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ラノベ残酷物語  作者: 秋山完
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53●外資系AI出版社はラノベ界の黒船になるのか?:③「外圧なくして変革なし」

53●外資系AI出版社はラノベ界の黒船になるのか?:③「外圧なくして変革なし」



 われらが祖国ニッポン。

 まあ、あっちやそっちの独裁国に比べたら、まずまず、ましな国だと思いますよ。今のところは……

 とはいえ、“失われた30年”でいろいろなところに劣化が進みガタがきて、生活水準もモラルも、これが21世紀の先進国かと疑うほどに衰退したと感じませんか?


 この30年、この国の人心は進歩でなく、せっせと“退化”してきたのではないかと。


       *


 この国の歴史を、私なりに《《自虐的》》に振り返ってみますと……


 《《自力で変革できた試しががない。》》


 そのことに、お気づきになられるでしょう。

 この国の社会は、いつのまにか、中世の封建時代、延々と鎖国やってた徳川幕府の時代並みに退化しているのではありませんか?


 鎖国二百年。

 19世紀の昔、中世の封建制度のまま時計の歩みを止めて“太平の眠り”とやらをむさぼっていた怠惰な国ニッポンが、頭から冷水を浴びせられたかのようにシャッキリと飛び起きたのは、黒船の砲声一発。

 ペリー提督率いるたった四隻の黒船来航。


 この国は上を下への大騒ぎ、互いに殺し合い、国民こぞって明治のご維新。

 維新とは本当はいつのことなのか、諸説ありますが、大政奉還で王政復古となった1867年から、明治に改元した1968年がそうでしょう。

 それじゃ維新って何だということになりますが、私流に解釈しますと、鎖国二百年で中世のままガラパゴス化したポンコツ後進国の現状に、この国の為政者がさすがにビックリして、欧米列強にバカにされまくる前に、それ憲法だ、議会だ、鹿鳴館だ、富国強兵だ、日清戦争だ海底軍艦(押川春浪著 1900年)だと、近代化に邁進したことを指すのでしょうね。

 つまり、大変革したわけです。

 メリケンのペリーさんの黒船に空砲を撃たれて腰抜かしたおかげで……


 ということで、「外圧」によって、この国は維新、すなわち大変革しました。

 鹿鳴館で西洋コスプレのパリピざんまいで欧米列強の猿真似をしたこと、それ自体は別段悪くないと思いますが、さまざまな欧米輸入型の変革は、「外圧に直面して、慌てて真似した」程度のものですから、皆さん、本心から変わったわけではなかったようです。

 それから半世紀近くにもなると、いつのまにかみんなそろって「中世」の江戸時代に逆戻りし始めたみたいで。

 世間の明るさは1910~20年代の大正デモクラシーまで、そこからは『女工哀史』(1925)に『蟹工船』(1929)と、悪徳大名に庶民が奴隷労働を強いられる映画『大魔神』(1966)みたいな時代に変貌してしまいました。

 なによりも、大陸への侵略。欧米では19世紀の帝国主義がそろそろ行き詰まり、植民地の隷従的支配に陰りが見え始め、独立の機運が高まっていたのに、大日本帝国は大陸へ戦争仕掛けて、ヒデヨシの朝鮮出兵レベルの、戦国時代並みの収奪的支配をやらかしてしまったようで……

 その結果、アメリカさんの機嫌を損ねて、太平洋で大戦争。

 で、ご維新から70年ほど過ぎたころで、敗戦。

 太平洋戦争でみんな失ってしまい、マイナスゴジラを招いてしまいました。


 国家は、ここでリセット。

 1945年8月15日を起点に、またも「外圧による変革」です。

 民主主義、平和憲法、婦人参政権、労働組合、言論の自由、財閥解体に農地改革、脱脂粉乳の給食など、この国を中世から現代に「変革」する仕組みは、みんな進駐軍のマッカーサー様から恵んでもらいました。

 自力で得たものなんか、だいたいありません。

 そんなわけですから、以来70年ほどを経た今、この国は再び「中世の封建時代」に舞い戻ってしまったのです。


 そう、何もせず放置しておけば「中世の封建時代」に巻き戻るのです、この国は。


 某NHKの大河ドラマを観ればわかります。

 この国のオッサンたちは、いつまでも戦国時代が大好きなのだと。

 ノブナガ、ヒデヨシ、イエヤス気取りで、企業経営しているのです、たぶん。


 で、なぜ「70年」で「中世に逆戻り」してしまうのか、その理由は明白。

 生まれて物心ついた十歳あたりで、たとえば1950年以前のGHQのマッカーサー時代といった「大変革」を目の当たりにした人々は、70年過ぎた2023年の今は、もう80歳代ですね。

 つまり「大変革」をリアルに記憶していた人が、この世を去って行くからです。

 変革の語り部がいなくなることで、変革の効果がなくなっていくのですね。


 そして、残るのは「中世への回帰」。


 あの太平洋戦争の残酷さと日本人の愚かさを、真に語れる人がいなくなるとともに、わけ知り顔でシレッと、中世への回帰を喜ぶ知識人や政治家がマスコミを闊歩するようになってきたのではありませんか?


 あ、あくまで私流の被虐的歴史観ですよ、個人的な感想の一部分ということで。


       *


 その結果……

 国民の半分が、選挙で投票しなくなりました。自ら大切な人権を放棄したのです。

 まるで「支配されることを喜ぶ」かのように。

 江戸時代は「士・農・工・商」の身分制度が世襲で固定化していましたね。

 今は、「上級国民・経営者・正規雇用・非正規雇用」の身分制度が世襲化しているようです。

 それに国民の所得に対する徴税比率も、江戸時代の年貢収奪率と同じ「五公五民」となっているそうで……


 そうか、2023年の今、この国は事実上、封建制度の江戸時代なのだ。

 さだめしソーリってショーグン様なのかな。

 戦後70年を経て、名実ともに、中世に戻ったのであります。


       *


 日々、なにも考えずにボーッと生きていて、そのうちだれかがうまくやってくれるだろうと楽観していたら、江戸時代か安土桃山時代に戻ってしまった。

 自力で市民革命して血を流して憲法と議会と民主主義を手に入れて、自力で婦人参政権や労働組合を成立させてこなかったから、こうなっちゃうのかもしれませんね。

 私たちは「変革とは、アメリカの偉い人から恵んでもらうもの」と思い込んでいるようで、ねえ……


       *


 ということで、私流の自虐的歴史観ですが、要するにこの国はおしなべて……


 「外圧なくして変革なし」なのです。


 自力ではなにひとつ変えられない国、みたいですから。

 ま、あくまで私的な《《自虐的》》歴史観ということで、なにとぞお許しを……



 最近の好例は、あの、超有名芸能プロダクションの「性加害」事件ですね。

 週刊誌がスッパ抜いても、大手マスコミは新聞もテレビも黙殺を決め込んでシーンと無視したまま。

 それが、3月に英国BBCがドキュメンタリーを放映し、7月25日と28日に国連人権理事会の調査がプロダクションの事務所へ入ったとたん、全国のテレビと新聞が、まるでハチの巣をつついたみたいにワーッと大騒ぎになりましたとさ。


 なんだ、やっぱり「外圧」がなかったら、なんにも変えようとしないんだ。

 そんなことを思い知らされる昨今ですよね。


 歴史を振り返る限り、よくよく「自分でモノを考えようとしない」国民性です。

 その根底には「弱者をあざ笑い、強者には媚びへつらう」という、骨の髄までしみ込んだ、島国的かつムラ的な“いぢめ根性”が潜んでいるのかもしれませんね。

 私たちは、集団の中で最も強い立場の人をいち早く嗅ぎつけて、その子分となることに喜び、自分よりも弱い立場の人を見つけてはマウンティングに精を出すことに終始して、井の中のかわずのまま一生を終えているのではありませんか?


 そうです、あの“鎖国200年”で、私たちのDNAには、閉鎖社会のマウンティング生活が、すっかり刻み込まれてしまったのでしょう。



 困ったことに……

 そんな雰囲気の社会を大変革するには、「外圧」しかないのですね。


 まあ、あくまで自虐的歴史観の一例ということで、なにとぞお許し下さい……



       *


 ということで、外資系のAI出版社が自前の小説投稿サイトと、自前の有料電子出版のサイトを引っ提げて本土上陸してくるならば……

 これぞ黒船。もしくは進駐軍のマッカーサー将軍。

 いずれにせよ、よき「外圧」とならんことを期待したいものです。


       *


 「外圧」あらば、それに呼応して、変革に乗り出すのが常道。

 ラノベの電子本に関しては、とりあえず、こうなってほしいですね。


① 紙の本は出さず、オリジナルの電子本オンリーで売るラノベサイトの登場。

② 各社の電子本ラノベを全部まとめて検索できる総合ポータルサイトの登場。

③ プリペイドのポイント制など、全国各社共通の、簡便な決済方法の確立。

④ できれば①②③を国際共通規格で実現されたい。つまり外資系の電子出版社ともリンクした、グローバルスタンダードなマーケティング。


 黒船来航は、国内変革の大チャンス。

 21世紀だというのに「中世化」へと逆行する社会ですから……じつはラノベ読者の頭の中も、すっかり「中世化」してきたのかもしれません。

 なんてったって、転生先の異世界はたいてい「中世モード」なんですから。

 異世界転生モノがブームになって、もう十年は過ぎています。

 どっちを向いても、魔法ありきで剣ありきの、世襲身分制の封建社会。

 どっちを向いても、江戸時代みたいな中世世界観。

 申し訳ありませんが、そればっかり、というのは、さすがにどうも……

 しかも、完結した作品の少ないこと。

 それに「アッと驚くどんでん返しの傑作エンディング」にはなかなか出会えない。


 ラノベ全体がなんだか均一化して、まったりとテンプレ化しているのかも。

 読み手も書き手も、大変革を、心のどこかで望んではいませんか?



 だから今こそ、変革を求めて外圧を利用すれば!?



 そろそろラノベ界が「大変革」してもいい時期だと思うのです。




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