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陽向とトキとミチル(4)

 トキとミチルが陽向の前に立ちはだかる。その様子を実菜穂と真奈美が見ている。不思議なことに、二人に対しては全く無警戒であり、真奈美もそのことに気がついた。


「狛犬の様子がおかしいです。陽向さんをこの先に行かせたくない感じですよ」


 真奈美の指摘に実菜穂が頷く。


 真奈美の言葉のとおり、トキとミチルからは敵意を全く感じない。ただ、立ちはだかっているだけ。しかも陽向の前だけにである。おチビのトミ坊にいたっては、陽向の足下にしがみついている状態である。完全な足止めであった。


「この先はもう拝殿だよね。何かあるとすればユウナミの神しか考えられないよ。真奈美さんに何もしないということは、ユウナミの神に会うことを許してくれているんだよね。陽向ちゃんに何か伝えたいことがあるの?」


 実菜穂の言葉に陽向は、笑みを浮かべて頷いていた。


「『行くな』って言ってるんだよね。『ユウナミの神に会ってはいけない』って」


 陽向が言葉をかけるとトキは陽向の右手に噛みついた。ミチルは 左足に噛みつく。痛みはない。甘噛みをして陽向の気持ちを抑えようとしていた。トミ坊は必死で陽向の裾を咥える。これ以上、進んで欲しくないという意志が見えていた。


 当然、実菜穂と真奈美にもその意志は伝わってきていた。


(陽向ちゃんに何かあるの?そう言えば、真一さんのお店にあった写真。陽向ちゃん、泥だらけだった。もしかして、何か関係あるのかな?)


 実菜穂はそのことが頭に浮かびあがり、無意識に写真の陽向と今の陽向を重ね合わせていた。



 右手を噛むトキがミチルに語りかける。


『ミチルよ憶えているか。初めて陽向を目にした日のことを』

『忘れるものですか。私たちの恩人なのです。そして光です』

『そうだ。会えばユウナミの神は、陽向を無事には帰すまい』

『陽向もそのことは知っているはずです。全ては、ユウナミの神が陽向の力に気づいてしまったあの日』

『悔やむべきは私たちの過ちだ』

『はい……』

 

 ミチルがトキに目をやる。トキもその目に応えた。


 トキとミチルは噛みつき、陽向の姿を見つめながら、過ぎし日を思い起こしていた。

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