遭遇戦に行ってみた
誰かが来たらしい。
ここに訪ねてきそうな人物というと、ここの村の人かアルベルクの兄だろうと私は見当をつける。
次に私はシリルの顔を見た。
ものすごく微妙な顔をしている。
それを見ているとおそらくはシリルの知っている人物であり、面倒くさいと言っている人物にほかならないのだろう。
その次に私はアルベルクの顔を見て、シリルと似たような顔をしているのを確認して、
「アルベルク様のお兄様ですか?」
「……そうだ」
アルベルクに問いかけると頷いた。
あの小さな竜達を回収しに来たのだろうかと思っているとそこで誰かが走ってくる音が聞こえた。
「久しぶりだなシリル! 幾度と無く敗北した私だが、今回はひと味違うぞ!」
叫んだその男性は有るベルクのように美形で少し年を上げたような男性だった。
自信満々に腕を組み、楽しそうにはははと笑う笑う彼を見ながら私はシリルに、
「あれ、この子達を親元に戻すために来たのではないのですか?」
「多分それを目的にしているはずなんだけれど、僕を見るたびに襲いかかってくるんだよね」
「それは……大変ですね」
「そうなんだ大変なんだ。だからいつも適当にあいてをして倒していたのだけれど……はあ。修行の旅にでたからしばらく静かだったのに」
どこかうんざりしたようにシリルが呟く。
シリルもシリルで大変なんだなと私は思いながら、
「それであれはどうしましょうか」
「一回倒せば大人しくなるから。はあ、話し合いで解決できない脳筋はこれだから嫌なんだ」
愚痴るように呟くシリル。
それを聞いて少しでも私もお手伝いできればなと思ってひらめいた。
やがてアルベルクの兄が私達の前にまでやってきて、
「今日こそは倒して見せる。この修業のせいか全てをお前にぶつけてやるために俺は返って来たんだ!」
叫ぶアルベルルクの兄。
アルベルクは、全てを諦めたように空を仰ぎ、カタリーナはあらあらというかのように口に手を当てて傍観を決め込んでいる。
そこでシリルが深々とため息を付いて、
「ふん、またいつもの様に倒してやる」
「ふ、甘く見ないことだな。この俺は、以前の俺と同じだと思わな……ん?」
そこで私はアルベルクの兄とシリルの間に割って入る。
シリル様には今日はゆっくり休んでもらおうと思っていたのだ。なので、
「シリル様が出る必要はありません。ここは私が!」
ちょ、フルールと焦ったように呟くシリル。
そしてアルベルクの兄は私を見て訝しげな顔になり、
「ん? お前は誰だ?」
「シリル様のメイドです。シリル様と戦いたいならば、まず私を倒してからにしてください」
「ふん、女だからといって手加減……少しくらいはしてやろう、その気概に免じてこの俺が戦ってやろう」
「ありがとうございます。ですがこう見えても私はシリル様んひお仕えしているメイド。甘く見ていると痛い目にあいますよ?」
「ふん、口だけかどうかは俺自身がそれを見極めてやろう。悪く思うなよ」
「ええ、そちらこそ、貴方様が負けたらそうですね……その時に考えます」
「くく、いいだろう。好きにしろ。だが、どのみち勝つのは俺だがな!」
それが合図となり、私とアルベルクの兄の戦闘が、絶望的な顔になっているシリル達の前で行われたのだった。




