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二人で挑め


 チョマベを始末しに来た男、モイサマツは天井を突き抜けて取調室にやって来た。またこのギルドに侵入者が来てしまったか。裏切り者はまだ分からないのか。そう思っていると、モイサマツは氷のナイフを私に向かって投げた。私は剣でそれを弾き落とし、奴に向かって飛び上がった。


「来るか、エクス・シルバハート!」


 モイサマツは両手を前に突き出した。私はこのまま奴の両手を斬り落としてやろうかと思ったが、魔力を感じて後ろに下がった。その瞬間、奴の両手から物凄い量の水が流れた。私は身構えていたが、奴が放つ水の量はまるで洪水の用だった。勢いに負けた私はそのまま扉を突き破った。


「ガハァッ!」


 うげぇ、気持ち悪い。流されただけじゃなくて、奴が放った水が口や鼻、耳の中に入った。本当に気持ち悪い。私が体中にかかった水を払う中、奴は私に向かって突進をしてきた。ただの突進じゃない。奴は右腕を前に突き出しているが、そこから鋭く尖った氷の棘があった。それで突き殺すつもりか!


「単純な攻撃方法ね!」


 私はそう言って奴の右腕から伸びる氷の棘を斬り落とした。奴の攻撃を防ぐことはできたが、奴はにやりと笑っていた。


「その水、私の魔力だというのを忘れるなよ?」


 まずい! この水は奴の魔力を元にして作られた水だ。魔力が元ならば、魔力を利用して濡らした相手を凍らせることも可能だ! 私はすぐに対処しようとしたが、体が凍り始めた。


「氷漬けにしてやるぞ。そして、お前をバラバラにしてやる」


 凍り付く私の体を見て、奴はこう言った。これはまずい。そう思ったが、私には頼れる相棒がいる。私の後ろから、巨大な火の玉が奴に向かって飛んで来た。


「何!」


 いきなり火の玉が飛んできたせいか、奴は驚きの声を上げた。奴は急いで水を放って火の玉を消そうとしたが、無駄だった。火の玉は奴に命中して破裂した。


「ぬぐおおおおお!」


 攻撃を受けた奴は転がりながら後ろへ吹き飛び、壁に激突した。


「エクスさん! 大丈夫ですか!」


 私の後ろからティノちゃんが現れ、様子を聞いて来た。きっと、奴の魔力を感じ、洪水と共に流れ出た私を見て火の玉攻撃を思いついたのだろう。


「ありがとうティノちゃん。おかげで濡れた体が乾いたわ」


「よかったです。でも、奴はまだ動けます」


「ええ。こいつはかなり厄介な奴ね。手を貸して、二人で奴を倒すわよ」


 私がこう言うと、ティノちゃんは一瞬だけ驚いた表情をしたが、すぐにいつもの表情に切り替わって返事をした。


「ぐぐぐ……これで終わったと思うなよ!」


 奴は再び突進攻撃を仕掛けてきた。ティノちゃんは雷の魔力を発し、巨大なトライデントを作り出し、奴に向けて放った。


「電撃のトライデントだと!」


 奴は動きを止め、飛び上がって攻撃を回避しようとした。だが、私が上空に飛び上がり、奴に向かって剣を振り下ろした。


「グアッハァッ!」


 奴は悲鳴を上げながら床に激突した。起き上がった瞬間、後から来たトライデントが奴に命中した。その後、トライデントから激しい電気の音が響いた。


「ぐおおおおおおおおおお!」


 奴は大声を上げている。感電しながらダメージを受けているのだろう。だが、魔力を感じる。感電しながらも魔力を使って防御しているようだ。


「この程度で……終わらんぞ!」


 何と、奴は気合いでトライデントを吹き飛ばした。それには驚いたが、奴は大きなダメージを負った。体には焼けた跡があり、まだ痺れているようで手足も震えている。攻撃を仕掛けるなら今だ。


「ティノちゃん、私が前に出るわ。矢でも何でもいいから飛び道具で援護して!」


「了解です」


 返事をした後、ティノちゃんは周囲に魔力で無数の矢を作り出した。完璧。この矢の本数なら奴もかわすこともできないだろう。


「な……何……これだけの矢を発するとは……」


「さぁ、覚悟しなさい!」


 剣を持った私は奴に向かって走り出した。奴は立ち上がり、ナイフを構えた。その様子を見たティノちゃんは奴の動きを見て矢を放った。


「グッ! ウウッ! 当たってたまるか!」


 奴は苦戦する声を上げながらナイフを振り回し、飛んでくる矢を斬り落としていた。だが、ダメージを負い、体も感電して動きがおかしい状態でまともに動けるはずがない。奴の動きは鈍くなり、次々と魔力の矢が奴の体に命中した。


「くっそォォォォォォォォォォォォォォ!」


「残念でした。反省しなさい!」


 私は奴に接近し、奴の両腕と左足を斬り落とした。攻撃を受けた奴は驚いた表情をしながら、その場に倒れた。




 戦いは終わった。チョマベの時とは違い、今回の襲撃でエリート戦士たちに被害はなかった。騒動を聞きつけたギルドの人たちがチョマベを取り囲み、拘束した。ソセジさんは私とティノちゃんに近付き、声をかけた。


「また君たちが活躍したようだね。だが、続けてこのギルドが襲撃されるとは……」


「チョマベの時から間が開いていません。まだこっちがドタバタしているせいで、隙だらけなのでしょう」


「そうだな……他の戦士に見張りを強化するように提案しておくよ」


「お願いします」


 私とソセジさんが話をする中、モイサマツは私の方を見て、笑い声を上げた。


「何がおかしいのよ? 面白い冗談でも私言ったかしら?」


「油断しているな……俺がこうなることは予想通りだ」


「何か言いたそうね? さっさと話しなさい」


 私は奴に剣を向けてこう言った。奴はそんな状態でもお構いなしに口を開いた。


「ギルドの裏切り者が、ただ情報を流すだけだと思っているのか?」


「情報を流すだけ?」


 この言葉を聞き、私はあることを思いついた。奴らがギルドで会議を起こすことをジャッジメントライトの連中に報告するだけではなく、他に何かやらかすのだと。


「あんたら、何を考えているの? 早く話しなさい!」


「いいだろう。ギルドの中央と言われるこのギルドは……あと数秒でぶっ飛ぶ!」


 何ですって! 私はすぐに行動しようと思ったのだが、その直後に爆発音が響いた。


 クソッ! ギルドの裏切り者共は、このギルドにデリートボンバーを仕掛けていたのか! こんな単純な考え、どうして浮かばなかったんだろう? すぐに思いついたら対処できたのに!


「フハハハハハ! 悔しそうな顔をしているな、エクス・シルバハート! 今更後悔しても遅いぞ。もし、裏切り者の存在が早くばれても、奴らにはその時点でこのギルドを爆発させるか、持っているデリートボンバーを使って自爆しろと命令しているからなぁ!」


 私の顔を見たモイサマツは笑いながらこう言った。そんな中、天井から破片が落ちてきた。私はバリアを張って近くにいたティノちゃんとソセジさんを守った。


「ここはまずい! 早く逃げないと!」


「逃げても無駄です! もう爆発が起きているので、どこに逃げても同じことです!」


 慌てながらソセジさんと会話するティノちゃんの声が聞こえた。ティノちゃんの言う通りだ。どこに逃げても爆発から逃れることはできない! ただ、バリアを張って耐えるしか今はできない! 私はそう思いながら、魔力を込めてバリアを強くした。


「エクス・シルバハート! 今回の攻撃はこれで終わりじゃないぞ! お前は私たちジャッジメントライトには勝てない! 絶対に勝てぬのだ! その程度の実力で、アソパさんに太刀打ちできると思うなよ!」


 爆発音に紛れ、奴の大声が聞こえた。クソッたれと思ったが、大きな瓦礫が奴の上に落ち、奴を押し潰した。


「哀れな最期ね……見てなさいよ。ジャッジメントライトが私の手で崩壊する様子を!」


 私は瓦礫の下敷きになったモイサマツを見ながら、叫んだ。


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