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素材令嬢〜今世は全力で楽しませていただきますわ  作者: MagicFactry


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第1話 転生したようですわ。私の異世界ライフが幕を開けましたわ。

 宝石、草花、羽、鉱物、糸、たくさんの素材たちーー自身のコレクションを眺めながら、カモミールティーを一口。


「ああ、美味しいですわ。ふふ、あの頃とは比べものにならないくらい…」


4年前の自分なら、この香りも味わいも、ただ「甘い」としか感じられなかった。

けれど今の私は、火加減や蒸らし方、茶葉の選び方――すべてを知ったうえで、この一杯を味わっている。

だからこそ、この深い香りとまろやかな甘みが、心にすっと染み入るのですわ。


ルクレティア・ガルディア、通称ルティは、昔を思い返していた。

ーーそう、10歳の頃、自分が転生者であると気がついた時のことを。



ーーお嬢様!お嬢様様!


…なんだろう呼ばれてる気がする


「お嬢様!大丈夫ですか?!」

「大変、すぐに拭いて!湯浴みの用意も!」


ぽたぽたと、自分の薄茶色い長い髪から、雫が滴り落ちる。


ーー茶色?


「火傷はなさっていませんか?」

「ああ、大変!少し赤くなっているわ!」


ーー赤い?あ、手の甲


手を見ると確かに、少しだが赤くなっている

誰の言葉だろうか、騒いでいる声が聞こえる。

けれどもとても遠く感じる。


「お嬢様、大丈夫ですか?!お嬢様!」


ーーお嬢様?


「私の、こと?」


優しそうな女の子が、すこし涙を滲ませて、答える。


「そうです、ルクレティアお嬢様」


ーールクレティア?お嬢様?


「え?どういうこと?何?」


「湯浴みの準備が整いました」

女の子は、ありがとうございますと、女の人に伝えて、私の方に振り返る。


「癒しの光よ、この者に清らかな光を与えよ」


柔らかで暖かい光が、手の赤みを何もなかったかのように消し去った。


ーー何?今の、まるで魔法?え?


「さ、湯浴みをなさって、それからお着替えをなさいましょうね」

「お茶の続きはまたその後にしましょう」


テキパキと女の人達が、落としたであろうカップや、ポットなどを片付けてゆく。

散乱した茶葉から、かすかな良い香りがした。


ーーここ、どこなんだろう


「お嬢様、お湯加減はよろしいですか?」

先ほどの女の子が聞いてくる。


「あ、はい、だいじょうぶです」


「お体、洗いましょうね」


優しいが有無を言わさない声。

女の子にゴシゴシ洗われた。


お風呂で洗われ、着替えをさせられ、鏡の前に座らされた。


鏡を見ると、見なれぬ姿が映る


「え?誰?」


手を振る。同じように振り返す女の子。

きっと睨みつける。笑う。あっかんべーをする。

全て同じように返してくる、鏡。


「私……?」


「お嬢様、大丈夫ですか?頭でも打ちましたか?」


女の子が心配そうに、聞いてくる。


「だ、大丈夫」


「では、紅茶を再度ご用意してまいります。少しお待ちください」


話しながらも、女の子は、茶色い長い髪の毛を綺麗に編み込んでいた。

一人残され、周りをぐるりと見回してみる。


「どう見ても……私の部屋じゃないんだけど」


そこには、大きなガラス窓に、天蓋付きの大きなベット。白いレースのカーテンは、風にフワリとたなびいている。

中央には、細かいデザインが施されている、テーブルや椅子が置いてあった。

床に引かれている絨毯も見るからにふかふかだ。


もう一度鏡をみつめる。

鏡に映るのは、茶色い長い髪と、茶色い目を持つ少女。目鼻だちは悪くないが、少し地味さを感じる。


「どうみても子どもなんですけど、そして誰えええ」


私、学校からバイト先に向かってたよね?ね?

あー荷物!私のカバンは?

この間手に入れたルースは?

どこーーー!


頭を抱えていると、女の子が戻ってきた。


「お嬢様、お待たせいたしました」


そう言って、テーブルに用意されたティーセット。

ふわり、と懐かしい香りが漂う。


あ、これって……カモミールかなあ


ティーセットが用意されたテーブルセットに、手を引いて座らせてくれる。


「いただきます」

こくんと、一口。


…ん?

こくり。


あんまり、美味しくない。


思わず顔をしかめると、女の子は柔らかく微笑むだけで、何も言わなかった。

こうして、私の異世界ライフは幕を開けた。

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