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へんな子たち  作者: 楠羽毛
人形の糸
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人形の糸(2月21日 岡野 ひなた) ④

 左側の手首が、ぐい、と強く引かれた。


「ちょっと!」

 かん高い声。ひどく焦ったような。

 いつのまにか、すぐそばにまいがいた。きつい目をして、こちらをにらみつけている。


 ──わぁっ!


 と、大きな声をあげて、まいは、ひなたの腕をおもいきり引っ張った。奥歯を噛み締めて男をにらみつけながら、走る。

 男は、追いかけてくるでもなく、ただ、街灯の下に、ぼうっと立っている。

 3分ほど走って、……ようやく、人どおりの多い国道に出た。まいは、信号柱に手をかけて、懸命に息を整える。心臓が割れそうだ。

 まいは、ひなたの顔をみる。きょとんとして真顔でいる。あれだけ走ったのに。人形みたいに白い顔で、汗ひとつかかずに。

「あんた、……ばかじゃないの?」

 おもわず、吐き捨てるようにそう言っても、

「そうね、」

 ひなたは、しずかにそういって、にっこりと笑っただけだった。



 白い糸が。

 かたかたかたん、と音をたてて、ふるえていた。

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