石砕きの刃と共に 6
「すげえ。やっぱ強いです、二リハさん!」
「やりましたね!」
「見ててヒヤヒヤしましたけど、凄い連携でした。見事です」
ポリシャ、キュール、ランゾがそう言ってくれた。
私はひとまず笑顔を向けておく。
「ええ。本当はもっと華麗に勝ちたかったんだけどね」
「そんな、勝てたんだから十分じゃないですか!」
「それで、まだクラウドマンを倒すんですか?」
「え?」
そう言われて、少し悩む。
たしかに、皆まだ余力を残してるけど、このまま更に探すというのは、どうだろう?
「でも、キュール達はこれ以上進むのは危険じゃない?」
「いえ、私達なら大丈夫です。戦うのは二リハさん達ですし」
「そうですよ。それより、せっかくここまで来たのにもう戻るなんてもったいないです!」
「俺たちのことは気にしないでください。俺たちはあくまで、二リハさんの手伝いです。足を引っ張ったりはしません」
キュール、ポリシャ、ランゾはそう言ってくれるけど、うーん。
「にゃー!」
(もっと暴れるぜ!)
「キュー!」
(このままではモヤモヤします。もうちょっと活躍の場がほしいです!)
「ピー!」
(私ここは嫌いだけど、皆と一緒なら、またあの敵を倒していいわよ!)
「皆」
そう言ってくれるなら、後は覚悟を決めるのは私だけよね。
「わかったわ。それじゃあ、もう少し進んでみましょう」
「はい!」
こうして私達は、より一層慎重に先へ進んだ。
周囲を包む霧が、少し私を不安にさせた。
しばらく進むと、再びクラウドマンを見つけた。
「にゃー!」
(いたぞ!)
「キュー!」
(ええ、二匹ですね!)
え、二匹?
クラウドマンもこちらに気づいたのか、かなりの速度で近づいてくる。
それも、二体。たしかに二体だ。
これは予想外。この数は危険かもしれない。
「皆、逃げるわよ!」
「ピー?」
(え?)
私の指示とは反対に、モエルとシャインが向かっていってしまった。
「にゃー!」
(火魔法!)
「キュー!」
(ほらほら、今度こそ見切ってやりますよ!)
「ちょっと、ふたりとも!」
「二リハさん、ここは戦いましょう。一体は俺たちが注意をひきます!」
「ああ、任せてくださいっ」
しかも更に予想外のことに、ポリシャとランゾが前に出てしまった。
「ちょっと、2人も!」
「二リハさん、戦ってください!」
更に、キュールも少し前に出る。
「キュールまで」
「私達は、二リハさんを手伝いにきたんです。だから、二体が相手だって、私達でならなんとかなります!」
そこまで言われちゃ、私だけ弱気じゃいられないわね。
「速攻で一体倒すから、なんとか耐えて!」
「はい!」
「ピー!」
(わかったわ、行くのね!)
私はミドリと共にクラウドマンの元へ駆ける。
クラウドマン一体の体は既に、モエルの魔法を受けて半分以上無くなっていた。
けれどその直後、そのクラウドマンの体がヘビ型になった。そしてすぐにモエルの体を捕まえる。
「にゃー!」
(しまった!)
「パワースラッシュ!」
私はすぐにモエルを拘束する雲の体を両断する。すると後ろ半分がうねうねと動く。
「キュー!」
(ここです!)
そのヘビ型の体を、シャインが抑えた。
「シャイン、迂闊に触れたら」
「キュー!」
(ありましたよ、こいつの弱点!)
嘘。勘だとしてもラッキーすぎる。
「でもシャインがそこにいたら攻撃できない!」
「ピー!」
(私に任せて、木魔法!)
あ、ミドリが躊躇なくシャインの真下を攻撃した。
すると、クラウドマンの動きが止まり、シャインが前足で雲石を挟んで取り出す。
「キュー!」
(二リハー!)
そして、私にパス。
当然私は、この機を逃すわけない!
「パワーアップ、ゲイザースラッシュ!」
私は雲石を空中で斬って割った。
よし、後はもう一体!
振り向くと、ポリシャとランゾが雲の手で武器や体を拘束されていた。
「火魔法!」
キュールも魔法を放つけど、威力が足りず状況を打開できない。
待って、今行く!
「サポートガード、パワースラッシュ!」
私は駆け寄りながら、まずはランゾを助けた。
「ありがとうございます、二リハさん!」
「ひとまず引いて、ツヴァイブレード!」
すぐにポリシャも助けようとする。
けれど、ポリシャを拘束する腕は異様に太く、更に固く、一度の攻撃では切断できなかった。
「ううっ」
しかも雲の腕のせいで、ポリシャの首がしまっていく。いけない、このままじゃまずい!
「モエル、火魔法!」
「にゃー!」
(火魔法!)
モエルが火魔法を使ってくれるけど、いつもより小さい?
火魔法はクラウドマンに当たりはしたが、大して効果はなかった。
「にゃあー」
(ごめん、二リハ。これで限界)
まずい。
雲石の位置がわからない状態で、モエルの魔法を頼りにできないのはかなりまずいけど、何よりポリシャが捕まってることが一番まずい!
「うっ」
そうこうしている内に、ポリシャの顔が青くなってきた!
しかもクラウドマンは片足を上げて、私に伸ばしてきた。
とっさに盾で防ぐけど、雲の足は盾にまとわりついてくる。く、私も拘束しようというの?
まずい、これじゃあ思うように動けない!
「ポリシャを、助けないと。火魔法!」
その時、キュールの火魔法がクラウドマンの頭部に当たった。
するとクラウドマンの動きが止まり、私とポリシャは雲の拘束から逃れられる。
やった。そして。
雲石の場所は、頭ね!
「パワースラッシュ!」
私は火魔法を受けて凹んだクラウドマンの頭を全力で斬った。
すると、確かな手応え。斬ったところの雲が霧散して、そこから傷ついた雲石が見える。
「ピー!」
(木魔法!)
その攻撃が致命傷になった。
これでこのクラウドマンの体も、どんどん崩れて、霧散していく。
その分、周囲の霧が少し濃くなった気がした。
けれども、なんとかなった。良かった。




