鬼さんこちら、手のなる方へ 2
あのあとも、なんやかんや有りまして?
どうせなら盛大な歓迎会でしょ?
…みたいな流れと、あい成りまして…
幸い?ここにあるミュー特製、巨大餃子の皮を使って?
一応?
既に人間での人体実験は、なにも知らないイサクとシレンさんで無事、完了しているので、
結局?うちの子供達やマーヤル師匠、更にはヨミやシャダ、マイダス親子までもが参加して、
どうやらそのシャダの差し金で、鬼さん歓迎会を、
まあまあ盛大に行う羽目に…なっておりましたね。
どおりで?
思ってたよりも馬車の数が多いな〜とは、思ってたんですが。
どうやら俺も、そのサプライズの対象でしたか…
鬼族が座るには小さな椅子は、流石に無理だと諦めたのか、
それでも売り物だったはずの折り畳めるテーブルも、ここに大量に運び込まれていますね。
これもここで、このまま生活で使う用だとか、シャダは言ってますね。
ならまあ…上げ底は必要だと思いますが、そこはイサクさんの担当…って事でお願いしよう。
だが流石は気の利く男シャダである…
一ポイント獲得だな…知らんけど。
そこに、今度は商会の屋台チームも遅れて大量にやって来た。
どうやら試作や新メニューも引っさげて、わざわざ歓迎会の為に参上したらしい。
また俺には内緒だったよ?
まあ一応…このあたりも行商のルート内ではあるが、
重い屋台を引っ張って、これまたわざわざご苦労なこったよね。感謝だな。
お?なんか…よく見りゃ、うちの商会の幹部ら、全員来てるじゃねえかよ?
くうう…忙しいクセにてめえら…俺を泣かせやがるぜ?
判った…全員一ポイントづつ獲得だよ。
なんのポイントか知らんけど…
どうやら鬼族の連中も、ここまでされたら流石に?
俺達には敵意なんか一切無く…寧ろ、歓迎しているよね?…っと。
これで警戒の必要なんか無いんだって、ようやく理解してくれたのか、
その後はみんなでワイワイと盛り上がった。
男も女も、人間も獣人も鬼たちも、
そこには種族の垣根も無く、今宵は皆で笑って過ごせた。
特に子供達…鬼の子供は人間と…いや、流石に大人程は身長に大差はなく、
あっという間に打ち解けていた。
勿論だが、その中心には、究極の人間兵器、うちのミーシャちゃん爆弾が炸裂していたのだ。
やはり人類最強の称号は、あの娘にこそ相応しい…俺は心からそう思った。
「そちらの歓迎、我ら鬼族一同、心より感謝する…」
多いに盛り上がったが夜も更けた。今宵はお開きだ。
最後に鬼族を代表して族長アザゼルと、相談役グシオンが感謝の意を皆に伝えた。それで今日は解散だ。
さあちびっ子集団、お家に帰んぞ?順番に餃子に並んでくれ。
シャダらも屋台も、後で俺が送ってやるから、片付けしながらちょっと待っとけな。
ん?…よく見りゃ、トニーさんは連合で使えそうな人材を、ここに探しに来た感じも有るな?
ありゃ商人の商売人モードの目だぞ?
まあ…トニーさんには実際に御世話にはなる予定だからさ、全然構わないんだけれども…
流石は名うての豪商だったね。油断も隙もなく、したたか…まさしく商売人とは奴のことか…?知らんけど。
歓迎会は大成功だった。
俺の…軍神様の超ネガティブな…
邪悪イメージもかなり払拭…は無いな。
まあ軽減された…とは、思いたいですね、マジで。
まあ…これを機会に鬼族も完全に俺達の仲間だね。
いよいよガイナ村発展再開発計画…違った、俺の国計画も本腰を入れる時が来たのだ。
そうか、いよいよフェーズスリーだな、クックック…。
知らんけど…
…
……
我が名はマステマ…
なぜこうなったのか…正直まだよく判らん…
とにかく…あの軍神相手に、一度は死を覚悟したのに、
気がつけばその軍神と、今なぜか、一緒に飯を食ってる…
どう見ても…あの時に見た、あの恐ろしい軍神本人なのだが、
それがどうだ?笑って飯食ってて…正直、まだよく判らん…これが本当に、現実なのかさえも。
だが、軍神相手に争うことは二度とないだろうな。あれははなから無理だった。
アザゼルも言っているが、
軍神とは、勝つとか負けるとか、そんな低い次元の話でさえない、
そんなちっぽけな存在ですら無いのだ。
まあ…そこは身を持って知った。いまだに痛む…
いつでも殺せるクセに、わざわざ俺達は生かされたのだ。
かつて生き残ったという、僅かな祖先もそうだったのかも知れんが…
今も我らは生きている。
確かに手痛い罰は受けたが、死んではいない。
こうして、美味い飯を食ってる…
まともな食事でさえ、軍神と会うまでは、どうにもままならなかったのに…だ。
あの…グシオンでさえ、軍神に対しては完全にその存在を認めて、受け入れてしまっている…
あの…グシオンが、だ。
だが、我には急すぎて、この状況も…今も不思議でたまらない。
人間も獣人も、昨日までは我らの敵だったのだからな。
なにより…ツク=ヨミだ。
なぜ神族の頂点がここにいて、
あんなに美味そうに、獣人の屋台の、イカ焼きを食ってるんだよ?
いや、実際にアレは美味いとは思うが…
それにあのドワーフだ…
我に対して言ったあの言葉…
「良かったなアンタ…ありゃうちの大将、アンタを相当気に入ったようじゃぞ?ようこそ、コッチ側へ、ケッケッケっ…」
そう言って、笑っていたが…コッチ側?…どういう意味だ?
そういえば急に、軍神からマッスーとか呼ばれたが…それが、気にられたって事になるのか?
勿論、あんなバケモノに嫌われるくらいなら、
いっそ気に入られた方が良いのだろうが…
扱いもかなり雑だし…気に入られてるって気が、自分では一切しないんだがな…
だが、ここで生きていくこと自体には賛成だ。
食い物の心配しなくていいし、なにより定住して良いなんて、
ここ数百年には無かった事だからな。
一族は、一部が離脱したが、残った者たちは我らが護らねばならん。
アザゼルも、軍神に対しては一目置いたようだし、グシオンだって…
ならばもう、疑うよりは信じたい。
本当に…男があの軍神ならば、
鬼族の…長き負け犬の汚名を被った…
その無念と雪辱を果たす時なのかもな。
今度こそ、我ら一族は正しい選択をしなくてはならん。
もう決して、過去と同じ過ちはしない。
我がアザゼルを支える。
そして、軍神の剣として、軍神の為に、この身を粉にして働こう。
そして気安く、殺せだとか、死ぬだなんて、
我は二度と言わない。言いたくない。
あの罰を食らうくらいなら、それこそもう必死で足掻けるだろうからな。
あれはただ痛いだけじゃない…本気で恐ろしい…
未だに、消えない幻痛さえ有るのだからな…




