聞き出した話の内容
会議があると言われてやって来たベトベムだったが、今はそれどころではなくなった。チョマベと言うアソパの部下が現れ、ギルド内で大暴れ。そのせいでエリート戦士たちが傷付き、命を落とした。私が奴を倒した後、奴の身柄はこのギルドに引き渡された。今頃、厳しい取り調べでも受けているだろう。騒動から翌日経過したが、まだ情報は流れない。
「取り調べに時間がかかってるわね~」
「そうですね~」
私とティノちゃんは机の上に置いてあった茶菓子を食べながらテレビを見ていた。今回のギルドの騒動がもうテレビのニュースで流れている。いつの間にかわからないけど、奴と戦っている私の写真が外から撮られていた。メディアの連中、いつの間にこんな写真を撮ったんだ? プライバシーの侵害で訴えてやろうか? そう思いながらニュースを見ていたが、チョマベの身元を流すことはしなかった。ジャッジメントライトの連中、テレビ局にも手を回しているな。政治家やメディアの連中に根回しし、自分たちの悪評が回らないようにしているのか。いつかこのことを全世界にばらしてやる。そう思っていると、携帯電話が鳴り響いた。相手はソセジさんだった。
「もしもし。どうかしましたか?」
私がこう聞くと、ソセジさんが慌てながらこう言った。
「今すぐ取調室に来てくれ。君が倒した奴が暴れだした」
「分かりました。すぐに行きます」
私は急いで電話を切り、ティノちゃんにこのことを伝えた。
「暴れるって、手足がない状態でどうやって暴れたんでしょうか?」
「体を動かして暴れているんでしょう。とにかく急ぐわよ!」
私とティノちゃんは部屋から出て、急いで取調室へ向かった。
取調室。私とティノちゃんが部屋に着く前にチョマベは大人しくなっていた。だが、相当止めるのに苦戦したのか、戦士たちは荒く呼吸をしていた。
「すみません、遅れました」
「いや。今、睡眠薬を奴に注入したばかりだ。しばらく奴は眠っているだろう」
どうやら、奴を眠らせて無理矢理眠らせたのだろう。暴れだしたらそれしか止める方法はない。私は鼻ちょうちんを出しながら眠る奴を見て、取調官に話しかけた。
「奴は何か言いましたか?」
「いや。何も言わなかった。アソパさんのことを言ったら私は殺されると言うばかりだ」
「仲間の情報を漏らしたら殺されるって脅されているんでしょう。情報を守ることに関しては、奴らは非情で徹底的な手段を取りますから」
私がこう言うと、奴の鼻ちょうちんが割れた。そして、奴は私の方を見て笑い出した。
「おお! 私をこんな目に合わせたエクス・シルバハートがここにいるのか! ケケケケケ! お前に一言言いたくて、わざと暴れたんだ」
「私に何か言いたいの? 口説き文句は聞き流すわよ」
「お前みたいな野蛮人に欲情するか。素晴らしい情報をお前に話してやる。ケケケケケ、これを聞いてもお前は止められないだろうが」
「もったいぶらないでさっさと言いなさい」
「次のテロの目標は……この町だ」
この言葉を聞き、私たちは動揺した。しばらくの沈黙の後、取調官は慌ててこのことを他の戦士たちに伝え始めた。慌ただしい中、奴は私とティノちゃんを見てずっと笑っていた。
「ケケケケケ。エクス・シルバハート、君に今回のテロを防ぐことができるかな?」
「止めるわよ。あんたみたいな奴らは全員斬り倒す」
「ケケケケケ。とりあえずこれだけは言っておくよ。無駄な会議ご苦労さん」
奴はそう言って再び眠り始めた。私はティノちゃんを連れ、取調室から出て行った。
とんでもないことになった。奴らの次の狙いはこの町、ベトベムか。奴らのテロが計画通りに侵攻すれば、この町は壊滅し、世界は混乱するだろう。この町には大企業やら、テレビ局やらいろいろと存在している。それらが攻撃されれば、経済的にも情報的にも混乱を起こす。参ったな……奴らがこんな短期間で大規模な攻撃を仕掛けてくるとは予想していなかった。
(大変なことになりましたが、次の目的が分かった以上、この町に滞在して守るだけです)
と、エクスが俺にこう話した。俺はため息を吐き、エクスにこう言った。
(今回は規模が違いすぎる。ここは世界の中央だ。守るものが多すぎる)
(私はティノちゃんや他のギルドの皆さんも頼っています。私ができないところは皆がやり、皆ができないところは私がカバーします)
(ふむ……数で対抗するのか)
(私はそう考えています。会議でいろんなギルドの人が集まって、敵が重役を狙って攻撃する恐れがありますが、いいこともあります。ギルドの最高戦力が今、集まっています。彼らと共に戦えば、ジャッジメントライトの連中と太刀打ちできます)
そうか……よくよく考えてみれば、今は会議を行っている。各地のギルドの戦士も集まっているので、彼らの手を借りればテロを防げる。
俺はそう思った。だが、まだ問題はある。奴らのテロの目的だ。テロを起こすには何か理由があるはずだ。それさえ知れば、場所を特定できるはずだ。
(ヴァーギンさん。今回、かなり力を借りると思います)
(ああ。俺に構わずどんどん力を使え)
俺はエクスにこう言った。今回は本気になって戦わないと、世界が大変なことになる。俺はそう思った。
翌日、私は取調室へ向かった。理由は一つ、チョマベから話を聞きだすためだ。取調官には事前に話をしていたため、奴に面会することができた。
「やぁ。今度は一体何のつもりだい?」
「テロのことは聞いたけど、この町のどこで、どんなやり方でテロを起こすか話なさい」
私がこう言うと、奴は笑いながら言葉を返した。
「それ以上質問に答えるつもりはないね」
「あっそう」
私は魔力を解放し、小さな風を仕切りの隙間から奴に送り、奴の口と鼻を塞いだ。
「話をしなさい。でないと、窒息するわよ」
私はこう言ったが、奴は苦しそうにするだけだ。私はため息を吐き、机を叩いた。
「話をする気になったら机を二回、軽く叩きなさい」
そう言うと、奴は机を二回軽く叩いた。話をするつもりだろう。私は風を消し、深呼吸する奴を見ていた。
「分かった。話をする。私たちはベトベム全域に攻撃を仕掛ける」
「無差別にやるってわけね。理由は?」
「デリートボンバーを使って攻撃して、世界を混乱させるためだろう。アソパさんは、多くは語らなかった」
「一度で消せばいいのに、どうして一度混乱させるのかしら?」
「分からん。もしかしたら、混乱させた隙に総攻撃を仕掛けるのではないか? アソパさんの部下と言う立場だが、あまりこれからの計画は分からないのだ」
ふーむ。混乱させて隙を作り、その時に総攻撃か。あり得るかもしれない。世界がパニックになったらどうしようもない。そんな中でまた反乱やらテロが起きたら太刀打ちできない。奴らがやろうとしているのはめんどくさいやり方だが、確実に敵を倒すために必要なことだ。この作戦を考えた奴は、回りくどく、非情で残忍な性格なのだろう。そう思っていると、強い魔力を感じた。
「しゃがみなさい。そして、机の中に隠れて」
「え?」
「いいから早く!」
私は大声で奴にこう言った。奴が渋々私の言われた通りに机の中に隠れた瞬間、天井から何者かが現れた。
「机の中に隠れて、天井の破片から身を守ったわけか。相変わらず自分の身に危機が及べば、頭の回転が速いな、チョマベ」
「お前は……モイサマツ!」
チョマベは上からやって来た侵入者を見て、大声を上げて驚いた。私は仕切りを破壊し、モイサマツと呼ばれた男に斬りかかった。モイサマツはナイフで私の攻撃を受け止め、私を睨んだ。
「お前がエクス・シルバハートか。話は聞いている。情報を漏らさないようにチョマベを始末しに来たが、まさかお前もここで始末することになるとは思わなかった」
「誰が私を始末するって? 質の悪い冗談は言わない方がいいわよオッサン」
「悪いが、私は半世紀以上生きて冗談を言った覚えはない」
モイサマツはナイフを振るって私を吹き飛ばした。私は床に着地し、モイサマツを睨んだ。
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