはいつだって、自分が何をしたいか、何を果たしたいかではありませんか?」
ディアナの言葉に、神官の目が丸くなる。立ち上がったエドワードが、少し驚いた表情で――それ以上に嬉しそうに、笑った。
《ディアナ、お前》
《……たくさんご心配をお掛けして、本当にごめんなさい。でも、お兄様。――私はもう、大丈夫》
《あぁ。そう、らしいな》
《ずっと、黙って見守ってくれて、ありがとう。……私を〝私〟のまま、愛してくれてありがとう》
《……その礼は、俺よりも、父上と母上に申し上げろ。お二人がどれほどの苦しみの中、〝お前〟を守るべく腐心されていたことか。父上と母上の愛情無くして、今の〝お前〟はないぞ》
《はい。肝に銘じます》
兄妹の会話に、ようやくエクシーガは気付く。彼女が――〝ディアナ〟が、どれほど愛されて育った娘かということに。
彼女を育てた両親ならば、周囲の大人ならば、彼女の非凡な才能に早い段階から気がついていたことだろう。その気になれば、娘の才を利用するため育てることもできたはず。もしもクレスター伯爵がスタンザ帝国の『伝説の聖女』の逸話を知っていれば、それこそ娘を外交の駒として、『聖女』として育てる選択肢だってあった。
(だが……彼女の両親は、クレスター伯爵夫妻は、その道を選ばなかった。あくまでも娘を一人の人間として、〝ディアナ〟として育てることを、選んだ)
そこには、大人の醜い打算など一つもない。ただ純粋に娘の幸福を願う、深い愛情だけが満ちている。
これほどまでに愛されて、まっすぐに育った娘だからこそ。ディアナはいつだって、〝世界〟を疑わずにいられる。疑わずに慈しんで、守ることを躊躇わず、……どれほど厳しい現実に直面しても、凛と顔を上げて立つことができるのだろう。
ディアナの態度に、そしてエドワードとの間にある強い絆に、どう言葉を尽くしても彼女を引き止めることは無理だと分かったのだろう。ぶるぶると震えた神官が、瞬間、がくりと脱力した。
脱力、して。
「……致し方、ありませぬ。あなたの御意志で、お留まり頂けないのであれば」
流れるような動きで、白のローブの下から、何やら文字らしきものが描かれた紙を取り出す。
――それが〝何〟なのか、真っ先に気付いたのは、皇帝とバルルーン翁だった。
「――止せ、ハーム神官!!」
「姫!!」
「……力づくでも、お引き留めする!!!!」
三人の声が重なった瞬間、紙から黒い煙のようなものが飛び出し、一直線にディアナへと向かう。誰もが唖然となる中、勝ち誇った神官の哄笑が響いた。
「ハハハハハハ!! この地から離れられぬ呪を受けるが良い!!」
黒き煙は、まるで光の如き速さで、ディアナの心の臓へと届く――!!
ぱぁん!!
「な、に?」
煙が、ディアナに触れた瞬間。軽い破裂音とともに、神官の手の中にあった紙が千々に破れて塵と化した。同時に、伸びていた黒い煙も幻のように消え失せる。
スタンザ勢が――皇帝すらも驚愕で動けない中、平然としているのはエルグランド勢だ。
ディアナがそっと、ドレスの腰回りを押さえた。
《今、の……》
《妥当な線で、スタンザから離れると発動する死の呪いってところじゃないか? そんなの立派な〝危害〟だからな、アイツの霊力が破らんわけがない》
《そっか。……本当なら、出番がないのが一番良かったんだろうけど》
《と言いつつ、肌身離さず持ってたんだな? その〝お守り〟》
《お守りだから、というより……》
そこで口籠もり、僅かに頬を赤く染めたディアナを見て、エドワードがとてつもなく苦い顔になった。
《オイ、ちょっと待て。お前たち、保護者がいないのを良いことに異国で何してた?》
《何、それ。まるで、親の目を盗んで悪さしてるみたいな言い方じゃない?》
《似たようなもんだろうが。誤魔化そうとしても無駄だぞ、何してたんだ?》
《別に、お兄様に叱られるようなことはしてない!》
《なら答えられるだろ!》
《……二人とも。状況考えて喧嘩してくれる? それ、今やることじゃないよね?》
エドワードの背後にいた小柄な騎士(今の今まで気配を消していたため目立たなかったが、どうやら女性だ)が、呆れ顔で仲裁する。言葉の雰囲気から察するに、どうやらクレスター兄妹とは親しい間柄らしい。
そして、空気を読まない兄妹喧嘩は、結果として固まっていたスタンザ側の思考活動を再開させたらしい。皇帝陛下が、杖を鳴らして立ち上がる。
「――衛兵。何をしておる。神官どもの身柄を、拘束せよ」
「ぁ……、はっ、はい! 直ちに!!」
神官たちの近くにいた衛兵たちが、皇帝陛下の命によって我に返り、慌てて動き出した。剣を鳴らして駆け寄り、神殿から参加した者たちを取り押さえる。
渾身の一撃を破られたハーム神官は、捕らえられてなお現実が信じられないようで、虚ろな目をディアナへと向けていた。
「ばか、な……あれが、あの呪が破られるなど……」
「えぇい、さっさと立て!」
「あれが破られるなど、あり得ぬ。あれを破れる者がいるとしたら……それはもはや、人ではない……!!」
ハーム神官の喚きに、ディアナはぴたりと動きを止め、くるりと振り返った。
「――〝人〟ですよ」
穏やかかつ、静かに。
けれど、確かな強さで。
ディアナは、ハーム神官を射抜く。
「仮に人でなかったとしても、何の問題もありませんが。……受け入れ難い現実でしょうけれど、あなたの呪術を破った方は、紛れもない〝人〟です」
「な……!」
「たとえ、人の身には過ぎたる力を有していようとも。人の子として生まれ、人の手で慈しまれて育ち、――人を愛することを確かに識っている存在は、〝人〟以外の何者でもありません。人を〝人〟たらしめるものは、有する力ではなく、いつだって内にある魂なのですから」
言葉を紡ぐディアナに、迷いはなく。蒼海の瞳は、どこまでも広く、澄み渡り。
深い、深い愛情の光が、見るもの全てを魅了するほどの眩さで、煌めいていた。
その輝きに、気圧されて。ついに、ハーム神官ががくりと膝を折った。そのまま引きずられ、彼は他の神官たちとともに『朝議の間』から出ていく。
――眉一つ動かさずに神官たちを見送った皇帝陛下が、そのままぐるりと室内を見回した。
「……審議は済んだのではないか? 余は皇妃を求めず、ディアナ姫も皇妃の座は求めておらぬ。この状況で、これ以上、何を話すことがある?」
それは、遠回しながら明瞭な、『出て行け』という命令だ。
石と化していた、ディアナを皇妃とするべく動いていた八割の者たちが、皇帝陛下の言葉で青ざめ、型通りの挨拶もそこそこに次々と、『朝議の間』から逃げ出していく。往生際悪く皇帝に意見しようとした第一皇子もまた、取り巻きたちに抑えられ、やや強引に連れ出されていった。
最後に――エクシーガと同じく、ディアナを皇妃とすることに反対していた者たちが立ち上がる。
「皇帝陛下のお戻りを、心よりお祝い申し上げます」
「また、英明なご判断に、深く感謝致します」
「……うむ」
礼を受けた皇帝陛下は、僅かに唇を綻ばせて。
「そなたらの勇気、場に流されず正しいと思うことを貫く信念、しかと見た。――この先、スタンザ帝国は大きな歴史の転換を迎えることとなろう。どうか、そなたらの勇気と信念で、大きな難局に挑むであろう者を、末永く支えてやって欲しい」
「陛下――」
「勿体ない、お言葉にございます……!」
「我ら一同、真にスタンザ帝国を思うお方に身命を賭して尽くしますことに、異存ありませぬ」
……エクシーガが頼りにした者たちだけでなく、これまで互いに知らなかった者たちまでも、国を思う心が一つにする。それは、これまで知らなかった世界だ。
(この国は、きっと。まだ、終わらない。――生まれ変わることが、できる)
国を真摯に思い、立ち向かおうとする者がいる限り。……諦めない限り、道はきっと続いていく。
皇帝陛下と……エクシーガに、礼を執り。残っていた者たちもまた、『朝議の間』を後にした。
広い広い、部屋の中。
残ったのは、皇帝陛下と、エクシーガ。
ブラッドと、バルルーン翁。
そして……エルグランド王国の人々だ。
皇帝陛下の合図で衛兵が下がり、侍従たちも幕の後ろへと姿を消した。
しん――と、静寂が空間を支配して、しばらく。
《……ったく、ギリギリにも程があるぞ。船が間に合ったから良いようなものの、こんな綱渡り二度とごめんだからな》
脱力したエドワードの言葉で、一気に場の空気が緩むのであった。
確認してみたところ、今年の3月以来の登場だったエドワードさんでした! まさかそんなに経ってるとは……それもこれも、スタンザ編が無駄に長くなったのがいけない(いつもの)。
エドワードさんだったり、アラセブのおじいさま大活躍だったりと、全体的に私の趣味が溢れた回となりました。
次回、久々のディアナ視点で、諸々種明かしです。




