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へんな子たち  作者: 楠羽毛
人形の糸
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人形の糸(2月21日 岡野 ひなた) ③

 すっかり日が暮れて──、

 珍しく、ひとりで帰る。闇のなか、街灯のかげが、ぽつんぽつんと、さみしげに伸びている。大通りから2回曲がると、車はほとんど入ってこない。古い舗装の、人通りのない脇道。

 ぼうっと、なにを考えるでもなく。

 街灯のしたに、誰かが立っていた。ちらりと視界にいれて、通りすぎる。……やっぱり、関節がおかしい。膝も、肘も、指の曲がるところも。

「こんにちは、」

 だしぬけに、声。

 ふりむくと、さっき通りすぎたところにいた男が、……すぐそばに、立っていた。ひなたの父と同じくらい、いや、それよりは少し若いかもしれない。灰色の、ひどくよれたジャンパーに、白いズボン。どちらも、薄汚れている。

「はい、」

 ひなたはすぐに足をとめて、耳をかたむけた。

「あの、……ちょっと、お話を」

 がらがらした、高い声で。かすかに指をふるわせながら。

「なんですか?」

 ひなたは、へいぜんと聞き返した。

「お話を、させてください。……あの、」

 気がつくと、男の手がひなたの右手首をつかんでいた。ぐい、と力がこもる。ひなたはすっと手首から力をぬいて、

「はい、……」

 と、相槌をうつ。

 男の唇が、ひなたの耳にぐいと近づいて、口臭が鼻に、──


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