表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
229/297

帰路 1

 ズク族の拠点だったこの砦だが、アーマの侵攻によって、かなりの被害が出ている事と、


 その対面のアーマ軍の本拠地…タカマ=ガハラも、現状、かなり無惨な状態で…


 え?

 …誰のせいだ?って、知らんけど…



 生き残りのズク族と、生き残って捕虜となったアーマ軍の残党…これらを一同に集め、ヨミが演説をぶった。


 「聴けっ、皆のもの…我こそはツク=ヨミである…」


 うーーーん、急に後光とか出てるし…とにかく偉そうなんだが、よく似合ってる…まるで神様って感じだな…ん?


 そもそもこっちのこの顔が、正真正銘の、本当のヨミ…神の顔なのだろうな。

 

 ざっくり言うとまあ…アーマとの戦争は、今日で終わったと…


 神族とは本来…人間や獣の監視者であり…それが今…何故か全く正反対の存在となり下がり、


 ついには天罰が下されたと…それも【深淵の破壊神】の手によって。


 遥か昔、同じ過ちを犯しておきながら、まさか同じ末路を辿るなど、全くもって笑止と。


 今日からお前達の、その腐った性根を、

 真の神族となるべく、このヨミさんが矯正してやっからよ?

 良いか?逆らう奴は一切容赦しねえぞ?

 …的な?

 


 で、差し当たり引っ越しすんぞ、と。

 とにかく、唯一幸いな事に?

 もう間もなく冬も終わりだからなと…


 なので?


 かつてヨミが造った、ズク族の隠し拠点の一つ…その島へと、ここの生存者全員、アーマの捕虜も含め、一斉移動をすると、そう決まった様だ。


 その道中にも、隠し拠点が点在しており、そこを経由し、そこに隠れ住むズク族も、この一団と合流して行くと。



 …まさに民族大移動って感じか?



 オギっちをはじめ、ヨミの優秀な部下らが先導しながら、ゆっくりとそこへと向かうそうだ。



 で?

 そこでビックリしたのが、だ…


 ヨミがまた、急に分体を作りやがった…


 おい?

 テメエの分体には、俺はいい思い出が、一切無いんだが?

 「いやいや、この分体には余計な条件やなんかは入れないよ。そして、期間限定にしたから…」


 あーた?そーは言うがね?…あれだけ好き勝手に暴走させといてさ、

 よく大丈夫とか言えるもんだな、その口は、あ?

 「う~~、それを言われると辛いね…」


 …だべ?


「でもまあ…一旦、島へと帰るまでの、その間だけだからさ…」


 うーーーん、まあ…判ったよ。


 で?

 再び九郎の苦労で?二人のちびっ子と、ヨミを乗せて、一路、皆の待つ神様島を目在して出発した。


 

 結局?…全て上手く行ってる訳だが、神様島と今回の戦闘地域、

 そこから一旦、舟で西へ西へと向かい、島ごもりして、

 で、九郎に乗って東へ戻り、終わればまた、西へ帰ってる…


 長い時間を掛けて旅をして来た…結構な移動距離だったと…

 だと、思ってはいたが、

 なのだが?


 実は、ほぼほぼ同じエリアを、ただ行ったり来たりしていた様だった訳ね、俺達は。

 ちょっと、複雑な気持ちでは有るな…


 

 まあ…ええねんけど…



 九郎の背のうえでは、ヨミ先生指導のもと…そしてアシスタントのミーシャちゃんの協力の元…

 マーオちゃんの発声練習が行われていた。


 自分では、ちゃんと発声しているつもりなのに、やはり実際の音とはズレが有るようだ。

 それは仕方が無い。そりゃそうだって話だ。


 だが、やはりちゃんと発生出来なければ、皆の前では喋るのが億劫になってしまい…最悪、喋れるのに喋らなくなってしまう…絶対にそれは避けたいと、ヨミ先生に強くお願いした。


 なにせこの方、創造神様だしな。なんとかしやがれ…

 いや、して頂かなくては…


 上手く誘導して、音のズレを矯正してくれてる様で…


 こりゃ、アンタに任せて良かったよ…っと、

 子を見守る父…それを通り越して、もはや孫を見守るおじいちゃんの目線…な、俺だった…


 慣れて来たってタイミングで、ブルートゥースのスピーカーを取り出して、

 児童音楽…どんぐりころころや、むすんで開いて…みたいな、簡単に口ずさめる様な歌を流してみた。


 当然だが、現地語では無く、ガッツリ日本語で有る。

 俺がぼんやりと解説?し、それをヨミ先生が現地語に変換して…

 異世界版のどんぐりころころが完成した。


 こっちにもどんぐりが有ったのも幸いだったな…

 ただ…ドジョウがどうやら魔物と翻訳されているような?


 魔物に遊びましょう…などと言われた段階で、実際なら詰んでると思うのだが…


 そもそも、どんぐりの木の実が、よりにもよって魔物と遊ぶとか…

 なんかとんでもない歌になってしまい…

 もはや俺には、ただ遠くを見る以外、何も出来なかった…


 だが、むすんで開いてだ!これは良いものだ。

 振り付け付きで歌えるし、マーオちゃんもミーシャちゃんも笑顔だし、うん、ヨミ先生の翻訳も、さっきみたいなぶっ飛んだモノになる要素さえ無い。

 素晴らしいとは思わんかね?ウンウン…


 なによりマーオちゃんの声だ。

 本当に顔や雰囲気にぴったり合ってて、

 俺達の天使が、今まさに究極の姿に、パーフェクト天使に進化した…そんな気がする。知らんけど…


 で、帰り道。


 さも当然の如く?再びシャダ商会に立ち寄った。


 当然、今夜のマーオちゃんのお祝いと、ヨミのお別れ会の為の仕入れだ。


 大量の肉や、ジャガイモ…的な芋、玉ねぎっぽいネギ…最近他国から無理矢理引っ張ってきた、俺には多少馴染みのあった野菜の…

 こっちの世界に有った近似値?そっくりさん?と、同じく俺の記憶を頼りに探してもらった香辛料…を、ちょこっと頂いて帰ろうかなと。


 そう…まさにアレだぜ?


 時は来た。


 遂に、この記念すべき日に相応しい…究極の味を再現しようと思うのだよ。


 こっちの世界で初の、神の奇跡への、究極のチャレンジを敢行するのだ。


 この日のために、金も時間もかけて、ずっとシャダに、そしてマイダスのオッサンと、その息子トニーに、絶対に凄え事になるからって、無理言って探して貰っていたのだよ。


 その親子もきっと期待していることだろう。



 だが安心して欲しい…このチャレンジが成功した暁には、俺達シャダ商会が、連合が、

 この世界の頂点へとブチ上がる、その起爆剤となるはずなのだよ…恐らくな。

 いや…知らんけど…


 まあ…色々足りないのは百も承知だが、代わりは探したし、

 最初はダメでも、きっと時間と共に進化する筈だ。

 足りないものは、気合でカバーだ。きっとなんとかなる気がするのだ…相変わらず根拠は一切無いが。



 だって今、俺達は究極の天使様の、その幸せの絶頂の、そのど真ん中に居るんだぜ?


 

 絶対になんだって出来てしまうはずなのさ。



 そうさ、イケるよ、寧ろやってやんよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ