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陽向とトキとミチル(13)

 陽向の言葉に実菜穂と真奈美は、後ろから力一杯殴られたような感覚をおぼえた。


(またあ、こんなときに。陽向ちゃん。ほら、「冗談だよ」って笑ってよ。いつもみたいに笑ってよ。そしたら、私がすごく驚いてみせるんだ。「ビックリしたあ」って飛び上がるから。それで、おもいっきり陽向ちゃんの肩をたたいて、私も笑うから。だから、はやく笑ってよ)


 実菜穂は、陽向が「冗談だよ」って言いながら笑いだすことを心全開にして期待した。だが、それは叶いそうにないということを過ぎていく時が教えてくれた。過ぎゆく時のなかでは、全身が冷めて痺れるような空気に包まれていくだけであった。


「陽向さん、それは本当のことなの?」

「陽向ちゃん、どうしてそんな話になるの?」


 さっきまで一緒に笑ったり、驚いたり、冗談を言ったり、いつもと変わらない時間を過ごしてきたのに、いきなり突きつけられた現実。二人は、どうあっても信じることができない言葉を受け止めることができないで、必死で跳ね返そうとした。


 同時に飛びつくように話しかけてくる二人を見て、陽向はプッと吹き出した。その笑顔が二人にとっては救いとなっていた。それでも、受けた衝撃が消えるわけではなかった。


「さあ、どっちから答えたらいいかな」


 陽向は落ち着いた様子で二人を見ると、迷う素振りを見せながら答えていく。


「私が言ったことは本当よ。ユウナミの神は、私をどうするか決めようとしているの。だから、逃げるわけにはいかないの。じゃあ、どうしてかと言えば……私がユウナミの神の姿を見てしまった。そして神霊同体に成ったから」

「陽向ちゃん、分からないよ。神霊同体は神様にとっても悪い事じゃないはず。自分の声を人に届け、人を助ける手段だって紗雪も言っていた。だったら」


 実菜穂の感情が爆発していく。頭の中で組み立てられていた理屈が崩れてバラバラになり、組立直す前に言葉が出たのだ。

 透きとおる瞳を大きく開けて話す実菜穂を見て、陽向はクスリと笑った。


「いつもの実菜穂ちゃんになった。うん。実菜穂ちゃんはそうでなくっちゃ」


 陽向の言葉に実菜穂はムンという顔になる。いつもなら陽向の言葉に元気と調子を取り戻すところであるが、このときばかりは心の重しがとれることがなかった。陽向は実菜穂の顔を見るとフーッと軽く深呼吸をした。


「紗雪はこうも言ってたよ。『太古神のなかには神霊同体を危惧する神もいる』ってそれなら何となく見えてくる」

「その太古神がユウナミの神ってこと?」


 陽向は瞬間、トキとミチルを見る。それから、実菜穂に向かいゆっくりと首を横に振った。


「違うと思う。何となくだけど、本当に霞むようだけど見えてくるの。ユウナミの神が、憂いていることが。その憂いの中に私がいることが。あのね、ここからは、私が実菜穂ちゃんと出会ってからいままでのことをぜーんぶ纏めて、考えて、思いついたこと。真一さん、紗雪、みなも、そして実菜穂ちゃん。みんなから教えてもらったこと。本当かどうかはユウナミの神に会わないと分からないけど。言うね。もし、なにか違うことがあればそのときはトキ、ミチル。教えて」


 日向は空を見上げて、日差しの眩しさに目を閉じてから、スゥーと息をして、ゆっくりと語り始めた。

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