演説当日
いろいろと話をしたり、生き残ったギルドの戦士と鍛錬していたら、あっという間にアチーナさんの演説の日になった。それまで、アマデウス公園周辺を集中して見張っていたから、ジャッジメントライトの連中は公園内に入れなかっただろう。だが、奴らのことだ。何らかの手を使って公園内にデリートボンバーを置いたかもしれない。それに、ギルドの中に奴らとつながっている戦士がいるかもしれない。とにかく、何もなければいい……いや、何もなければってのは絶対にない。奴らのことだから何かしら動くだろう。
私とティノちゃんは演説台の近くで見張りをすることになった。念のため、私は演説台の下をくまなく調べ、そこにデリートボンバーのような不審物はないことを確認した。
「何度も調べたけど、大丈夫の用ね」
「そうですが、地面を掘り起こして確認しなくてもいいような気がしますが」
ティノちゃんは濡れティッシュを手にし、私の顔を拭きながらこう言った。無我夢中で地面を掘っていたから、土が顔に着いたのかな?
「あいつらのことだから、地面の中に隠す可能性もあるわ。目的を果たすためなら何でもやる連中だからね」
「それもそうですが……そこまでは……」
ティノちゃんがそう言いかけると、拍手の音が響いた。どうやら、アチーナさんが到着したようだ。私は急いで地面を元に戻し、演説台の横に立った。アチーナさんは電話をして声は知っているが、姿までは見たことがない。ウラガネのような体系なのだろうと思っていたが、アチーナさんは鍛えているのかかなり体が大きく、背丈も高い。まるでスポーツ選手だ。ウラガネとは正反対。アチーナさんは私を見て、近付いた。
「ニュースで見たよ。君がエクス・シルバハートだね」
「はい。改めて初めまして。私がエクス・シルバハートです」
私は丁寧に頭を下げて挨拶をした。この人、かなり紳士的だ。
「ジャッジメントライトの悪行は私も知っているよ。英雄、ヴァーギンからいろいろと聞いたからね」
「それを今回の演説で話すのですか?」
私がこう聞くと、アチーナさんは頷いて返事をした。
「そうだ。メディアに伝えても、奴らが正確にことを伝えるわけがない。それなら、私自身が真実を話すだけだ。ジャッジメントライトのような連中はこの世界にいらないからな」
そう言って、アチーナさんは演説台の上に立ち、演説を始めようとした。その時だった。上空からいきなりヘリコプターが現れたのだ。その中から変な集団が現れ、私たちがいる地面に降りた。奴らの手には、アサルトライフルを持っている!
「アチーナさん、下がってください!」
私は剣を持ってアチーナさんにこう言った。そして、近くにいた集団が持つアサルトライフルの銃口を斬り落とした。
「何!」
「俺たちの銃がこんなに簡単に……」
「銃が駄目ならナイフだ!」
どうやら連中は接近戦で私に挑むようだ。無駄なのに。私は一番近くにいる奴を見て、素早く剣を振るった。それから、次々と近くにいる奴に攻撃を仕掛け、攻撃を終えて剣を鞘に納めた。
「な……え?」
「一体何が……」
攻撃を受けた奴らは何が起きたか分からないと思うような顔で周囲を見ていた。少しして、奴らの腕や足がずれ落ちた。それに気付いた後、奴らは悲鳴を上げた。
「ふむ……すごい技だ……やることは過激だが」
私の行動を見ていたアチーナさんが、ぽつりと呟いた。だけど、まだ上から敵が来る!
「ティノちゃん、アチーナさんをバリアで守っていて」
「分かりました。エクスさん、あまり暴れすぎないようにお願いします」
「うん」
ティノちゃんはアチーナさんの近くに立ち、バリアを張った。これで安心して戦える!
私はしばらく謎の連中と戦っていた。しばらくして、ギルドの戦士が援護でやって来た。
「遅れました!」
「まさか、ヘリコプターを使ってくるとは……」
ギルドの戦士はこう言っているが、私は予想外のことが起こるだろうと思っていた。だから、冷静にこのことを対処できた。
「お詫びはいいから、今は目の前の敵に集中して!」
私がこう言うと、新たなヘリコプターの音が聞こえた。まだまだ援軍が来るのだろう。私は近くで倒れている両腕を斬り落とされた男に近付き、顔を踏んでこう尋ねた。
「あんたら、ジャッジメントライトでしょ?」
「誰が答えるか」
「それじゃあ両足も失っとく?」
と言って、私は剣を鞘から抜いて奴の足に剣を突き刺した。男は悲鳴を上げて泣き叫んだ。
「すみません! そうです、俺たちはジャッジメントライトです!」
「やっぱり」
予想通り、やはりヘリコプターで攻めてきたのはジャッジメントライトだ。私は倒れていた男の腹を強く蹴って気絶させ、周囲を見回した。
考えろ。今の奴らがどんな風に動くか考えろ。奴らの目的はアチーナさんの命。それもあるが……今、この場に多数のギルドの戦士がいる。ピアノタワーの事件の目的はデリートボンバーの威力を見るため、そしてギルドの戦力を落とすため。デリートボンバーの威力を見ることはできたが、ギルドの戦力はそこまで落ちなかった。だから、アチーナさんを始末すると同時に、ギルドの戦力をそぎ落とすつもりだな。
「さて、奴らを倒さないと」
私は大きく息を吐き、魔力の探知を始めた。とにかく強い奴を倒そう!
私は襲い来るジャッジメントライトの戦士を切り倒しながら、アマデウス公園を走っていた。ギルドの戦士はいるが、一般の人はいない。無関係の人に被害が及ぶことはないだろう。
そう思っていると、後ろからジャッジメントライトの戦士が襲ってきた。私は奴らの方を振り向いた直後、素早く剣を振るって奴らを倒した。だが、またすぐに別の敵が現れた。
「もう、どれだけ敵がいるのよ」
私はそう呟き、敵を斬り倒した。その直後、近くで爆発音が聞こえた。まさか、デリートボンバーが爆発したのか! そう思った時、黒焦げになったギルドの戦士が私の近くに吹き飛んだ。
「大丈夫?」
私はこう聞いたが、その戦士は大きな火傷を負っており、下半身も吹き飛んでいた。頭の方も……爆発のせいか、一部が吹き飛んでいた。
「大丈夫に……見えるか?」
「いえ、見えないわ」
この戦士は、もう助からないことを察しているのだろう。悔しそうな顔をしていた。
「悔しいなぁ……まさか……ギルドの中に……裏切り者が……いたと……は……」
「裏切り者? まさか、戦士の中にジャッジメントライトとつながっている奴がいたの?」
「その通りだ……奴らは……公園を見張るふりをして……デリートボンバーを……」
そう言って、戦士は息を引き取った。クソッ! やはりエルラのようにギルドを裏切った奴がいた! そいつらが、公園にデリートボンバーを仕掛けたのか! クソ……クソッ!
「裏切り者ってのは、どの世界にもいるもんだよ」
私の背後から、笑い声が聞こえた。後ろを見ると、ギルドの軽鎧を着た戦士が私を見下すように見ていた。私が剣に手を触れると、奴は手を振った。
「待ってくれよ。俺は元々ギルドの戦士だったんだ。だけど、あの人の話を聞いて価値観が変わったんだ。あんたもあの人の話を聞いたら、今までジャッジメントライトに歯向かったことを後悔するだろうぜ」
「後悔しないわ。私はお前みたいにギルドを裏切らない!」
私は叫びながら奴に近付き、両腕両足を斬り落とした。斬り落とした時、奴の体は転がりだした。そんな状態で、奴は私に向かって叫んだ。
「エクス……エクス・シルバハート! お前はいずれ後悔するぞ! ジャッジメントライトと言う大きな存在を敵にしたことに! 頭を下げて謝れば仲間にしてやったのになぁ!」
「誰があんたらの仲間になるもんか!」
私はそう叫んで去って行った。その後、奴の近くにあったデリートボンバーが爆発した。まずい、ギルドの裏切り者のせいで公園内にデリートボンバーが置かれてしまった。早くティノちゃんにこのことを伝えないと!
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