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霊感少女(1月24日 加藤 心美) ③
舞の右肩に、べっとりと、赤黒い血のあとがついていた。
にじんで、……形はよくわからないが、手形のようでもある。
たぶん、小さな、子供の。
舞は、がたがたと震えて、机に手をついた。
右肩の血は、ずるりと、広がっている。
手が、……動いた、ようだ。出血したまま。
「マイちゃん、」
かすかな声で、だれかがつぶやく。
がしゃん。
心美の机のうえにあった筆箱が、おちた。
同時に、べたりと濃い血のあとが、筆箱のあった場所につく。
舞の肩の手形と、同じような形にみえた。
肩の手形は、少しずつ、広がるように動いて。
……ぎゅっ、と、締め付ける。
しぼりだすような、痛烈な悲鳴が、また、舞の喉から漏れだしてきた。
続いて、べちゃり、と湿った音。
舞の背中ぜんぶに、血のあとが広がる。
濡れた布かなにかを、べったりと押し付けられたように。
いや、
おぶさっているのだ。見えない、何かが。
「……お兄さん、」
かすれた声で、心美がつぶやく。
舞は、おしつぶされそうになりながら、ちいさな声で、
うそ、とつぶやいた。




