082 鬼神の涙
モエが手に持っている2つの壺。それを1つずつアルバが説明する。
「こっちは、生命の雫と言ってな、ワシらの民族に代々伝わる秘薬じゃ。命に関わる大怪我も、どんな難病も一粒飲むだけで瞬時に治すことができる。」
「そんな薬が……」
「しかしな、これを飲むと最大で10年寿命が短くなってしまうリスクもあるんじゃ。だからこの薬に甘えすぎてはならん。」
「10年……軽く使うことはできないわね。」
ディープが考える横で、アルバがモエから受け取った壺を返し、もう1つの壺に手を出す。
「そしてこっちが本命じゃ。これは鬼神の涙。このカプセルを飲み、ワシの拳を1発くらうことで、ちょいと変わった亜空間に飛ぶことができるのじゃ。」
「変わった空間?」
「そこではな、こっちの空間とは流れる時間が違くての、そこで1年間過ごしても現実では1週間しか経っとらん。そんな世界じゃ。」
飲むと現実とはかけ離れた空間に行けるというカプセルをつまみながら説明する老人に、バールが疑問を投げかける。
「そこに行って……なにするんですか?」
「なにって、修行じゃよ。敵が予想以上の力を持つ集団だと分かれば、どうするんじゃ。数を増やすよりも、少ない人数で質を上げる方が動きやすい。」
「なるほど……」
「うむ。宮殿に忍び込んで、敵の情報を集めてから行動しても、なにも遅くはない。だからなるべく、敵がなにを企んでいるのか、敵がいつ動き出すのか、集めるだけ集めてきてくれよ。」
そうして宮殿に潜入し、たまたま親衛隊を発見したルミオとベイリー。密かに隠れ、追行し、たどり着いたのがこの地下室だった。
「おいおい、これネリゲールのとこのじゃねえか?ほんと汚えなりだなぁ……。」
「まあまあ、そう怒るなよスピラ。どうせこいつら、大したことないパワーしか出せないだろ?こう言う奴は廃棄処分だよ。」
「でもよ、弱くても捨て駒として使えるだろ。だからもっと大量の人集めてさぁ。」
「それじゃあこの宮殿に来た意味がないだろ。せっかく広いところ見つけたのに、すぐいっぱいになっちゃうよ。とにかく、こいつらの頭に催眠をかけといたから、戻ろうぜ。」
そうして、息を殺すルミオの前を、スピラとデルッツが通り過ぎる。
「この部屋を探ろう……!」




