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イッカーとタッコー 8

 カルミヤに戻る。ママイッカーを倒した冒険者達と一緒に。

「せっかくだから、一緒に戻ろう。ああ、帰りに出てきたモンスターは、そっちが倒していくか?」

「ええ。それでもいいわ。このあたりのモンスターなら、難なく倒せるし」

「ママイッカーを倒せなかった分、埋め合わせしないとな。もちろん倒した素材は全部そっちがおさえていい」

「え、ママイッカーなら倒したわよ」

「え?」

 私達は話をしながら道を歩いた。私達の戦果を聞いて、皆驚く。

「ロイヤルタッコーとチチタッコーも倒したのか。凄いな」

「ええ。まあ、運が良かったっていうところもあるけどね」

「本当に倒したのか?」

「ただ適当ふかしてるだけじゃないのか?」

「そんなに疑うなら、素材センターで一緒におろしましょう。大きなタッコーを見せてあげるわよ」

「その数で、凄いな。テイムモンスターも皆小さいし」

「皆魔法が使えるからね。誰一人欠けても、タッコーを倒すことはできなかったわ」

「じゃあ、出くわしたモンスターは俺達と交代で倒すか。俺達は3パーティいるから、皆4回に一度戦闘な。順番はじゃんけんでもするか?」

「にゃあ!」

(二リハ、敵だ!)

「ピー!」

(いくわよ!)

 じゃんけんするまでもなく、私達が真っ先に戦闘した。

 その後は、3パーティは事前に決めていた順番で戦闘。飛んでくるイッカー達を簡単に倒し続けた。

 やっぱり皆、なかなかやるわね。ママイッカーを倒したことはあるわ。

「ギャウ!」

(こいつもいただき!)

「便利だな。マジックバッグを使えるモンスターを従えているなんて」

「こいつは俺達が倒したんだから、ちゃんと素材センターで返せよな」

「ええ、いいわよ」

「お前、いつも捨ててるだろう。俺達はママイッカーの肉と槍で手一杯なんだからな。それはいいがかりだ」

「でも持ってけるならいいだろう。ちゃんと運搬代は払うからさ!」

「それでいいわよ。それなら私も気兼ねなく運べるから」

「ありがとうな。二リハだっけ。感謝する」

「いいわよ。イッカーくらい。いっぱい現れるし」

「その少しのことで揉めるやつもいるんだ。そうだ、このイッカーの代金でどこか飲みに行くか?」

「いや、私達は飲むのはちょっと。お酒駄目なのよ」

「そうなのか。もったいない」

 道中は何事もなく、無事日暮れ時にカルミヤに戻れた。

 そしてそのまま冒険者達に、倒したチチタッコーとママイッカーを素材センターで見せて、予想していた通り驚かせた。


 倒したモンスターを全て渡した後、素材センターの職員に言われた。

「二リハさんのおろした素材を全て確認いたしました。その中にママイッカーとチチタッコーを確認いたしましたので、買取価格かセリ価格かをあらかじめ確認しておきます」

「セリ価格ってなんですか?」

「セリというのは、買い取り希望者を集めて、お金を一番多く支払う方に売却するという仕組みです。買取希望者は二リハさんが倒したママイッカーとチチタッコーの状態を確認してから買うので、お金を受け取るのに結構時間が、というか日数がかかります。これらは大きいので、皆さん部位ごと、キロ単位で買うので、更に時間もかかります。もちろん買取価格を希望でしたら、定価で即金を用意させていただきます」

「二リハ、セリの方が儲かるぞ。間違いなくな」

 一緒に戻ってきた冒険者にそう言われる。

 なので私は即答した。

「セリ価格でお願いします」

「はい。では、セリが終わり次第ギルドから声をおかけします。正直、今回のセリは盛り上がりますよ。なにせ、ママイッカーもチチタッコーもほぼ丸ごと残ってますからね。期待してお待ち下さい」

「はい」

「俺達もセリ価格で頼む。二リハの前だと霞むがな」

 それだけセリに期待できるということだろう。この町の冒険者がそうなのだ。ここは右に習っておこう。

 あ、そうだ。

「あの、ママイッカーもチチタッコーも、美味しいんですよね?」

「はい」

「じゃあ、その良いところを取っておいてください。私、その部分を売らずに受け取ります」

「そうですか。わかりました」

「どうする気だ。自分で食べるのか?」

 冒険者に訊かれたので、答える。

「ううん。この前ランギリっていうお店で、うるさくして追い出されちゃったから。お詫びの品になればいいかなって思って。贈りたいの」

「ああ。あそこは金持ちばかり行くからな。飲んで騒ぐような俺達は嫌いなんだよ。そんなことで一番売れるところを手放すのか?」

「うん。ママタッコーには、リベンジするし。またお金は稼げるでしょ」

「ははあ。強気だなあ。実力があるのは認めるがな、死ぬなよ。油断してる冒険者から死んでいくんだ」

「ええ。忠告忘れないでおくわ」

 ここで、冒険者達とは別れた。

 彼らも、これからも死なないでほしい。

 私は、何に祈ることもなく、ただ願った。


 町に戻ってきたからには銭湯に入りたい。

 けど今時間は夜だから開いてなので、仕方ないから明日まで待とう。

 ランギリに寄るのも、銭湯に入った後でいいわよね。臭ったりしたら嫌だし。あのお店、高級思考なんだって。だからそういうの、気にするかも。私も気にするし。

 というわけで、宿屋でお湯だけもらって、寝て、起きて軽く剣の素振りをして。

 銭湯が開く時間まで待って、入浴を終えたら少し緊張しつつランギリに行く。

 ひとまず話くらいはできるわよね?

「いらっしゃいませ」

「あの」

「申し訳ありません。あなたは以前当店で騒ぎを起こされた方ですよね。残念ですがまたのご来店はできません」

「あ、あの、すいません。ひとまず話だけでも聞いて下さい」

 やっぱり塩対応だった!

「はい、なんでしょうか」

「私、達、ママイッカーとチチタッコーを倒してきたんです。それで、素材センターに言って、それぞれの良い部分を残してもらえるようにお願いしたんですけど、よかったら、こちらのお店でいります?」

 店員は少しの間逡巡した後。

「しばらくお待ち下さい」

 店員はそう言って、すぐに私達を追い出した人をつれてきた。

「お前、名前は?」

「二、二リハです」

「お前があのママイッカーとチチタッコーを倒したのか?」

「あ、見てくれたんですか?」

「セリはつい先程あった」

「そうだったんですか。あの、それで、この前のお詫びに、ママイッカーとチチタッコー、少し、いります?」

 そう言うと、彼はため息を吐いてから言った。

「もう騒がない、それが条件だ。本当に持ってきたら、また入れてやる。だが、また騒ぐようなら、ママイッカーもチチタッコーもいらん。二度と来るな」

「はい、必ず持って来ます!」

 良かった。もう怒ってないみたいだ。いや、警戒されてるけど。

「それじゃあ、セリが終わったのならすぐもらってきます。行こう、皆!」

「にゃー」

(結局何しに来たんだ)

「キュー」

(なんか貢ぐらしいですよ。なんでなんですかね?)

「ピー」

(私そろそろお腹減ってきたわ)

「ギャウ!」

(二リハ、俺あれ欲しい!)

「はいはい。ところで皆。もう騒いじゃ駄目よ。特にご飯の時はね」

 せっかく許してもらえそうなんだ。このまま水に流してもらいたい。

 ひとまず、素材センターに行って、ママイッカーとチチタッコーの良いところをもうもらえるか、聞いてこよう。

 セリって結構すぐに終わるのね。今日のお昼はまたランギリでごはんかも。



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