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料理に挑戦

「ねえ、シャスデリ。私も旅の途中で料理ができるようになりたいんだけど」

「ああ、いいんじゃないか。って、それができるようになったら俺の意味が無くなるだろうが」

「違うの。シャスデリがいなくなった後のことを考えたいの。ねえ、お願い。旅をしている間、私に料理を教えて?」

「それはかまわないが、そうだな。それじゃあ旅の間の宿賃を出してくれたら、教えてやってもかまわないぞ。それと、途中でやめないことだ。もし俺から習うんだったら、真面目にやってもらう」

「わかったわ。それでいい。ありがとう」

「よし。それじゃあ、教えるなら夜飯の時、だな。朝は早く出発した方が良いだろう。その時教える」

「それでいいわ。それじゃあ、旅の宿で夜を過ごす時は、私が料理するわね」

 その後、私はシャスデリによく怒られながら料理をした。

 正直、何度も叱られて泣きたくなった。私には料理の才能が無いのかもしれない。初めて作った料理は黒焦げの野菜炒めだった。

 皆私のご飯は残した。あ、私だけは頑張って食べた。

「二リハ、あんまり無理して食うなよ。駄目なものは体に悪いんだからな」

「うう、はい。でも、もったいないから自分の分だけは」

「なんなら俺が今から作ってやろうか?」

「それは更に凹むのでやめてください。明日の朝ご飯を楽しみにします」

 流石に2回め、3回めとなるとなんとか食べれるくらいにはできたが、まだ生だったり、ところどころ焦がしたりと大変。

 味付けだけはシャスデリの言う通り、正確に出来たので、そこだけはセーフだった。でも、シャスデリは私達の味の好みを既に的確にわかっていた。正直とてもありがたい。やはり料理の腕は一流なんだ。あと、使った後の包丁とか、皿とか、めっちゃていねいに洗ってた。わずかな汚れも逃してはいけないらしい。勉強になる。

 そんな旅を続けていると、割とすぐ次の町についた。

「ようこそ、ビネリへ!」

「ここに珍しい料理はあるか?」

「へ、さて、どうでしょう?」

「シャスデリ、突然すぎよ。ひとまず、宿の場所を教えてください。やっぱり近くにありますか?」

「あ、はい。あ、俺の幼馴染がやっているところを教えましょうか?」

「そうね。それじゃあそこを教えてください。シャスデリはどうする?」

「俺はいろんな宿に一晩ずつ泊まろう。そうしていろいろ飯を食う。ここに俺が求める料理があるといいんだが」

「まあ、まだ旅も始まったばかりだし、焦らず探しましょう」

「そうだな」

「へえ。旅人さん、なにか珍しい料理を探してるんですか?」

「ああ。俺の味にないものを求めている」

「じゃあ、ここビネリはミルクが多く取れるんです。だからミルクを使った料理を探してみるといいかもしれません」

「なるほどな。ありがとう。参考にする」

 私とシャスデリはひとまず門番に教えてもらった宿に泊まり、そこで別れた。

「じゃあ、10日後にまた」

「ああ。宿を変えていたら冒険者ギルドにでも顔を出す」

「ええ、そうして」

 そして町に来た私のやることは、もう1つだ。さっさと道中で倒したモンスターを売ってから、銭湯でさっぱりする。


 ここの銭湯も良いお湯だった。結構きれいで、よく掃除がされているみたい。人も多かったけど、皆モエル達を見てかわいいねって言ってくれた。

 けどこの銭湯には、他の銭湯にはないものがあった。

「皆なにか飲んでる」

 銭湯から出た後、周りの皆はなにかを飲んでいた。その正体を探ってみると、出入り口の前でミルクが売られていた。

 なるほど。皆ミルクを飲んでいるのか。たしかに、火照った体には冷たい飲み物が良さそうだ。よし、せっかくだ。皆で飲んでみよう。

「皆もミルク飲むよね?」

「にゃー!」

(飲む!)

「キュー!」

(飲みます!)

「ピー!」

(私肉が良いわ!)

「ギャウ!」

(くれるもんなら飲むぜ!)

 というわけで、皆でミルクを飲んだ。

「すいません。ミルクを2人、いえ、3人分ください」

「ああいいよ。2人分はそっちのペット達の分かい」

「はい。あ、飲み物用の皿はありますので、大丈夫です」

「わかった。見ない顔だね。旅人かい?」

「はい。冒険者です。あ、このミルク、冷えてる?」

「ああ。氷でよく冷やしてあるんだ。美味しいよ」

「ありがとうございます」

 飲んでみると、本当に美味しかった。

「キンキンに冷えているわ!」

「にゃー!」

(これうめー!)

「キュー!」

(なかなかですー!)

「ピー!」

(結構いけるわね!)

「ギャウ!」

(もっとくれ!)

 皆の反応も上々で、思わずおかわりをした。

「飲み過ぎでお腹壊すなよ」

「あ、はい。気をつけます」

「でも、ビネリのミルクを気に入ってくれたんならうれしいね。またきてくれよ」

「はい。そうします!」

 こんなに美味しいのなら、毎日来たって損ではない。

 私はすぐに、この町を気に入った。


 夜ご飯は、ステーキが出た。

「珍しいですね」

 私は思わず、宿屋の人にそう言ってしまう。

「この町ではミルクを確保するために、農牧が盛んなんです。ですから、その影響ですね」

「へえ」

「旅の方からはよく、この町ではこんなに肉が食べられるなんてって、言われますよ。少しビネリの自慢です。どうぞ味わってください」

「はい。ありがとうございます」

 そう言って、ステーキを食べた皆の反応は。

「にゃー」

(まあまあだな)

「キュー」

(やっぱりお肉はあんまり好きくないですねえ)

「ピー」

(量がある分良いわね)

「ギャウ」

(なんか味気ねえ肉だな)

 という感じだった。そして私も。

 うん。普通。

 と、ノーコメント的な反応。

 というか、いつも食べているお肉の方が美味しい。

 そして思い返せば、いつものお肉はモンスター肉だった。

 やっぱり、モンスター肉の方が牧場の肉より美味しいのだろうか?

 あと、シャスデリの腕の良さもあるかもね。

 今度シャスデリに会ったら、そこのところを聞いてみよう。

 そして、お肉を食べて満足できないなんて、私も裕福になったなあ。と、ちょっと思ったのだった。


今まで風呂上がりにミルクを飲んだことがあったか定かではないですが、ミルクの町なので風呂上がりに飲んでます。

 牛乳かどうかはわかりません。ファンタジーなので。

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