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国の名は 2

 ついにズク族の本体が到着した。


 必死の作業の甲斐もあって…


 ギリ…間に合った。


 突然ズク族をここに呼んだアホなやつを、俺は心底恨んでやりたいが…


 …俺だったね。


 恐らく…二〜三キロは痩せた。


 自業自得ですか…そうですか…


 ヨミと一緒に、街道からデリターニャ北部へと進行してして来たわけだが、


 改めて思った。ズク族多いなと…


 俺がタカマ=ガハラでケツを蹴っ飛ばした部隊の司令官や、


 俺を胴上げした兵士や…

 どっかの砦で、ズボンを破ったった司令官とか、


 一部見知った顔のなかにもう一人、ちょっとだけ世話になった、オギっちの顔もあった。

 

 


 そして…

 いきなり囲まれた。


 あの時の礼がまだだったと、ズク族全体から最敬礼をうけ、


 改めてヨミからも、その礼を贈られた。


 びっくりした…った…


 約千棟の仮設住宅を、それぞれ振り分け、


 その後、幹部クラスとヨミを交え、今後の方針やら、ここの現状などが話され、

 ヨミから俺に、皆に挨拶をと…急に振られた。


 ―――えーーっと、


 ご紹介に預けまして…俺はシバ=リョータローだ。


 ここの代表で…【深淵の破壊神】の、二代目って感じだ。どうぞヨロシク!!


 まあ…俺を戦場で見かけたズク族も、そこそこ多いと思うが…

 アレはあくまでも例外、特別だからな?


 …超貴重な瞬間だと…二度とは無いっぽい感じだと、そう理解してくれ。


 普段は至って温厚で、優しい好青年だからね。


 ――おいヨミ?なぜ笑う?


 いいか、くれぐれも言っとくが、

 俺はあくまでも人間だ。だから拝んだり、崇めたりするのはやめてくれ。


 そこはくれぐれも頼む。


 そして…アーマは衰退し…それもあって今、大きく時代が変わった、

 時代の節目だと、俺達は思ってる。


 争いの無い世界に…多少近づいているとは思うが、やっぱまだまだそれは遠い未来だと思ってる。


 なんで、ここを…ここだけでも、そういった理想のカタチにしたいと思ってる。


 種族の壁を取っ払い、全ての国民が平穏で暮らせる国…そこを目指す。


 そうなるとやはり、色々と俺達以外の外野が騒がしくなってくると思うが…


 そういった外敵から身を護りつつ、ここをズク族の協力のもとで、大きく、豊かにしたいと思っている。


 場合によっては、また俺が暴れる事もないわけじゃ無いが。そこは最後の最後だ。


 


 えーーっと、そんなわけで、


 どうかズク族の皆よ…


 このシバに、力を貸して欲しい…


 「どうか我からも頼む…我が子らよ、どうかこのモノの力となってここを新たなるズク族の地として繁栄の礎を…」


 全てのズク族は一斉に両膝を着き、頭を下げ、

 父神のその声に応えた。


 

 一応?ズク族はヨミ以外の神は異教となる。一神教の当然だ。


 ヨミこそが、その唯一神だ。


 じゃあ俺は?

 …って話だが、


 これについてはヨミが九郎の背に乗って追いかけた際に、ズク族に説明したそうだが…


 破壊神…それを神と呼びこそすれど、それは神にあらず。

 最上位が神であるのなら、

 それ以上の存在である破壊神を、呼ぶ為の位が無いのだと…


 それ故に神と呼称するが、

 決して神では無い…神では無く、それをも超えた別の存在だと…


 そう説明したそうだ。


 普通なら、その言葉で大騒ぎになってもおかしくは無いのだが、


 ズク族は受け入れた。


 なぜなら、

 多くのズク族の兵は見たのだ。


 絶望の淵で、死地の中で、


 あの漆黒の炎を…



 絶対絶命の戦場に突如降臨し、


 瞬く間にアーマ軍を蹂躙した、

 漆黒の炎を纏いしその圧倒的な姿を。


 太古の昔…地上の全ての敵を薙ぎ祓い、叩き潰したとされる、


 神話の中に描かれた、その荒ぶる漆黒の神を…


 その御伽話の中の軍神と呼ばれたその姿を、


 自身の、その両の目で、

 その戦場で、ズク族らは見たのだ。

 

 当の父神さえも、その存在を受け入れておるのだ。


 命を救われし多くのズク族に…あの漆黒を纏いし超常の存在を…


 否定出来るはずなど無かった。


 あの日以来…

ツク=ヨミと並び、ズク族らの心に強く刻まれたのだ…もう一柱の絶対…



 過去も、そして現在も…


 瀕死のズク族を救った、漆黒の守護神の存在。

 彼等にとって、正真正銘、それは紛れなき救世の英雄だった。


 あるものは跪いたままいたまま涙を浮かべ…

 ある者は更に深く、頭を垂れた。

 


 …



 ……


 ん?


 ズク族の様子が、なんか変だが…?


 なんだよ、これ?


 …な、なぜみんな泣いてるんだ?

 ちょ、ちょ…おかしいよね?今のくだりには、

 泣くトコとか、特に無かったでしょ??


 え?どうした、どうした?

 怖いぞ???狼狽える俺は…


 「ペチン」…へっ?


 …笑顔のヨミに、軽く肩パンされた…った。


 あのーー、絶賛、意味不明なんですけど?


 「まあまあ、皆は主に感謝してるだけだから…」


 お?おお…そうなんだ…


 「とにかく、二日ほど休息を取らせて、その後本格的に動こうと思っているよ」


 そういうヨミに、


 忘れないうちに軽く、肩パンを返しながら、


 本日は解散となった。



 「ところで主、もう決めたのかい?」



 え?

 …あ、ああ、そ、そうね…だいたいね?


 「…大体?」



 勿論だが…

 そういや、そんな重要なミッションが有ったなって…




 今、ふと思い出したのは、みんなには内緒でお願いします。




 どうしよ?


 まあ、困った時はわろとくか?


 

 ……ダメだ、またみんなに詰められるビジョンが、俺の脳内を埋め尽くしていて…


 全く笑えない…


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