とある日常にて
私、メイドのフルールは現在、さらなる力を求めて修行という名の自主練に励んでいた。
本日の目標は、このお屋敷で使う薪、ひと月分を一気に処理することである。
何かお仕事ないですか? と他のメイドに聞いたら、薪割が大変でとか、一か月はこれだけの量があるのよと見せてくれたのだ。
だからこれ、全部割っていいですかと聞いたら、出来るならいいわよと言われたのだ。
というわけで自主練兼、新たな必殺技を私は開発することにしたのだ。
正確には試し打ち、だが。
「風の魔法を組み合わせて、新たに複数の刃を狙った位置に瞬時に何重も噴射して敵を切り刻む。名付けて“無限の刃”……もうちょっと、良い呼び名は後で考えるとして、さて使ってみますか!」
というわけで、私はそれを使い薪割りを開始した。
瞬時に綺麗に薪の形になる丸太だが、
「ここの部分とここにズレがあるわね。そしてこれは動きがおかしい……まだまだ魔法には改良が必要ね」
そう私は、頷いたのだった。
とある部屋にて、シリルは悩んでいた。
「カタリーナ、聞いて欲しい。今日フルールが新たな力を手に入れたようだ」
「あら良かったわね。祝福してあげれば? 恋人なんだし」
「そうじゃなくて! もっとこう、僕はフルールに女の子らしいスキルを身に着けてほしいんだ。でないときっとそのうち、どこかの兄みたいに、“修行の旅”に出てしまうかもしれない。どうしよう、そうなったらどうしよう」
「一緒に旅に出ればいいんじゃない?」
「……それだ!」
シリルはいとこのカタリーナの言葉に目を輝かせた。
だがそれを聞いたカタリーナが、
「……本気?」
「本気だとも。よーし、もう全部放り出して、フルールと一緒に旅に出るんだ!」
「シリル、一つ聞いていいかしら」
「なにかな?」
「徹夜何日目?」
「二日目だよ? 面倒なことが沢山起きていてね。裏からも手を回したりしたから……これが終わったら僕、フルールとイチャイチャデートをするんだ。花束も買ってあるんだ~」
「……中途半端な死亡フラグを立てているのは突っ込まないけれど、そうね……シリルがこんなに駄目になっているとはね。フルールももうちょっと……いえ、あの子はあの子なりに頑張っていそうだし、そうね……シリル、いつ頃終わりそう? その仕事」
「あと一時間くらいです」
「フルールをその間に可愛くしてあげるから終わったらデートでもしてきたら?」
「! ありがとうございます、カタリーナ様!」
「……あのシリルがここまで骨抜き、凄いわね」
嘆息するようにカタリーナは部屋を出て行ったのだった。
なぜか現れたカタリーナに私は、とある部屋に連れてこられて、シリルとのデートになった。
「シリルがフルール不足でおかしくなっているから、呼んだの」
「そ、そんなことに。私の間ではいつもと変わらなかったのに!」
「あいつ……フルールの前で格好つけているから……そういうわけで元気を出させるためにもお手伝いしてね」
「は、はい。でもシリル様がそんな風なんだって、気づきませんでした。……これhからは体調もつぶさに観察し管理します」
「そうしてあげて。かまってあげれば喜ぶだろうし」
といった話から私はドレスに着替えて、シリルとデートすることになる。
シリルはとても幸せそうな顔をしていて私も、とても楽しいデートがその日は出来たのだった。




