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高性能メイドは、やれば出来る子です!  作者: ラズベリーパイ@天安門事件
第一章 メイドになった私が御主人様と普通に恋に落ちるお話(嘘)

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情報が欲しい

 やってきたシリルに私は(さらわれて連れてこられた)部屋の窓から手を振った。


「あ、シリル様こちらです」

「フルール、大丈夫だった?」


 焦った様に走ってくるシリルを見ながら心配をかけたなと私は思う。

 そもそも私がここに来た目的すらまだ果たされていないこの状況でシリルに会ってしまったのは少し残念だった。

そこでようやく私の目の前までやってきたシリルが、窓から中を覗いて……何やら一人で納得してしまった。現在、カタリーナがあのアルベルクという男を椅子に縛り付けて、道徳教育をしているのだった。と、


「貴方、本当に駄目な男なのね」

「駄目駄目言うな! ひいっ」


 そこでカタリーナがそんな言い返すアルベルクの顎を掴んでくいっと持ち上げて、


「そんな駄目な所もまた堪らないわ。あまりにも駄目駄目過ぎてぞくぞくしてくるの」

「へ、変態が」

「あら、私にそんな事を言っていいのかしら。そもそもこれから長い付き合いになるのにね」

「……な、何でお前とそんな長い付き合いに?」

「私が貴方を好きで貴方を恋人にすると決めたからよ?」

「い、いや……ひいぃ」


 そこでカタリーナが何かをささやいた。

 途端に体を震わせて恋人になるとアルベルクが頷いている。

カタリーナは私が思っているよりも怖い子なのかなと思っていると私の手をシリルが握る。


「僕、本当に心配したんだ。フルールがさらわれたって聞いて」

「……心配をかけてごめんなさい」


 心配してもらえるのは嬉しい、いいご主人様だなと思っているとそこでシリルが真剣な表情で私に、


「これも機会だからはっきり言っておきたいと思う。僕は、フルールが好きだ」

「ありがとうございます」

「そうじゃ無くて僕は……恋愛感情でフルール、君が僕は好きなんだ」

「……え?」


 寝耳に水の出来事に、私は凍りついたのだった。








 シリルに告白されて、数日。

 私は、その告白について真剣に考えて、あのシリル様は何か悪い物を食べてしまったのだと結論付けた。


「……一般人の、カタリーナ様ほど美人じゃない私を好きと言いだすのは絶対におかしい。何かの気の迷いね」


 好意は嬉しいが、あの美しい面々、それこそこの前の性格の残念なアルベルクも含めて個性的な美少年美少女がそろっているのである。

 その中で何故たまたま出会って一週間ちょっとの私に好きだと言いだすのか。

 やはり恋愛はお互いが一緒にいるうちに段々好きになる物では無いのだろうか。


 料理は手軽にできて美味しい物の方が良いと思うが、恋愛は別である。

 確かに、今までも気に入っている、信頼しているという意味で好きだとシリルには言われてきた。それは私も嬉しかった。

 そして最近は女装を止めて、普通の貴族らしい上等な布で作られた服を着ている。


 今日は濃い青色の別とに白いシャツ、ネクタイ。

 ズボンはベストと同じ色で、カフスボタンやネクタイピンはどれがいいだろうと私に聞いてきたので、そういえば今日は月のない夜だったなと思いだしたのでお月様と星のモチーフのものがいいのではと答えた。


 はっきり言ってそんな小さな飾りよりも本体の方であるシリル様が、眩しいくらいの美形なのでどれでもいいんじゃないかと思ったのは秘密だ。

 さて、そういった微妙に薄情な私だったが、どうも男性らしい姿をしていると引いてしまう。

 異性として意識してしまうのかもしれない。


 特にこの前、気の迷いとしか思えない告白をされてから妙に意識してしまう。 やはり一番初めに出会った時のシリル様の姿が美しい少女の姿だったので、その印象が強いからか男性姿には違和感がある。

 気づけば少し距離をとってしまう。


「本当はもう少し今まで通りにメイドとして働きたいんだけどなっと」


 そこでまた怪しい男と女を一人ずつ見つけたので倒しておく。

 貴族生活ってこんなに大変なんだなと思いながらそれらをいつもの場所に引きずっていき、お任せする。

 なんでも素直に自白させてしまう(後遺症や副作用なし)な特殊な魔法があるらしい。特にこの家の人間が得意なのだそうだ。


 最近都市の方も治安が悪くなっている地域があり、不穏な影が見え隠れする。

 今日も新聞では火事も含めた話が載っていた。

 それらとシリルは関係ないよと読んでいたが、たまたまシリルを探していた時に他の人達と話を盗み聞きしてしまったので、間違いない。


「そんな中で私に告白。うーん、それはそれでおかしい気もする」


 つまり何か裏がある。

 私に告白して、シリルは一体何をしようとしているのか。

 告白することでどのようなメリットがあるのか。


 告白、つまり私という恋人ができることで一体どうなる?

 それによって何がなくなるのか。


「そうか、お見合いがなくなるんだ」


 それはそうだろう、付き合っている彼女がいるならお見合いは必要ない。

 それぐらい今は忙しい状況なのか? だが、


「その割にはよく、庭の手入れだったり、部屋でアルベルク様と遊んだり、カタリーナ様とお茶をしたりしている」


 この前の件で、カタリーナに程よく性格を矯正されてしまったアルベルクはシリルのお友達としてこの屋敷によく来ている。

 あれから、よく分からない友情に目覚めてしまったらしい。

 シリルが言うには、アルベルクは友達がいないから相談できる相手が僕くらいしか思い当たらなかったんだろうね、折角だから弱みを握っておこうっと、と楽しそうにいっているのを聞いた。


 ただ私はほんの少し気になってシリルの男性のお友達について聞くと、女の子のお友達ならいっぱいいるよと返された。

 果たして、シリルとアルベルクが実は似たもの同士だったという衝撃の事実(笑)を知ったので、そのうちシリルのお友達候補についても調べておこうと私は思ったのだ。

 だが現状で優先されるのは、一番初めに与えられた任務(ミッション)である、シリルのお見合いの成功である。


 そこで私はある事実に気付いた。


「ここ最近、お見合いから逃げている……それらを全て総合すると、その気になる案件とお見合いは全く関係ないと考えていいかも」


 となると、お見合いから逃げたいために私のことを好きだと言い出した可能性に行き当たる。

 なるほど、私がお見合いに関して手を回したりお願いしているのに気付いて、そういった行動に出たのだろう。

 聡いシリルならば気づかれるのは時間の問題だったのだ。


「全くいい人だと思ったのに、そんな風に言われたら私だって女の子だから勘違いしてしまうかもしれないのに……そんなにお見合いが嫌なのかな? 私のお見合い相手の選定が間違えているのか……。狙っていたカタリーナ様はアルベルク様とくっついてしまったし……はあ」


 他に身分性格美貌が全て揃った、シリル様に見合うご令嬢はいないだろうか。

 いや、身分よりもシリル様に会ったシリル様好みの相手を探さないといけないのかもしれない。

 そういえば私はまだアルベルクから報酬をもらっていない。


 そう、シリルが何を好きか、だ。

 女性には分からない男性目線の好みがあるかもしれない。

 ぜひそれを知りたいのだが中々時間が合わずに私はアルベルクに接触できない。

 現在はシリルと一緒にアルベルクはお話している最中のはずだ。


「今日こそは少しでも話が聞けるといいけれど、上手くいくかしら」


 シリルと一緒に話した後は、シリルとアルベルク、カタリーナの三人でお茶を飲み、それに私も参加させられる。

 アルベルクと二人っきりで話す機会をまずは得ないといけない。さて、どうしようか、下手な理由をつけるよりも直球で言ったほうがいいかもしれないと考える。

 だっていつもアルベルクとは誰かがこの屋敷にいる時には一緒にいるのだから。


「仕方がない。皆と一緒にいる時にお願いしてみよう」

「あら、何をお願いするの?」


 そこで声をかけられて私が振り返ると、相変わらずの人形のような美少女であるカタリーナがいた。なので事情を説明すると楽しそうに笑ってからカタリーナが、


「いいわ。私がシリルを引き止めてあげるわ」

「本当ですか、ありがとうございます!」

「その代わり今日はハーブティが飲みたいわ。爽やかなものがいいわね」

「分かりました、ハーブも育てていましたのでもらってきて作ります!」

「フルールの特製ブレンドでお願いね」

「はい! ケーキと一緒にお出しします」

「そういえば今日のケーキは何かしら」

「ナッツが4種類もはいったケーキですよ、上に白い糖蜜がかけられたものです」

「美味しそうね、楽しみにしているわ。じゃあいつもの部屋にお願いね」

「はい、かしこまりました!」


 そう答えて私はカタリーナを部屋まで案内しようとすると、勝手知ったるこの屋敷だから別に構わないわと答えていってしまったので、私は急いで屋敷の庭にあるハーブ園に向かったのだった。


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