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十一:トゥー・メイク・マネー

 二つ目の、収入源について。


 いくら交付金があると言っても、僕は所詮カテゴリー〇だ。

 雫も含めた二人分の生活費は賄いきれない、というアイの計算結果を受け、僕も手に職をつけなくてはと考えていた。

 

 因みに雫の狩人としての収入がどれくらいあるのかは分からない。

 一度聞いては見たのだけど「雀の涙二滴分です」と言われた。

 一滴いくらだよ、と思いつつも、まぁそこまで多くはないという事なのだろうと、僕は勝手に解釈した。

 

 そんなこんなでどんな職に就くのが良いのか、そもそもどうやって就職すればいいのか。

 きっと頭を悩ませることになるだろうと踏んでいたのだが、意外にもあっさりと僕の職業は決定した。

 シューティング・バトルから数日後、池貝医院を訪ねた時のことだ。



◆◆◆



「丘の下の青い屋根の……って、あれだよね?」

【そうですね。「池貝医院」。植物を中心とした天然素材から薬を作り、販売している他、カウンセリング等を行う精神科も兼ねてます。評判は上々のようです】


 普通の一軒家を少し拡張した位の、控えめな大きさの建物。個人経営の病院らしい、雰囲気の良い佇まいだ。

 コールドスリープから覚醒して数日、この世界の生活にも少しずつではあるが慣れ始めた。

 余裕のできた僕は、ノブさんの「いつでもいいから来い」という言葉を思い出し、こうして尋ねに来たのだった。 


「内科担当って感じか。手術とかは無理って言ってたもんね」

【外科の担当は人類保護機関にあるようです。内科を始めとするその他の医療機関は、この街には池貝医院を入れて、計十軒存在しています】

「十軒か……結構忙しいんだろうなぁ」


 自分の体は一つしかない、と愚痴っていたノブさんが脳裏に映る。

 人口五万人に対して医療施設が人類保護機関を合わせて十一軒というのは、多いのか少ないのか僕にはよく分からないけれど……少なくとも暇ではないのだろう。

 そんな多忙なノブさんが、僕なんかに一体何の用なのだろうか……?


「っと、すみません」

「いえ、こちらこそ」


 池貝医院の扉を開くと、丁度中から出てきた女性とぶつかりそうになった。たっぷりとした金髪が目にも鮮やかだ。

 金髪の女性は丁寧にお辞儀をすると、そのまま去って行った。

 今の人……カイトさんの彼女さん、かな? 


 中に入ると、診察待ちの患者さんが数名座っていた。

 お年を召した人もいれば、小さな子供とそのお母さんもいたりする。

 病院の中の風景は、人類衰退前の風景とあまり変わらず、僕は少し懐かしい気分になった。


「こんにちはー! 初めての方ですか?」


 きょろきょろと周りを見渡していると、受付に座った茶髪の女性に声を掛けられた。

 よく通る声に明るい笑顔。ショートヘアーも相まって、陸上部のキャプテンみたいだなと思った。

 もちろん印象は良いけれど、病院にはなんとなくそぐわない感じだ。


「こんにちは。えっと、僕一条楓って言います。ノブさ……池貝さんに呼ばれたんですけど、話通ってますか?」

「あー! はいはい、楓さんね! ちょっと待っててもらえます? ノブせんせーい」


 あ、看護師さんにもノブさんって呼ばれてるんだね。

 奥の方へ消えていったスポーティーな看護師さんがノブさんと喋る声が聞こえる。

 あの人、ほんとに良く声通るな……。


「せんせーい。楓さんいらっしゃいましたよー。え? 一人? そりゃ一人でしょう。患者さん? 今の所、あと三組いらっしゃいます。江波おばさんですか? 大丈夫です、いません。……あはは、まぁあの人お喋り長いですからねー。……はい、分かりました。はいはい、じゃぁちょっとだけ待っててもらう感じで。はーいお伝えしますねー。余計な事? あはは、しーませんよ、もう大人なんですから」


 お伝えしなくても大体分かっちゃいましたよ、看護師さん。

 数秒後、ぱたぱたと受付に戻ってきた看護師さんに僕は言う。


「じゃぁ、その辺で待ってます」

「あ、聞こえてました? えへへ、声押さえろって、いつもノブ先生に怒られるんですよねー」

「あはは……まぁ病院ですしね」


 とはいえ、院内で彼女の声が気に障っているという感じの人は居なかった。どちらかと言えば温かく見守られているようだ。


「ところで楓さんっ」

「はい?」

「楓さんって、雫様と一緒に住んでるんですよね?」


 がばっ! と空気が動いた気がした。

 看護師さんの一言に、ここにいる患者さん全員が反応したのだと思う。

 にんまりと笑った看護師さんの目には見覚えがあった。

 身に覚えのない「浮いた噂話」を吹っ掛けてきた時の、クラスの女子たちの目そっくりだ。


「どうして一緒に住むことになったんですか? コールドスリープ前に恋人だった二人の運命の再会? 目が合ったらドキッ、私・僕、君のことが好きになっちゃった! 的なやっぱりこれも運命の出会い⁈ 実は血のつながらない姉と弟で禁断の恋⁈ いや、この際もう血がつながってても大丈夫! どんと来い!」

「お、落ち着いてください……」


 何がどんと来い、なんだろう。行かないよ?

 キラキラと目を輝かせる看護師さんはもちろんの事、他の患者さんも興味津々でこちらに全力で意識を傾けてるのが丸分かりだ。

 奥に座ってるおじいちゃん、雑誌に目を落としてるけどさっきから一ミリも進んでないし、なんなら上下逆だし! ベタ過ぎるでしょう!


「雫様の普段のお姿はどんな感じなんですか? 趣味は? 寝巻の色は? 服を脱ぐ時は上から⁈ 下から⁈ 意外と無防備系ですか襲っちゃいたくなる感じですかそれとも逆に野獣系ですかライオンですかシマウマですかビーバーですか⁈ 教えてくださいっ!」

「び、びーばー……? あのですね――――」


 とにかく何とかしてこの興奮した看護師さんをなだめようとした時、病院内に鋭い怒声が響き渡った。




夏鈴かりん、うるっせーぞ! 余計な事すんなって言っただろうが!」




 もしかしなくてもノブさんの声だ。

 看護師さん改め夏鈴かりんさんは、ひゅっと首をすくめると、小さく舌を出して笑いながら言った。


「えへへ、怒られちゃいました」

「あはは……まぁ……病院ですしね」


 僕は何とも言えず、また同じセリフを口にした。

 患者の皆さんも特に委縮することなく、くすくすと笑いながら、また各々の待ち時間を過ごしていた。

 どうやらこれが池貝医院の日常らしい。

 アットホームな雰囲気で良いなと思う反面、ノブさんが苦労している一因を知った気分だった。 



◆◆◆



「すまんね一条君、うちのが迷惑かけちまったみたいで」

「いえ、迷惑と言う程では」


 三十分程して名前を呼ばれた僕は、診察室に通された。

 白衣を着たノブさんはやはり渋くてかっこよかった。


「だって気になるじゃないですかー。あの雫様が満を持して選んだ恋人さんだなんて……やはりこれはもうお話を聞くしか!」

「いや、恋人ではなくてですね……」


 あの人は僕の事「奴隷」って言ってましたよ。もしくはゴミ。


「夏鈴、それくらいにしとけ。話が進まん」

「ちぇー。折角の機会なのになー。楓さんっ、風邪引いたり体調悪くなったりしたら、いつでも来てくださいねっ!」

「あはは……考えときます」


 あの勢いで看病されたら、調子の悪さに拍車がかかりそうだな……。

 しっし、と夏鈴さんが犬の様に追い払われると、診察室は静かになった。


「さて……この世界には慣れたか、少年」

「はい、少しずつではありますが」

「そいつは柔軟なこった。俺は慣れるのにかなりかかったよ」


 ちらりとノブさんの胸ポケットに目をやると、やはりCMSUが入っていた。


「ノブさんもスリーパー、なんですね」

「あぁ。五年ほど前に起きた。っつってもまぁ、俺は無能力者だけどな」

「そうなんですか。ということは、身近な誰かが……?」


 スリーパーになる条件は、適性検査に通っているか、適性検査に通ったものの身内、またはそれに近しい者だったはずだ。

 しかしノブさんは、首を横に振って言った。


「それも違う。実はスリーパーに選ばれる条件はもう一つあってね……。言ったろ? 俺は昔、人類保護機関で働いてたって」

「あ……」


 そういえば最初に会った時、そんな事を言っていた気がする。っていうか、昔ってその規模の昔か。


「人類最盛期の技術、もしくは知識を持っている人類保護機関の研究員は、特別に何割かコールドスリープに入ってたんだ。俺はその一人。まぁ色々あって、今はこうして医者やってるけどな」


 確かにヒトという種を保存し続けるために、人類保護機関の研究員たちをコールドスリープに入れるのは理にかなっている。

 コールドスリープから目覚めた後、すぐに研究員として働けるだろうし。

 きっとその何割かの人は、保護機関の中でも優秀な人が選抜されているのだろう。


「適性検査の方も通ってりゃラッキーだったんだけどな。『汎用はんようがた』も『特殊型』も完全に空振りだったよ」

「通る人、少ないですしね」

「一条君の能力は感情制御、だっけ? 記憶にないんだが……特殊型だよな?」

「まぁ……そんなようなもんです」


 遺伝子導入して得られる能力は、「汎用型」と「特殊型」に分けられる。

 例えば汎用型で言えば、「能力発動時に筋力がx倍になる」というのがある。

 このxの部分には個人差があって、その数値によってカテゴリーが変わったりする。


 一方の特殊型は、雫の持っているような「唯一無二」の能力を指す。

 その中でも雫は四つの特殊型が合わさっているから、規格外な訳だ。

 もちろん、特殊型の全部が全部そんなにすごい訳ではない。

 僕が見た中で一番可哀そうだったのは「爪を伸ばす速度が速くなる」能力だった子だ。あの子、元気にしてるかな……。

 で、僕の能力も……まぁ特殊型、なんだろうな。


「カテゴリー〇ですし、大した能力ではないですよ」

「はは、無いよりかはあった方がいいさ。交付金の額も多少変わるだろう」


 で、だ。とノブさんはペンをくるくると回しながら続けた。


「お前さんを呼んだのは、その「かね」にまつわる話なんだが……。職とか、もう決まったか?」

「いえ、まだです。そろそろ決めなくちゃとは思ってたんですけど」

「なら丁度いい。提案なんだがな……採集家コレクターになってみる気はないか?」

「採集家、ですか?」

「あぁ……っつっても、そもそも採集家がよくわかんねーわな。AI、説明してやってくれ」


 そう言ってノブさんがこんこん、と胸ポケットのCMSUを叩くと、爽やかな青年の声でAIが喋り始めた。そう言えば、アイ以外のAIが喋るのを初めて聞くかもしれない。


【それではご説明いたします。採集家、とは、氷期突入後、人類がコロニーへと移住してから「狩人ハンター」と共に現れた職業です。狩人との共通事項は、コロニーの外での仕事が主であること。狩人との違いは、狩人はオーガ・インセクトのせん滅や、獣の狩猟など「戦闘行為」が多い職業です。一方の採集家は、基本的に戦闘行為は行いません。依頼を受けた薬草や鉱物等の回収、その他、未知の領域の探索や地図の作成などが主な仕事となります。もちろん戦闘力が高いに越したことはありませんが】

「と、いう訳だ」


 AIの説明は流麗で耳に優しく、そして分かりやすかった。

 いや、勿論うちのアイだって同じことはできると思うんだけど……いつ噛むか心配ではあるんだよね……。

 後、ちょっと情報間違えたり。


「確かにそういう職業があるのはぼんやりと知っていましたけど……でもどうして僕に?」

【狩人、採集家にはそれぞれランクがあります。狩人のランクは、戦闘力に比重を重く置きます。しかし、採集家の場合、ランクの基準は一様には言えません。素材に対する知識であったり、仕事の速さであったり……戦闘力も一応評価基準にはあります。ただ、やはり戦闘力が高い採集家と言うのは稀です。ほとんどいないと言ってもいい】

 

 なんとなく話の方向性が見えてきた僕は、頭を整理するために口を挟む。


「例えば、オーガ・インセクトがはびこっている場所に生えている植物が必要となった時、それらを掻い潜る、あるいは倒せる採集家は希少だという事ですね」

【はい、そして何より雇うと高い】

「でも僕なら……()()()()()()()()()()()、そういう場所にも行けるし、採集もできる、と」

【はい、そして何より雇っても安い】

「そこまで言わんでいい」


 ぱちんっとCMSUを指で弾いて、ノブさんが苦笑いしながら言った。


「ま、何となくわかったと思うが……」

「あはは、まぁ言わんとすることは伝わりました」


 天然素材を元に薬を作っているという事だったから、植物・鉱物・動物の角など、色々なものを試すだろう。

 簡単に手に入るものは、あらかた試し終わっているに違いない。

 だとすれば次に必要になるのは、まだ見ぬ素材……つまり、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()


「欲しい素材と、今まで集めた素材のデータはCMSUを通して渡すから、それを元に採集してきてくれれば助かるんだが……」

「んー、それはもちろん構わないんですけど……二つ、疑問があります」


 雫が狩りをしている間、僕はその横でこそこそと素材を集めればいい。

 確かに合理的だ。僕も楽だし、それでお金が手に入るならありがたい。ただ――――


「一つは、別に僕じゃなくても、他に雫に同行する採集家がいれば良くないですか? なんなら、雫本人に頼んでしまってもいい。僕である必要性が薄いかなと」

「あぁ、最もな疑問だな。だが、まず一つ。お前さんところの王女様は、狩りの際に同行者が付くのを絶対に認めない」


 そう言えば最初に会った時も、その後狩りに出かける時も、決まって一人だった。

 まぁ雫はチート級の強さを持ってるわけだし、誰かが付いて来ても、足手まといになるだけなのかもしれない。




『うふふ、良いコンビですね。アイさん込みの実力があれば、連れて行っても大丈夫かもしれません。そうですね、そうしましょう』

『どこに?』

『決まってるじゃないですか――――コロニーの外。オーガ・インセクト狩りですよ』




 ……。

 じゃぁ、なんで僕の事は誘ったんだろう。


「その顔を見ると、やっぱり一条君は、付いて行っても大丈夫そうなんだな」

「……はい、多分ですけど……」

「はは、随分と気に入られたもんだ。あぁ、ついでにもう一つの方だが……王女様の能力、壊死アポトーシスは当然「植物」にも働く」

「あー……」

「同行した者がいないから、あくまでこれは噂なんだが……あの子が狩りをした後には、荒涼とした大地だけが広がっていた、と言う話だ」


 とんだ化け物じゃないか。

 そもそも、一体どんな戦い方したらそうなるんだ?


「だからまぁ、そうなる前に採集してもらえると助かるんだ」

「なるほど……じゃぁ、後一つだけ」

「どうぞ」

「採集家ってなるのに、試験とかないんですか?」


 僕、採集家になります! そうですか、はいどうぞ! となるような職業には思えないんだけど……。

 僕の質問に、ノブさんの動きがぴたりと止まった。

 あ、この人それに関しては何も考えてなかったな。


「わ、わざわざ試験受けて、採集家にならなくてもいいんじゃないかな?。ほら、王女様に付いて行って、素材だけ回収して横流ししてくれれば……」

「なんてこと言うんですか」


 どうせなるなら、ちゃんと正規の手続きを踏んでおきたい。

 ただ、試験があるならそれ相応の準備をする必要もあるし……就職できるのはもう少し先の話かな?

 そう思った時、胸ポケットの中でCMSUが小刻みに揺れた。


【楓、烏丸さんからメールです。読み上げますか?】

「烏丸さんから……? うん、お願い」

【一条楓さん

 先日はどうもお世話になりました。またお時間ある時に色々とお話ししたいです。

 ところで、物は相談なんですが、採集家コレクターになるつもりはありませんか? 

 実は研究の関係でオーガ・インセクトのDNAが必要なので、色々なオーガ・インセクトの体の一部を、一欠片でいいので集めて欲しいんです。

 

 楓さんは雫さんと一緒に居ることが多いですし、色々な種類のオーガ・インセクトに出会う確率も高いかなと思いまして!

 ただ……雫さんが「壊死」を使っちゃうと、死骸が残らない位ドロドロなってしまうので……雫さんが倒してしまう前に、何とか素材の回収をお願いできませんか? 


 実は、狩猟センターの方にはもう話が通してあります。特例ではありますが、試験なしで採集家として採用してもらえます。

 あ、勿論なった後、ちゃんと勉強はしてくださいね?(笑) 

 もし興味があれば返信ください。良いお返事を期待しています】

「まじか」


 なんて手際のいい……。

 後ろ暗いことなく、手っ取り早く働けるのは、正直ありがたい。断る理由はないと思った。


 あと、雫は狩人としては超一流でも、採集家としてはとんだポンコツであることがよく分かった。

 なんだあいつ、ただのバーサーカーじゃないか。


「ちょっとずるい気もするけど……なった後ちゃんと勉強すればいいか」

「ははっ、まじめだねぇ。……ところで俺からの依頼の話なんだが……」

【追伸

 念のため書いておきます。

 池貝さん。素材の採集依頼は()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 楓さんのランクは当然一番下からのスタートですが、依頼料と素材に対する支払は別途なの、知ってますよね? 狩猟センターへの手数料を払いたくないからって、楓さんに変な取引持ち掛けてませんよね?

 色々とちょろまかそうとしてないか、時折確認に行くのでそのつもりで。

 あ、全く覚えがなかったらごめんなさい、無視してください】

「あ、あの、まん丸メガネ野郎ぉおおおぉお……」


 ここでの話を全部聞いてるんじゃないかって位ピンポイントな追伸に、僕は笑ってしまった。


「仲いいんですね」

「良くねぇよ……あいつまじで事あるごとに邪魔しやがって……俺に恨みでもあんのかよ……」

【烏丸さんは、ノブ、貴方に特別な感情を抱いている、と推測されます。同性同士では子作りを行えないので、残念ながら私はサポートすることはできませんが――――】

「おいAI、ちょくちょく薔薇な方向に話を持って行こうとするのはやめろ」


 きっと今回みたいに、ちょっとずるをしようとするノブさんを、何度も妨害してきたのだろう。

 あの人のい笑みを浮かべて。

 なんというか……ノブさんはどう思っているか知らないけど、傍から見ればいいコンビに見える。


「じゃぁ、依頼は正規の手順を踏んでお願いしますね」

「はぁ……あぁ、分かった。その時はよろしく頼むよ、少年」

「はい、お待ちしてますね」


 僕は苦笑いを浮かべ、バツの悪そうな池貝さんにお礼を言って、その場を後にした。 



 こうして僕は、晴れて採集家になった。

 

 ランクはEからのスタートらしい。因みに雫の狩人としてのランクはS。

 そりゃそうだと納得する反面、家でのわがまま放題な彼女を知っているから、なんとなく素直にはすごいと賞賛できない僕がいた。

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